缶詰が好きです

以前のプロバイダーが閉鎖になるので、Gooブログに引っ越してきた、缶詰が好きな、ダメ料理人のブログです。

太平洋の向こう側

2022年07月24日 | 固ゆで料理人
太平洋の向う側 5」  固ゆで料理人
     Capter3 深夜プラス缶 Pert3

俺は愕然とした。
「なんてことだ・・あんたが・・・伝説のエルウッドか?」
今、俺の横に居る人懐っこい顔をした南部訛りの男が、伝説のスナイパー「エルウッド」なのだ。
この男は、「デューク・トウゴー」と呼ばれているもう一人の伝説のスナイパーと撃ち合いをして、引き分けに持ち込んだ世界でただ一人のスナイパーだ。

彼は緊張などは微塵も感じさせずに笑顔さえ浮かべていった。
「そうだ・・・だが、その話は後だ、それよりあんた、44を持っているな?それを貸してくれ」
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ところで「44」とは44マグナムのことだ。
世間でよく誤解をされているが、44マグナムとは銃の名前ではなく、弾丸の種類のことだ。
サンフランシスコの名物警官が使って一躍有名になった強力な弾だが、よく言われているような車を止めてしまうような威力は無いし、片手で撃つことは不可能なんてことはない。大体片手で撃てないような拳銃などあり得ない。

だがやはり相当な威力は持っていて、この威力が強いということは弾が遠くまで安定してとどき、且つ飛翔距離により威力の低下率も低いことを意味する。
実際この弾を使う100メートルの射撃競技もあるくらいだ。
そしてこの拳銃「スミス&ウェッソン・モデル29」は非常に優れた命中精度を誇るGUNで競技にも良く使われる。

エルウッドは魔法でも使えるのか、この先に起こることを知っているらしく、
「この先につぶれた雑貨屋がある。道を挟んだ反対側に空のガレージのようなものが立っている。そこの陰にさっき見た2台のルノーが鼻先を向け合って止まっている。」
「俺たちが傍まで来たら道を封鎖しようとしているという訳か?」
「そうだ、俺たちが近づくギリギリのタイミングで両側から飛び出してきて道を塞ぎ、俺たちを始末する気だろう・・・で。44の出番だ。俺が合図したらアクセルを思い切り踏んで相手の隙間をめがけて飛びこめ」
後ろの席で秘書のジャック・レモンに似た秘書のフェリックスがジャック・レモンに似た早口で嘆きの抗議をしてきたが、無視した。伝説のエルウッドが大丈夫と言うのだから信じて良さそうだ。

エルウッドは助手席の窓から上半身を乗り出し、拳銃を構えた。エルウッドが黒いソフト帽と顎鬚をつけたらまるで日本製のアニメだ。

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雑貨屋まであと100メートルほどに迫ったとき、エルウッドが
「今だ!」
と怒鳴った。
俺がアクセルをグッと踏み込むとエンジンが咆哮し、皆が後ろの席に押し付けられたが、エルウッドだけはピクリとも動かない。
雑貨屋まであと60メートルくらいに近づいたとき、雑貨屋と反対側のガレージの陰からルノーが2台、我々の行く手を遮ろうと飛び出してきた。
エルウッドは「こんなもんか?・・OK!」と、誰かと会話をしているような独り言を言った瞬間、彼の手は轟音と煙に包まれた。後ろの席でフェリックスの「ヒッ!」と言う恐怖の声がした。

伝説のスナイパー・エルウッドの放った弾は、右雑貨屋の裏から飛び出してきたルノーの窓から入り、ハンドルの上部をえぐる様にかすり、そのままハンドルを右に急激に切らせた。そのためにルノーは急激なハンドル操作で傾き、そのまま横倒しになった。
俺は意志の力でブレーキを踏まずに、横倒しになったルノーと驚いて止まったもう一台のルノーの隙間めがけて飛び込んだ。俺の車のフロントバンパーと敵の車が激突する。
秘書フェリックスの恐怖にひきつった叫び声と一緒に、車の横をガリガリと擦る音が聞こえたが、アクセルを緩めることなく突っ走った。

車の壁を突き抜けるとリアウィンドゥにカンカンと音を立てて何かが当たりだした。
この車は大統領専用車なみに特殊防護加工をしているから拳銃の弾くらいじゃなんともない。
振り向いて後ろを見たエルウッドが
「ステンガン?随分古いのを持ち出しやがったな・・ま、この車より強いのは大統領が乗り回してるヤツくらいしか無いから、あんな豆鉄砲じゃ何にも出来やしないな」
なんだかしゃべり方も日本製のアニメキャラに似てきた・・・。

