汗がほとばしる夏にこそ、聴きたい音楽。

今回紹介するのは、1970年に結成されたアメリカ合衆国のファンクバンド≪パーラメント≫。このグループを語る上で、フロントマンであるジョージ・クリントン(Vo.Key)の存在抜きに進めることはできない。1950年代、彼が14歳の時に結成したドゥーワップ(50年代の黒人の合唱音楽)バンド「The Parliaments」を母体とし、徐々に音楽性とメンバーの変遷の中で、1974年、パーラメントと名を改め活動を開始する。
ジョージ・クリントンのユニークな点は、パーラメントと並行して≪ファンカデリック≫という別バンドを結成した所にある。互いに黒人音楽をルーツとしながら、キーボードをフィーチャーし「宇宙的」な音楽性を売りにしたパーラメントと、サイケデリックなギターサウンドに特化したファンカデリックの二組は、それ以降の音楽シーンに大きな影響を与えた。ジョージは自らが率いる二つのバンドを総称して、「P-ファンク」と名乗るようになる。ステージにおけるセクシャルな演出と、猥雑な歌詞が大きく取りざたされ、「総帥」ジョージ・クリントンが音楽シーンにおいて一際異彩を放っていたのは下の写真からも見てとれる。

1976年、パーラメントはブラックミュージック屈指の名盤と呼び声が高い『Mothership Connection』をリリース。このアルバムは、ジョージ扮する聖なるエイリアン「スターチャイルド」が宇宙船に乗って、人類に聖なるファンクを伝道しに来た、という突飛いた内容のコンセプトアルバム。ビルボードポップアルバムチャート13位、ブラックアルバムチャート4位のヒットを記録した。
一曲目のナンバーはストレートに「P.Funk (Wants to get funked up )。イントロのジョージによる「語り」さえもファンキーで、思わず身体を動かしてしまう一曲。このアルバムには全編を通して「語り」が効果的に作用されている。コンセプトアルバムとは、すなわち「物語性」のあるアルバムのことを指す。その中で語りはナレーションという重要な役割を果たすのだが、その語りにさえもジョージはリズムを埋め込む。それは現代のラップミュージックのルーツと言えるだろう。現に、1982年にジョージのソロ名義でリリースしたアルバム『Computer Games』に収録されている「Atomic Dog」は、ラップミュージックにおいて最もサンプリングで使用された楽曲として有名でもあるのだ。
1975 FUNKY HQ - P. Funk (Wants To Get Funked Up) by Parliament.mp4
P-Funkの信条「人類は皆、アホでスケベで甘ったれ」を、ジョージは音楽を通じて訴える。それは、あらゆる人類を同列に置くという彼の教義だろう。その考えの持つ意味は、現代においても非常に新鮮に受け取ることができる。上記の曲を、一度頭をカラッポにして聴いてみよう。あなたの中の何かが、吹っ切れるかもしれない。ファンクはそうやって、楽しむものだと思うんです。
雑文失礼しました。
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