アレコレ着る人委員会「平成きもの白書」

委員会は、着る人にとって好ましい商品やサービスや環境を積極的に情報発信し、快適なきもの環境を作ることを目指します。

きものサローネイン日本橋(5)

2013-01-24 21:49:22 | 着る人委員会

Q /ネットショップが盛んですが、そのあたりはどのように考えているのでしょうか。

 A /そこは避けて通れない課題だと考えています。いま作り手が一緒に一つのネットショップを持って、そこですべてのアイテムを購入できるようにしようという構想があります。信頼も品質も保証される。でもそれをするには問屋の問題を始め、いろんな壁があるので、そこをどう越えていくかです。(服部さん)

A /それとネットでひとつご注意願いたいのは、最近ネットで偽物の西陣の証紙が張られた帯が出まわっています。うちの偽証紙も見つけたことがあります。中国製でしたが、十分ご注意いただきたいと思います。

 昨年ネットで掲載された中国生産の商品に西陣の証紙を貼り、さも本物のように見せ、偽物を売って話題になった偽物騒動。ネットの画像では、商品の品質までは分かりませんから、多くの人が騙されました。ネットが悪い、というのではなく、扱う人が悪いのですが、消費者からはネットも含め、西陣全体、呉服業界全体に対する”不信”を招きかけない危険性がありますね。そういう意味では、買い手責任というか、消費者にも騙されない知恵や知識が必要とされます。また西陣でも産地を上げて、このような詐欺事件が起きないように、しっかりしたネットショップを作ろう!という動きも具体的に検討されています。


きものサローネイン日本橋(4)

2013-01-24 21:36:09 | 着る人委員会

着る人が「締めたい帯や小物がない。ならば作っちゃおう!」と昨年からきもの1本!でと決めたモダン着物☆小物 梅屋の梅原さん。着る人の立場から、リバーシブルだったら1本で2本分が楽しめてお得!と半幅帯はじめリバーシブルに。「旅行でも便利!」。

Q /着る立場としてはリバーシブル帯など、着る人がお得感を持つ帯の提案が欲しいのですが……。

A /昔から昼夜帯というのはありました。ただ、表と裏の素材が違うと収縮率の問題などもあるので、作り手としては、まず品質を第一に考えた商品作りをするべきだと考えています。軽さもいい帯の条件です。(服部さん)

A/私は自分自身がきもので旅行に行くので、両面使える帯なら1本ですむし、お得感もあるなあと、リバーシブルの半幅帯を作っています。その帯もちょっとずらすと色や柄の雰囲気が変わって、違うイメージで締められます。基本は自分の実感で欲しい、あったらいいなというもの、ちょっと変わったものを作っています。(梅原さん)

と西陣の服部さんと梅原さんは、少し意見を異にします。このブログをお読みのあなたは、どちら派ですか?


きものサローネイン日本橋(3)

2013-01-24 13:38:20 | 着る人委員会

Q /男物はきものもそうですが、帯はさらに種類が圧倒的に少ない。

A/ おっしゃる通りです。私は身長が165センチなので、いま着ているきものは女性物から選んで仕立てたものです。帯の作り手としてもこれからは男性物にももっと目を向けなければならないと思っています。(舞鶴さん)

Yさんは、黒1点の男性着る人委員。たしかに男物はとにかく種類が少ない。先日5-9きものメンバー店の楽庵(東村山市)さんが最近10キロやせ、「やせている男性はこんなにもきものを着るのが大変だったのか」と実感しましたと帯や仕立て、着方をどうしたらいいか改善策に意欲を燃やしていましたが、とにかく少ない。小柄な方なら舞鶴さんのように女性の物を使うとうアイデアもあるのですが、背が165cmを超えるとむずかしい。しかもふくよかな方は、よけいに。

A/作り手も意識を変えていかなければならないと思っています。うちではデニムのきものを作っていて、私が着ているものもそうですが、デニムにオイルコーティングを施しています。着るほどに馴染んでいい風合いになってくるんです。従来の枠にとらわれない物作りがこれから求められていると思います。(野中さん)