バックミラーを見てみるとトレンチコートを着た中国人の二人組が短機関銃を撃っているのが見えた・・・トレンチコート?リーダーはジョン・ウーかもしれないな。

エルウッドは車を止めろと言い、俺が車を止めるや否や車を降りた。敵の二人組は新しい弾倉に交換しようとしていたが、まさかこっちが車を降りて反撃に出るとは思っていなかったらしく、慌て始めて新しい弾の補充に手間取りだした。
エルウッドは落ち着き払って、弾の補充をしている中国人マフィアに向けて素早く2発撃った。
弾は二人の中国人の銃にそれぞれ命中して銃を遠くに弾き飛ばした。
そして二人とも手を挙げた。
そのとき横倒しになった車からもう二人が這い出してきたが、エルウッドはまるで出てくるのを知っていたかのように二人の手から拳銃を撃ち飛ばした。

エルウッドはそのまま連中の方へ歩き出した。車からはい出した方の一人が彼を睨みつけながら、撃ち飛ばされた自分の拳銃を拾うか拾うまいかを考えている。
エルウッドはジェームズ・スチュアートのような人懐っこい笑顔を浮かべながら睨んでいる中国人に向かってまるで歯の隙間から漏れるようなしゃがれ声で凄みながら・・・
「考えてるな?俺が5発しか撃っていないか、それとも6発全部撃ってしまったか・・・実は夢中になりすぎて、どっちだか俺にも判らないんだ・・・で、どうする?賭けてみるか?」
・・・・伝説の男はモノマネ好きなオチャメさんなのかもしれない。
中国人マフィアの眼が細まり、かすかに笑みを浮かべ、そして銃に手を伸ばした。
銃声
エルウッドの44マグナムが火を噴き、中国人の拳銃を吹き飛ばした。
この距離で掴んだものを44マグナムで撃ち飛ばされたら大変だ。
マフィアは手にかなりの打撲を受けた。多分骨折じゃ済まないだろう。あまりの苦痛にすすり泣いている。

俺はすすり泣いている奴に
「お前がコウ兄弟の片割れか?ニョウサンか?それともケツアツか?兎に角、もう俺たちの邪魔をするな」
と言い渡し、車に乗った。

俺たちが車に乗り動き出すと、手下の前で泣かされ大事な面子を失ったマフィアは、絶対に復讐してやると大声で叫んだ。俺たちは無視して走り出した。

敵のルノーはどちらも使えそうもない。これで奴らは追って来れない。しばらくは安心して走れそうだが、エンジンやタイヤに問題が無い車でもこうひどい傷がついてしまっては、いつパトロール警官に止められるとも限らない。
次の町で目立たない車を調達することにした。

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中古屋で手頃な59年型のキャディラックのエル・ドラドを見付けたので購入した。国産車なら目立たないだろう。
銃や証拠の缶詰をトランクに移す。

「ジョニーが腹減ったな」
と呟いた。
そういえば腹が減った。しばらくは襲われることもなさそうだし、どこかで食事することにした。
しばらく走るとこんな片田舎に珍しく日本食レストランがあったので、そこに入ることにした。
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店の前に車を止め、中に入る。
俺とエルウッドは辺りを警戒しながら後から入る。

外観の通り小さい店で、チャオメンとかエッグロールとか、日本食ではないメニューが多い。

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中から
「イラッシャイマセ」
と、たどたどしい日本語で挨拶をしながら、日本の伝統的なシェフのユニフォームに身を包んだルイ・アームストロングのようなオヤジが出てきた。
で、色々とオヤジと会話を交わした後、ジョニーが新しいレシピを考えてやることになった。
勿論又もやサンマの缶詰を使ったヤツだ・・・そして勿論、サンマの缶詰を食べることに文句はない。
どうもこの旅は健康への道を進んでいるような気がする。
そんな訳でまたもやサンマ缶のレシピだ・・・。
「太平洋の向う側 6」  固ゆで料理人
Capter3 Part4 SourSweetSamma

そんな訳でまたもやサンマ缶のレシピだ・・・。

俺たちがエッグロールやチャオメンはジャパニーズではなく、チャイニーズの料理だと指摘すると、ジャパンはチャイナの一部ではないのか?と聞きかえしてきた。コウ兄弟に聞かせたら泣いて喜ぶかもしれない。

