daiozen (大王膳)

強くあらねばなりませぬ… 護るためにはどうしても!

星空へ店より林檎あふれをり

2014年09月26日 | 橋本多佳子-鑑賞


橋本多佳子のこの句は多くのブログで採りあげられている

林檎は価格的に大衆的な果物で誰もが親しみを持つと思われる
林檎ジャムや林檎ジュースは家庭でお馴染の定番メニューだし
野菜サラダの味を甘く風味豊かに引立てるスグレ物の林檎だし
料理の下味付けに林檎が感じられると豪華な気分になる私だし

そうはいっても林檎に余所よそしいイメージも私は持っている
西洋をイメージするのは白雪姫かウイリアムテルの影響なのか
あるいはアダムとイブの楽園の林檎の話を想い出すからなのか
つまりそれほど異国的な果物だと私に想われている林檎なのか

多佳子の林檎はどうなんだろう‥私のと同じものなんだろうか
木箱のモミ殻のなかから現れる林檎は本来の光を失ってみえる
それを私の掌で擦ると糠が剥げて美しい輝きを取りもどすのだ
あたかも夜の雲のすき間にチラチラ揺れてみえる星々の照りだ

豪華な王冠の輝きでなく、ダイヤの指輪ほどの意味もないかも
地に落ちている微細な砂粒の欠片に光が反ねたほどの輝きかも
今ごろの幼児なら見向きもしない全然価値のない土石の光かも
そんな変哲ない硝子にも瑠璃と名づけて愛した時代の意識かも

それらの光が転げ転がりどんどん昇って夜空に溢れ煌めくとき
それらの光は自己主張せず互いに認め合う穏やかな世界を作る
光と光・お互い補い合って天を埋めつくすまで広がっていって
そんな光が星星となって地上を柔らかく照らしているこの世界

もしそれが本当になったらと想像して林檎が並ぶ店頭を眺める
足るのかな不足かな、大丈夫、こんなに溢れている林檎だもの
いやあ、私はとっても愉しい夢を見ていたみたいな気持ちです
       星空へ店より林檎あふれをり




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