「あっリーダー、お疲れ」
シャワーを浴びてすっかり綺麗になったリーダーに
そう声をかけると、ちょっと不満そうな表情を見せた。
「……。」
その表情に何も言えなくなって、
黙ったままその顔を見つめると
「……オレを落とせて満足だった?」
ちょっと悲しそうな表情になるとそう言って
自嘲気味に笑った。
「えっ?そんな事…」
そう言いかけた途端
「あっ翔くん」
ちょうど部屋から出てきた翔さんを見つけると
そのまま走って行こうとする。
「ちょっ、待…」
“待って”という言葉を最後まで言えなくて
その走っていく姿をただ見守った。
リーダーは翔くんに駆け寄ると、何かを訴えている。
翔くんはいつものようにリーダーを優しく受け止めている様子で
その華奢な肩を包み込むように抱きしめた。
その姿をぼんやりしながら眺める。
「どうしたんですか?」
あまりにも呆然としていたのか
ニノがそう声をかけてきた。
「リーダーに落とせて満足だったかって言われた」
言われたその言葉にショックを受けつつ、
そのまま答える。
「そりゃそうですよ。
リーダーは優しくされるのが好きな人なんですから。
それは潤くんが一番よく知っているでしょう?」
そう言ってニッコリと笑った。
「……。」
確かにニノの言うとおり、
リーダーは優しくされるのが大好きな人だ。
でも何故か優しくない言葉をつい言ってしまう。
リーダーの事が大好きなのに。
「ま、リーダーの事だからすぐ機嫌も直って
いつも通りになりますよ」
そんな事を考えていたら、
まるで心を見透かしたようにそう言って笑いかける。
そして肩をポンポンと叩くとじゃあと行ってしまった。
その姿をぼんやりしながら見送った。
家に着いてもまだ智さんは不満そうな表情をうかべている。
「智くん、今日は風呂でも入って、ゆっくり温まってから寝よ?」
風呂に入れば少しは気分も変わるかな?
そう思い誘ってみるが
「さっき綺麗にしたからいい」
あっさり断られる。
「ま、そうだけどさ。さっきはシャワーでしょ?
お風呂に入ってゆっくり疲れでも癒そ?」
そう言って半ば強引に誘うと、一緒に風呂に浸かった。
そしていつものように縦に並ぶように入ると
智さんは身体全体を預けるように寄りかかってきた。
その身体を受け止めるようにして両手を前側に回す。
「翔くんも落とすの大変だった?」
身体が暖まり少し機嫌が良くなってきたのか、
さっきまで無言だった智くんが後ろを振り向くと
そう言ってきた。
「ああ、あの黒いの?
大変だった、大変だった。あれはひどいよなあ」
そう言って笑いかけるとそうだよね、と智さんも小さく笑った。
“少し気持ちも落ち着いてきたみたいでよかった”
そう思いながら風呂から上がると、
いつものようにテレビや録っておいたもの。
メールやパソコンなど一通りチェックする。
それを智さんは隣にぴったりと寄りそい見ていた。
そしてそれも飽きてきたのかだんだんウトウトし始めてくる。
「眠くなってきちゃった?もう寝よか?」
そう聞くと智くんは目を閉じたままの状態で
うん、と小さく頷く。
「ふふっ。そのまま寝る気でしょ?
もう、しょうがないなあ」
そのままほっておくとその状態のまま寝てしまいそうだったので
ゆっくりと身体をずらすとその身体を抱き上げ、
ベッドまで運んだ。
そしてベッドに横たえ、身体を離そうとすると
智くんは腕を回し身体にしがみついてきた。
「……智くん?」
どうしたのかと名前を呼ぶと
「翔くんもこのまま寝るでしょ?」
薄く目を開くと不安そうな表情で尋ねてきた。
“ああそうか、機嫌が悪かったんじゃなくて、落ち込んでいたのか”
「うん、じゃあもう一緒に寝よか?」
そう言うと智さんは嬉しそうな表情を見せる。
一緒にベッドに入り、横に寝ている智さんの顔を眺めていると
「ずっとそばにいてね?」
智さんは目を閉じたまま小さくそう呟いた。
「当たり前じゃん、智くんがウザいと思っても
ずっとそばにいるよ」
珍しく弱気になっている智さんにそう言って笑いかけると
「翔くん、好き」
そう言って抱きついてきた。
「俺も好きだよ」
そう言って抱きしめ返すと
智くんはゆっくりとその綺麗な顔をあげる。
目と目が合う。
そのまま顔を近づけていってその唇に唇を重ねた。
「翔くん、大好き」
唇が離れると、そう言ってぎゅっと強く抱きついてきた。
“ああ可愛いすぎる”
「たとえ智くんが嫌だって言ったって、ずっとそばにいるよ」
そう言うと智さんはうん、と嬉しそうに小さく頷いた。
そしてそのまま包み込むようにその身体を抱きしめると
その額にちゅっとキスをした。