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いろいろ

賃貸住宅コラム(ビューティフルオーナーズ)第40回

2023-12-10 18:11:14 | 賃貸住宅サービス
悲嘆にくれる、自死遺族の心境

私どもは年間に何百人の自死遺族の方からご依頼を受け、ご遺品整理のお手伝いをさせて頂くのですが、自死遺族の中には精神的に大きく参ってしまっている方も多く傾聴しながら慎重に話す必要があります。

以前、私が伺った見積もり先でも、息子様の死によって受け答えがあやふやになってしまっているお母様もいらっしゃいました。
一見、気丈に振る舞っておられるのですが、お話しの中で何度か息子様のことを思い出されて話しが中断してしまうのです。
もちろん、私も慎重に言葉を選びながら話しをさせてもらうのですが、遺品整理の見積もりですので、極端に違う話しをするわけにもいかず、徐々に現状の事実をお聞きしてご遺族に寄り添ったサービスを提供しなくてはいけません。
その現場には、息子さんが自死に使ったカッターナイフが落ちており私が目をやった時に、お母様が「息子が実行するために購入したカッターだと思います」と言われました。
私も、そうだろうと推測ができましたが、お母様の「息子が実行するために」と言う言葉が頭から離れず、お母様のお顔をどのような表情で見ればいいのか悩んだという記憶があります。
亡くなってから、まだ3日目ということもあり、警察に行ったり葬儀社とのお話しがあって、現実と向き合いゆっくりとは悲しんでいられない状況だったので、恐らく葬儀も遺品整理も終わって落ち着いたころに精神的に辛いタイミングが来るのではないかと思いました。

自死遺族に多くみられるのは、自責の念にさいなまれてご遺族が自分を責めてしまうケースです。
あの時のあの言葉が、身内を死に追いやったのではないか・・・、なぜ本人の苦しみに気づいてやれなかったのだろうか・・・、など夜も眠れなくなり、感情のコントロールができなくなって泣いてしまったり、食欲もなくなってしまう方もたくさんいらっしゃいます。
中には個人に対しての怒りが出る時期もあるようで、最愛の方を自死にて亡くされてしまった場合は何年も立ち直れない人もいるのです。

また、昔は現在よりも自死した人が身内にいることで、ご近所からも変な目で見られるのではないかと言うイメージもあり、その事実を誰にも相談できない、誰にも話しを聞いてもらえず、抱え込んでしまって体調を崩してたり、遺族が自死に追いやられてしまったケースもあるのです。
他人であればそこまでの感情を抱くことは少ないのですが、特に肉親の場合は個人差はあるものの悲嘆にくれるのは自然です。

たった1人でこのような状況から立ち直るのは難しく、同じ体験者の方々と、悲しみや苦しみをともに分かち合っていくことが、立ち直りの近道だと言われています。
私どももそのようなご遺族に接したときには、グリーフケアを行っている団体を案内するようにしています。

賃貸住宅コラム(ビューティフルオーナーズ)第39回 1144

2023-10-14 13:37:40 | 賃貸住宅サービス
手放したくても手放せない不動産で頭を抱える遺族

30年以上前の日本では、長男が実家や家業を引き継ぐという考え方や慣習が残っていましたが、近年は家業を引き継いでも生活していけないという職種も増え、生活するための就職先を求めて地元を離れる人が大多数となりました。

このような過疎になっていく街は日本中に広がっており、毎月数件、実家の売却相談が入ります。
その中でも、実家の家は売却できるのですが、田畑などの農地が売却できなくて困ってるという人が増えています。

その理由は、農地法第3条という法律があって自由に売買できないようになっているからです。
「農地について売買等により所有権を移転し、または賃借権その他の使用収益権を設定し、もしくは移転しようとする場合は、農地法第3条の規定により農業委員会の許可が必要です。 農地が資産保有目的、投機目的等の対象として農業者以外の者によって取得されないようにしています。」となっていて、自分の土地でありながら簡単に売買出来ないのです。

相続に伴う取得の場合は、遺族が農業従事者でなくとも移転登記されるのですが、相続権のない第三者で農業従事者でない人が農地を取得しようとしても、農業委員会で許可してもらえないのです。
農業経験の全くない遺族でそんな法律が有ることを知っている人はほとんど居ないので他の相続財産と一緒に相続してしまいます。
その後、多くの遺族は不動産の相続登記をした時に農地法という法律を知り、慌てて農業員会や農協などに相談に行くのですが、簡単には売買出来ないということを聞かされ、どうしようもないので耕作地を放置してしまうというケースが激増しているのです。