まあほとんどのアメリカ人にはジャパンもチャイナも区別がつかない・・・それを言えば外国人か同国人かの区別もつかないほどアメリカ人と言うやつは外国に興味を持たないのだが・・・。
で、Mr,ルイ・アームストロングはなにか簡単な日本の料理を教えろと言うので、追っ手もしばらくは来ないだろうし、兎に角、これが俺の本職だから頼まれれば嫌とも言えないので教えることにした。

秋刀魚の缶詰もたくさんあるし、こういう時はすぐにタナカサンに電話だ。

「オウオウ、またサンマの缶詰ですか?・・・・フ~ム・・・・・じゃ、サンマを考えないで、カバヤキを考えてみましょう」

タナカさんはなにやら禅のようなことを言いながら考えていた。

「カバヤキを使う料理はいくつかあります。有名なのはうな重、う巻き卵、それにうざくと言うところでしょうか?」
「うざく?ああ、日本のランバージャックのことですね、ヘイヘイホーと言う人・・・」
「違います・・・まったく変なこと知ってますね、貴方は・・・」
「うざくとはウナギの蒲焼の酢のもので、キュウリの塩もみとウナギを合わせた酢の物です。もともとはウナギの白焼きを使う料理だったようですが、殆どは蒲焼を使います。ウザクのウはウナギのウ、ザクはキュウリの薄切りをザクザクと呼んだところからその名がついたそうです。ですからサンマでやるときはサンザクでしょうか?」
「あ~、サンザク王に俺は成る!と言うやつですね?」
「・・・いえ違います。サンザクでも山賊でもなく、あれは海賊です・・・あなたは日本製のアニメのファンですか?」
「ではジオン軍の・・・」
「アナタ、わざと間違ってますね?アナタ、笑いをとりたいですか?」
しまった・・・俺が冗談を言うような人間だと思われてしまったかもしれない。
俺は自分のイメージを損なわないように、わざとその質問を無視した。

タナカサンは
「まァ良いでしょう・・・先へ進みましょう。先ずは酢の作り方です。酢に砂糖と塩を一つまみ、砂糖の量はかき混ぜてちょっと甘すぎかな?と思うくらい入れてください。もし過不足が出てもあとでなんとでもなります。しかし、塩は一つまみを絶対守ること。入れすぎたら取り返しがつきません。仕上げに醤油で甘さの調節をしましょう・・・ところで、アナタの冗談はつまりませんよ・・・」
この一言に俺のプライドが大いに傷ついたのは言うまでもない。

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「酢は一煮立ちさせるとカドが取れて、食べた途端にむせるようなことが無くなるので、是非やって欲しいデスネ・・でも、むせるのが好きならやらないでもオーケーネ!」

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「キュウリは縦半分に切って、斜めの小口切りネ。切ったらボウルに入れて塩を少し振って、10分程置いて置くデスね」

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「針の様に細く切った針生姜が美味しいでありますが、茗荷が冷蔵庫にあったので茗荷を使うでした。薄く切って水にさらしてからザルに揚げて水を切ります」

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「さてキュウリの水を手で良く絞り、キュウリの塩もみを作ったら盛り付けて出来上がるのです」
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「ヴェリィイーズィーですね^_^

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「先ず秋刀魚を盛って、キュウリを載せて、茗荷を載せて、卸生姜のしぼり汁を少し掛けて、作った酢を掛ければ完成です。イタダキマシタ!ホシ・・・三っつですゥ~・・・」

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Mr,ルイ・アームストロングに、タナカサンから教えられたとおりに作って見せた。
とても簡単なので、フェリックス以外の全員が一発で覚えた。

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みんなで試食した。これはウマイな。
エルウッドは
「ホントに美味いなこれは・・・素晴らしいな人生と言うのは・・」
と誰かに話しかけていた。
板前のルイは
「What a wonderful taste」
と感激している。
これからの季節、キュウリが美味くなるし、これはお奨めのメニューだ。
タナカサン、今回は久しぶりの3ベースヒットだぜ。

そして俺たちは春巻きと焼きそばをなんとなく釈然としない気持ちではあったが、平らげて店を出た。

その時ルイが俺たちの車を見て、派手な車だね~・・恰好イイネェ、イェ~と言われたので、俺たちは又車を変えることを考えた。
そこでこのキャディラックとルイのトラックを取り換えてもらうことにした。

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俺は運転席、ジョニーは助手席、エルウッドとフェリックスは荷台に乗る。
フェリックスは汚いだ寒いだとブチブチと文句を言っているが、エルウッドは楽しそうに誰かと話している。

そして俺たちはこのトラックでウィチタを目指した。

                            続く・・です
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