委任状や契約書に自筆でサインができるうちに
キーパーズでは、ご遺族から遺品整理だけでなく不動産や車の売却など様々な相談が入ります。
その際に必要になってくるのが、委任状や契約書などの書類です。
依頼者の多くは相続人となる方々からですが、高齢の方が相続人であることも少なくありません。
その時に意識しているのは、手続きを敏速に行うことと同時に、依頼者が申込み時に自分の意志をもって自筆でサインができるかどうかの確認です。
10年くらい前ですが、ご自身が一人で生活をするのが難しくなり、施設に入るので住んでいたマンション売却のお話がありました。
ご依頼後、なかなか買い手が見つからなかったのですが、半年後やっと売り先が決まったのです。
ご本人にすぐに報告しましたら、「やっと売れたのですね。ありがとうございます。」と、とても喜んでくださったのです。
ところが、一週間後に売買契約を開始しようと伺った時には、ご本人の意思表示が不可能になってしまったのです。
高齢の弟様が立ち会ってくださり、一所懸命ご本人に問いかけてくれたのですが、ほぼ反応もなくボクも焦った記憶があります。
この方の場合、ペンを持って字を書くことができなくなっただけでなく、何度も話をしていた私の顔もわからなくなってしまったので、司法書士に依頼して法定後見人を選任してもらう手続きを依頼することになり、予定外の費用と時間がかかってしまったのです。
またある方の場合は、ご遺族の相続人を確定するための調査を弁護士に依頼する際に、相続人からの委任状をもらう必要があったのですが、ご本人が書くのが難しいからと奥様が代筆して送ってこられたのです、はじめは私も気づかなかったのですが、どうも話の流れがおかしいので確認するとご主人に頼まれたので自分が書いたとおっしゃったのです、もちろん再度書き直して頂きましたが余分な時間や郵送などの費用も発生しました。
不動産の売買や登記に関わる場合は、ご本人の意思確認はもちろん、実印と印鑑証明、そして自署サインであることが必須なので、高齢の親や親せきが契約などを行う可能性がある場合は特に注意しておいたほうが良いと思います。
また、ビューティフルオーナーズをお読みになってらっしゃるオーナー様の多くは、賃貸物件を所有しておられ将来、事業承継や相続の問題をかかえてらっしゃることも多いとは思いますが、ご自身が高齢になったときのことを考えておきある程度早い段階から、準備をしておくことはとても重要だと思います。