ですので、もし皆さんが地方に農地を所有していて、相続人が農地として活用する見込みのない場合は、相続が発生する前に農協や農業員会に相談することをお勧めします。

また、農地を宅地へ変更する、土地の転用についても可能なのか不可能なのかはすぐにでも調べておいたほうが良いと思います。
転用については、司法書士への報酬以外にも、所有権移転登記や測量、地目変更、分筆、開発許可などにかかる費用は別途用意する必要があるため、場合によっては数十万円から100万円以上の費用がかかることもあります。

今回、私がご実家の整理でお手伝いしている地域では、この現状を打開するために宅地と一体となった一部の農地については、住民票を移し生活をする人であれば、農業従事者でなくとも耕作の意思確認だけで許可を出すケースも増えていると聞きますが、全国の農業員会がそのような判断になることはないと言えます。
また、農業をできない人が、地域で活動する農業法人に農地を借りてもらい地代を得ている人もたくさんいますので、地方で実家が農業を営んでいる方は調べておいてくださいね。

賃貸住宅コラム(ビューティフルオーナーズ)第38回 1144

2023-08-12 13:18:18 | 賃貸住宅サービス
終活とは感謝と礼儀と思いやり

人間には、必ず死が訪れます。
その死に対する準備をしておこうというのが、最近よく聞く「終活」と言う言葉です。
自分の死がいつ訪れるかわからないからその時に遺族に迷惑を掛けたくないから、事前に出来ることはしておこうという方が多いようです。
でも、逆に言えばいつ死ぬか分からないのに、なにをどう準備すればいいのでしょうか?

一般的には、エンディングノートに希望などを記入しておく、遺言証書を作成しておく、財産となる資産の整理をしておく、葬儀会館の見学に行く、墓地や納骨堂を購入しておく、友人知人を整理しておく、暗証番号やパスワードを書きまとめておく、などを行っている人が多いようです。

また、一人住まいの方で多いのは、以前にも書かせてもらいましたが、献体に登録しておく方や生きているうちに戒名をもらっておくという方もいらっしゃいます。
持ち家の方は、亡くなってから遺産分割協議の後に所有権の移転登記を行ってから売却してとなると、価値も落ちていて、手続きにも時間がかかるので、自分の意志で今のうちに持ち家を売却し家賃を払ってそのまま住み続けるという、リバースモーゲージやリースバックを行うというのも終活の一つです。

日本では、2000年以降に納骨堂が出来たり、エンディングノートが出版されたり、葬儀の形を選択できるようになったりと死についての話がタブーなのものではないという認識が広がり、自分の最期の終わり方を希望できるようになったのです。
しかし、昔は本人の希望どころか選択の余地はなく、地域の慣習に従った葬儀式を行い、先祖代々決まった墓に納骨されるのが当然で、現在のように自分の希望で納骨堂や海洋散骨、樹木葬をお願いしておくなんてことは許されませんでした。

現在、これらを行っていたからといって長生きできるとか、幸せな死を迎えられると決まってるわけではありませんが、多くの方は自分の安心のために行っているのです。
遺族に迷惑が掛からないようにと言う気持ちも、自分が安心したいための気持ちの一つですからね。

実際に人が亡くなると、様々な手続きを行わないといけません。
それは本人が自分でに行っておくことにできないことですから、死後に誰かに手伝ってもらわないと出来ないのです。
生前葬などを行っている方もおられおますが、その後10年以上生き続けたらなんか変な感じがします。
また生前葬をしていたからといっても、遺族の立場からすると何にもしない、誰にも伝えないなんてことはありません。
やはり、葬儀式を行い、火葬をして納骨までは遺族にお願いしておかないといけないのです。

死にゆくものの選択権(終活)とは、この世に感謝し、遺された遺族に負担を掛けないための礼儀と思いやりなのかもしれませんね。

賃貸住宅コラム(ビューティフルオーナーズ)第37回 1144

2023-06-10 13:13:57 | 賃貸住宅サービス
相続手続きにおける専門家を確認する

キーパーズには、遺品整理以外にも不動産の売却希望や、相続手続きのご相談のお電話がよくあります。
相続手続きも遺品整理の一部と考えることもできますので、キーパーズのパートナーである全国の専門士業をご紹介しています。

その中で、相続の手続きを依頼するのは、弁護なのか、税理士、司法書士、行政書士のどこに依頼すべきかご存じではないご遺族が多いなと思っています。

どの士業も、相続手続きの相談を受けることは出来ますが、相続手続きを積極的に受けている事務所と、相続は基本的に受けていないという事務所がありますので、知り合いであったり、紹介を受けても相続手続き業務を専門にしている事務所かどうかを確認してから依頼するようにしたほうが良いと思います。

