人材開発・組織開発コンサルタントZOFFY雑感

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ファーガル・クインの経営哲学

2007-01-31 22:15:05 | ビジネス・コラム
唐突だが、「アイルランドを代表する人は?」と聞かれて私が思い浮かぶのは、ロックバンドU2、クランベリーズ、それにエンヤ。この国には音楽の分野で世界的に有名な人たちが多い。

しかし、もう一人、世界が注目する有名人がいる。

ファーガル・クイン。

アイルランドのスーパーマーケット「スーパークイン」の創業者で現在も代表取締役を務める。1984年にはアイルランド郵政サービスの会長を努め、1993年からはアイルランドの上院議員でもある。

世界が彼に注目するのは、彼の徹底した「顧客志向の経営哲学」である。

最近読み終えた彼の著書

お客さまがまた来たくなる ブーメランの法則

かんき出版

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では、彼が実践してきた「顧客志向の経営哲学」のエッセンスが紹介されている。以下にそのポイントを私なりに要約して紹介する。

(ポイント1)商売は「リピートビジネス」として捉える
商売の機軸は「お客様に戻ってきてもらうことを最大の任務」と考えること。今、自分が提供しているサービスをもってして、お客様は「また、ここに買い物しに来よう」と思ってもらえるか?常にそれを判断の根拠とすること。

(ポイント2)お客さまの声を聞くしくみをつくり、クレームを歓迎する
お客さまの声を聞くしくみをつくること。ただし、目的は「クレームを減らす」ことではない。逆に「クレームを増やす」という発想も時には必要である。いくら良いサービスを提供していても、すべてのお客様を満足させることは不可能である。不可能であれば必ずクレームは存在するものである。経営者が「クレームを減らす」という経営目標を掲げた場合、社員に「お客様のクレームを封じる」ことを暗に示してしまっている可能性を疑う必要がある。

(ポイント3)自ら顧客に接近する
お客様の声を聞くしくみは「モニター会議」「アンケート」など様々である。しかし、これらの手段は、サービス提供者がお客様に“聞きに行く”ものである。積極的に聞きに行く姿勢は必要である。が、これだけでは本当のお客様の声を捉えることはできない。本当のお客様の声を捉えるには、“お客様から話しかける”ことができる態度・雰囲気をつくることが必要なのである。店員はもちろん、経営者自らが顧客接点に顔を出し、普通ならわざわざ言わないであろう些細な不満でも受け止める雰囲気をかもし出すことが大切である。ファーガル・クインは、これを実践するために、本部機能を廃止し、会議やミーティングを店舗内で行うよう徹底している。お客様の些細な不満にも、経営者自らがリアルタイムで対応できる体制を整えているのだ。

(ポイント4)プラスアルファの差別化は「驚き」「楽しさ」「心地良さ」
商品やサービスの質が全く同じお店。そんな2つのお店があったら、お客様はどちらのお店で買物しようとするか?こんな競争状態にあるとき、お客様は、もう一歩踏み込んで「そのお店は楽しいか」「そのお店は心地いいか」という感覚的なことで選択するに違いない。お客様の究極の選択に耐えうるお店には、お客様に足を運ばせる楽しさと驚きをつくることを心がけなければならない。

以上、私なりにファーガル・クインの経営哲学をまとめさせてもらった。

利益を追求する企業には必ず顧客が存在する。そして、多くの企業は利益をあげ存続していくことを目的としている。その為、企業のトップは常にこうした哲学を持ち徹底して実践する必要がある。

顧客の存在を忘れ哲学も何も持たない企業が、多分、不二家のようなことになってしまうのだろう。もし、不二家に再生する意思があるなら、是非、本書から「ファーガル・クインの経営哲学」を学び取ってほしいものである。

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2 コメント

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Unknown (acb)
2007-02-01 15:32:17
 ダスキンの代理店をしている(株)武蔵野。
まさに商品は同じながら 圧倒的に業績を上げています。
ダスキンが30人招待する海外旅行?・・・かな?
その24人が武蔵野の営業マン。
この会社、会社見学は有料です。
その経営をそのまま商品にしちゃっています。
入ってみると その整理整頓振り 床のきれいさに驚きます。社員一人一人が立ち上がって挨拶してくれます。
まさに感動もの。
銀行が自ら融資を申し込んでくるのもうなずけますよ。
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acbさんへ (ZOFFY)
2007-02-01 20:13:21
acbさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

さて、acbさん。驚きました。
昨日、私も小山昇さんの『強い会社をつくりなさい』をアマゾンで購入したところなのです。

明日、明後日には、手元に届くと思います。

やはり、経営哲学を持ったカリスマ経営者の経験談は、為になりますよね。acbさんもご推奨とあらば、この本、買って損はなかったようですね。

読み終わったら、また、感想を投稿させていただきます。
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