アレコレ着る人委員会「平成きもの白書」

委員会は、着る人にとって好ましい商品やサービスや環境を積極的に情報発信し、快適なきもの環境を作ることを目指します。

イベント参加者からのお便り(2)

2011-12-24 17:54:29 | イベント
このイベントに参加して感じたことです。今まで申したこととやや矛盾するのですがきもの文化自体は(戦前の生活には戻れないという前提ではありますが)なかなか元気なのではないでしょうか。好景気で着物がバンバン売れたという頃、今ほどきもの姿をあちらこちらで見かけなかったような気がするのですが、認識違いでしょうか。本、ショップ、きものイベント、着物に関するいろいろな現象はいまの方が元気なのでは?着物文化の隆盛って、もしかしたら呉服業界のきもの売上額と関係なかったりして…と思ってしまうくらい。まさに「着る人委員会」などという発案があって、そこに応募が殺到してしまうというようなこと自体、着物がそこそこ元気であることの表れであり、同時にきものを今の時代に根付かせることに一番有効なのだろうと思ったりします。
少し前から、アンティークというカテゴリーの存在を知りました。もうね、美しいというか、大胆というか、見事というか、言葉に表すことが出来ない程の素晴らしさにショックを受けました。生活用品ではなく、絵を飾るように飾ってなげめていたいきものがあるなんて…。改めて、このような素晴らしい歴史を持つ着物文化をなくしてしまうのはもったいないと心から思いました。最新号の七緒も早速買ってみました。着物というアイテムを取り巻くあらゆるものが混沌ンとしている今は、選択がたくさんあって逆に幸せなのかなと思ったりもします。でもその中で、今のニーズを柔軟に反映しつつ、さらに元気な昔ながらの呉服屋さんという扉もあってほしいと思います。呉服屋さんそのものが、きもの文化の大切な場所の1つだと思うから。

イベント参加者からのお便り(1)

2011-12-24 17:47:17 | イベント
「私は売る人、呉服屋さんは、着る人に指針を示し、その人 が望む着姿に導いてくれる、総合プロデューサーのようなものでは ないかと考えております。そして着る人も、売る人にはそうあって欲しいと望んでいる。もしくは、頭からそういう存在だと思っているのではないでしょうか。それは、雨宮さんがおっしゃったように、着る人のほとんどが赤ちゃんであり、外国人であるからです。どこの呉服屋さんも、ひつじやさんやあづまやさんのような、その人(生活、年齢、用途、経済状況)を見て、柔軟に対応してくれるお店であればどんなに良いでしょうね。きっと、そう言うお店が簡単に見つからないからこそ、わざわざ遠方からひつじやさんを訪れるような人がいるのだと思います。」

「ひつじやさんが仰った”客が呉服屋を育て、元気にすべし”という件ですが…正直な話、世の中の経済状況がよくならなければ呉服屋さんが元気になるのは難しいのかなと感じた次第です。呉服屋さんにとって良い客というのは、やはり購入してくれる、直接購入しなくてもその呉服屋さんの発展に何らかの形で貢献してくれる客だと思うのです。頻繁に店を訪れて、茶飲み話をしているだけではただの友達♥♥ 面倒かけて、迷惑かけて、苦言を呈して…でも最後には買ってくれるか、商売上のビッグチャンスに結びつけてくれた、などというオチがなければ、客とはいえないですよね。もつとも私などはさほど呉服店に貢献しているとも思えませんが、それでも、呉服店が元気あるためには、私のような小さな一般客も頑張って購入するよりほかはないような気がします。
今は良くも悪くも様々な情報を手に入れることができますので、きものを手に入れる場所として単純に呉服屋さんが一番とは思えないこともしばしあります。でも今のきものの流通の具合を考えると、現状では呉服店で買うことできっとその一番先の職人さんたちにつながっていると思えるものですから、呉服屋さんで購入するということは、ポイントが高いかと。早く景気が良くなって、経済力のある「客」がそれなりの力を発揮してくれるようになると良いのですが。
それにもう1つ、きものの世界を学ぶことについて。ひつじやさんはそれは無理とおっしゃいましたが、そもそもきものの世界の義務教育レベルくらいは取得していないと、呉服店に行ってもいたずらに店主を困らせるだけだと思うのです。そしておそらくひつじやさんも念頭においていらっしゃるだろう高等教育レベル…そこは着物をとりまく知識や話題が果てしなく広がり煌めく世界。その膨大さ、甚大さに失神しそうになりながらも、たとえほんのさわりでもそこに一歩足を踏み入れることが出来れば、それはこの上ない喜びです。着物を着たり、着物に興味を持ったりするようになると、残念ながらこの禁断の喜びの存在に気づいてしまい、そして無理を承知で近づくのでは…(続く)

  