例えば、相続手続きの業務の中でも、遺族間や第三者と争いが起き裁判に発展する場合などは弁護士しか対応できず、依頼者の代理人として業として活動出来るのは弁護士しかできません。
また、相続税に関する手続きや申告などの業務は税理士、不動産のなどの相続に伴う登記や遺言の執行者などは司法書士、行政書士は遺言書の作成や行政機関における書類収集や作成は出来ますが、相続における登記や申告業務が出来ないので業務範囲は狭くなります。
また、相続した不動産の売買や、賃貸としての貸し出しについては、宅地建物取引士に依頼しての査定や売買契約業務を依頼しないといけません。
その他、骨董品やリサイクル品についても、古物商許認可をとっている業者に買取を依頼する必要もあります。


但し、各事務所とも相続手続き業務を一つの専門士業ですべて対応することが出来ないので、各士業が在籍している事務所もありますが、ほとんどの士業が各専門士業とのネットワークを持っているので、窓口がどの士業でも取りまとめて一括で相談をすることが出来る場合がほとんどですが、依頼する必要がある場合は初めにどうように対応するのかを確認しておいたほうが良いでしょう。

また、相続手続きセンターのような名称の会社もありますが、代表者が資格者でなくても社内に資格者が在籍しているかは必ず確認しておいたほうが良いと思います。
そして、焦って依頼をせず、どこに依頼すべきかは自分が面接官になったつもりで色々話をしてみて、人柄の良いと思える専門家に依頼するようにしてください。

キーパーズでも、古物商許可証や宅地建物取引業や運送業許可や一般廃棄物許可など様々の許可を有していますが、他の専門書士業については各事務所と提携を行っているので、相続の窓口として相談をお受けしています。

他の機関として、市・区役所の無料相談、多額の相続財産の運用などについて相談したい場合は信託銀行があります。

賃貸住宅コラム(ビューティフルオーナーズ)第36回 

2023-04-06 16:33:47 | 賃貸住宅サービス
不在者財産管理人制度をしっていますか

賃貸経営をしていると、入居者が長く行方不明になって家賃の未納状態が続くというケースが多々あります。
家財道具は部屋に残したまま、全く連絡が取れないで保証人にも連絡が取れない場合はどうしたらよいのでしょう。

もちろん未収の家賃を回収することはもちろんですが、出来れば早々に荷物を整理してしまい、別の人に入居してもらいたいと思いますよね。
しかし、そこに残っている家財道具をオーナーが勝手に処分してしまうことは出来ません。
本人に連絡が取れない、滞納家賃が毎月増えていく、処分費用はオーナーが負担する、といっても勝手に処分することは出来ません。

偶然にも、行方不明だった借主が現れて、処分してしまったことの異論を唱えなかった場合は問題にはなりませんが、裁判所に訴えを起こされると負けてしまうかもしれません。
現実には、何か月も滞納して、音沙汰の無かった借主がいきなり帰ってきて、未納家賃を払うなんてことは基本的にはありません。
しかし、法律上では勝手に処分は出来ないのです。

では、このような場合、永遠にそのままにするしかないのでしょうか?
万が一、このような事が起こった場合は、利害関係者であるオーナーの立場として、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申し立てを行うことが出来ます。
そうしたら、裁判所が利害関係のない人で弁護士や司法書士を不在者財産管理人として選任します。
しかし、そのためにかかる費用は申し立てをした人が負担しないといけません。

その上で、不在者財産管理人が財産の管理と保存を行い、財産の調査や目録を作成して裁判所に提出をします。
さらに、財産を処分するための必要性や相当性といった根拠をまとめて裁判所に申し立てをして、審理後に財産処分を追行することになるのです。
この行為を、「権限外行為」と言い、不動産や家財を売却して現金化し債権者に分配するのです。
仮に処分した財産が、不在者財産管理人に支払う費用を上回る金額が有れば、申し立てた時に払った費用は返金されます。
また、滞納されている家賃もそこから支払ってもらうことも出来るのです。

しかし、何か月も家賃を滞納しているのに、これ以上の負担をして申し立てをするなんてバカらしくて出来ないよと言うオーナーが多くなりますよね。

もし、私なら整理する前の室内の写真を何10枚もとっておき、少しでも価値のありそうなものはその都度写真撮りして、段ボール箱などにまとめて、10年は別の場所に保管しておくようにします。
そこまでして、おけば仮に不在者が現れて、文句を言われても大きな問題になることはないと思うのです。

そもそも、普通の入居者は、そんな価値のあるものを放置して、家賃を滞納するなんてことはありませんからね。