男物に限らないのですが、案外と「最初から高いのでは…」と敬遠されてしまうのですが、実は「お誂え」という方法があります。勿論すべてが誂えられるわけではないのですが、最近はどのメーカーさんも工夫を重ねて、織元でも「1本から織ります!」という作り手も実は多いのです。信頼できる、知識のある呉服屋さんと相談しながら「誂え、オリジナルを作る」という手があります。勿論素材や技法など色々な要素はありますが、よほどマニアックな物でなければ、お値段も普通の物と遜色ありません。心配なら最初に予算を提示して「この値段の範囲で作って!」とはっきり呉服屋さんに伝えましょう。


きものサローネイン日本橋(2)

2013-01-24 12:12:50 | 着る人委員会

京都・西陣は、言わずとしれた日本で一番歴史のある最大の帯産地。今回ご登場頂いたのは服部織物(株)・服部社長、(株)西陣まいづる・舞鶴社長、そして弓月、でにむどすでご存じ方も多い秦流舎・野中舎主です。3人の方々に共通するのは、日々きものを着て仕事をしている方々ということです。何を当たり前のコトを、と思われるかもしれませんが「紺屋の白袴」ではありませんが、きものを着て日々の仕事をしているきもの業界人は、増えつつはありますが実は数%しかいないのです。しかし3人の方々は自らがきものを着て自社の商品や他社の物であってもいい、といわれる物は積極的に身につけ、日々改善を進めています。

「着る人が少なくなって、何とか着てもらおうと努力をした結果、その努力が“作る努力”ではなくて“売る努力”になってしまったので、着る人との間に変なねじれ現象が起きてしまったと思っています。まず、そこを改善していかなければならない」「またいままで西陣は、着る人を考えて作ってきてはいますが、どうしても目先で我々の作った帯を買ってくれる室町、問屋さんの意見に左右されて作ってきましたが、これからは実際に着る人の意見をもっともっと積極的に聞いて作るう、ということでこの会に参加しました。」という服部さんの真摯な言葉を皮切りに、帯の質問からスタートです。

Q/作る人が考える「 いい帯の定義」とは何ですか。また、 しゃれ袋帯というのが、どういう意図で作られたのか、もうひとつ、よくわかりません。

 A/ 薄くて、軽くて、締めやすいというのが、機能面ではいい帯の条件だと思っています。また丈夫で、個人さがものすごくありますが、色柄のセンスの良い物ですね。しゃれ袋帯は、帯もいろいろ楽しんでいただきたいということで作られています。使う方が使い方を決めて、自由に楽しんでいただければいいと思います。(服部さん)

 


きものサローネイン日本橋(1)

2013-01-24 11:42:34 | 着る人委員会

昨年10月に東京日本橋、三井ホールで開催された「2012きものサローネ イン 日本橋」が第2期着る人委員会の1回目の活動となりました。2012きものサローネ イン 日本橋(以下、きものサローネ)は、三越本店、高島屋本店、ファッションビルのコレド日本橋やコレド室町、マンダリンオリエンタルホテルなどがある日本橋一帯を「きもので街興し」している三井不動産が6年前から展開しているTOKYO KIMONO WEEKの一環として、昨年初めて開催されたイベントです。50を超えるブランドが出展し、人気の大久保信子さんや秋月洋子さんなどが出演し、きものの着こなしやコーデの講演、さらには三味線や落語など様々なライブが開催され、大きな題を呼びました。月刊アレコレもこのイベントに企画参加していたので、着る人委員会の特別編として、アレコレ編集長が司会し、西陣のそうそうたる織元のトップ、きもの梅屋の梅原さんと着る人委員会のメンバーの方々が「着る人の何故、?」を投げ、興味深い話や織元の本音など、素敵な話が繰り広げられましたので、レポートします。