アレコレ着る人委員会イベント(14)着る人交流⑤

2011-12-11 20:40:25 | イベント

◎雨宮/自分が着る立場から、呉服店選びの資料、ガイドブックがあればいいな、という着る人目線で多くの呉服店を取材して感じた「いい呉服屋選びの条件」は3つです。①第一にきものを着ているお店です。昔のようにきものを着ると言うことが受け継がれていませんから、あれがいいのか、これがいいのか悩みます。ですからプロから丁寧に着る人の実感をもとにしたアドバイスを受けたい。②同年代の店員さんがいるお店。1人でよいのですが、自分と同世代の店員さんがいると、安心です。理想はベテランの大女将と若女将のいるお店ですかね。③雰囲気のいいお店。きものは高額ですから、いい雰囲気で、きものを選び、買いたい。有名店でも傾いているような、電灯が半分消してあるなんていう、小汚い感じのお店はいやですね。


アレコレ着る人委員会イベント(13)売る人交流④

2011-12-11 20:18:17 | イベント

◎あづまや/私は業界に17年間います。団塊ジュニア世代でバブル崩壊直前で、きものに限らず勢いがありましたね。しかし半襟1枚も分からずに修行にゆきましたから、社長に「おまえ本当に呉服屋の息子か」と言われました。不思議なことが多くありましたが、業界で食べて行くには我慢しなけりゃいけないのかなと思い、当時はやっていましたが、自分のお店に戻り、「自分が嫌なことはやらない」を貫いてきました。そんな時「きものを着ない人からは買わない」のお客様の一言で、毎日着るようになって、着る人と売る人のギャップを感じました。自分が着たいきものがない。男物は紺やグレー、茶で面白くもない。私は小柄なので女性物を時に仕立てますが、こんなんでいいのかな、そんな思いでした。私が店に戻って催事の勧誘訪問や電話を一切やめました。催事そのものもやめ、店頭で勝負しています。実際来店され、商品を見ているお客様に近づくと後じさりされているように、実際1歩後退、ということはあります。それだけ警戒されているんですね。でも最近はインターネットがあるので事前のお店を調べていらっしゃいます。来店されるので、やりやすくなりました。情報を、例えば「ネットにある木綿を見せて」ときっかけを作って下さる。楽になりました。チラシも値段ではなく、こういう物扱っています。こんなご相談下さい。としてからお客様も足を運びやすくなったように思います。いろんなお店がありますから、たくさんお店を見て選んで下さい。


アレコレ着る人委員会イベント(12)売る人交流③

2011-12-11 19:19:36 | イベント

こういう機会ですから本音で質問しましょう。まず最初に、「呉服屋さんは怖い」「敷居が高い」「まきまきされる」という言葉がネットでは飛び交っていますが、お2人はどのように受け止めていますか。

◎ひつじや/基本はお店はお客様のためにあります。お役に立とう、呉服屋を35年やってきたのでいろんな引き出しがありますから、活用して欲しいと思うのですが。かみ合わない。入店して何か見ている方に「いらっしゃいませ」というと「見てるだけですから」と怒る。やっと心が開けて、例えば「礼服の帯締め、帯揚げは-」とのお尋ねで「やはり白地に金銀が入ったもので-」というと、「何で、誰が決めたの。色物じゃだめなの」。何を決めつけているの、という感じで、訳の分からない反発をされ、それはそれでお客様がいいというのだから、恥をかくのはお客様だからいいんですが、「あそこで買った」と言われるからいい加減にもできず、どうやって理解して貰うか、時々面倒になっちゃう。昔は、お客様にきちんとした社会常識があり、物差しがあった。いまは、素人同士、呉服屋もお客様も素人で、お客様が素人なのはいいが、呉服屋の素人はいけません。繰り返しますが、呉服屋はお役に立ちたい。いろんな引き出しを持っているんで、活用して欲しい。商品や価格お店を見極めるのも1つですが、人で判断するのもお店選びの1つの方法ですね。信頼される関係をお互いに作ることですね。最近、この十数年マニュアルで呉服屋をやっているお店があります。小物でも何でも店頭で買ったら、礼状のはがきを出して、サービス品を提供し、親しくなったら3回目に催事に招待して、或いは何を勧めて…と、まあお店が売りたい物を客様に売っている。今はさすがにそういうお店は、なくなりましたといいたいのですが、残念ながら売り手本位の呉服屋は未だあります。サラリーマンですから売らないと首になりますからね。行き過ぎる事もありますね。それが「まきまき」ですかね。お客様もいろんなお店を回り、ドンドン質問をぶつけ、曖昧な答えしかできないお店は「勉強しなさいよ」と鍛え、お店を育てて下さい。それでもだめなら見限って。いろんなお店を見て、欲しいですね。それと地元のお店、緊急に時に役に立ちますから是非地元のお店も引き上げ、育てて下さい。