伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

一般質問で廃炉の立場の表明など求めました

2012年06月22日 | 市議会
 21日に一般質問を行った。テーマは、①双葉郡の避難者に関する市長の発言、②県内原発の廃炉を求める立場の表明、③自主的避難者の放射能検査、そして④いわき市独自の放射線教育の構築、の4つのだった。

 パチンコ発言は慎重さ欠く

 双葉郡の避難者に関する市長の発言は、「東京電力から賠償金を受け、多くの人が働いていない。パチンコ店も全て満員だ」と語ったとされるもの。4月9日に平野復興相と市役所で意見交換をした後のぶらさがり会見での発言のようだ。

 市長はこの発言について、「平野復興相との意見交換で双葉郡の避難者と市民に温度差が出ているとしたことについて、記者の質問に、私に市民から寄せられた『ごみの分別ができていない方々がいる』など5例ほどの温度差の事例をあげた。その中の一部だけが報道された。もともと温度差の発言は、国のしっかりした対応を求めるための発言であり、いわき市としては双葉郡の災害公営住宅はしっかり受けていくし、マスコミが一部だけとった報道は私にとって不本意」と釈明しました。

 また市長は、「震災当初、市が借り上げ住宅や仮設住宅をいわき市が作るといったときに、県は県民の災害住宅を作るからと止めたのに、(双葉郡の)災害公営住宅については代行(管理は町村という)するという。だから災害公営住宅は県責任でつくるべきと求めている」という主旨の発言もした。震災後の県の対応に、よほどの不満を持っているようだ。だからといってぶら下がりとはいえ、記者の質問に答えるという公式の発言で、報道された発言内容が妥当かどうかということになれば、話は別。避難者を傷つけるものであり、妥当さを欠くだろう。慎重な発言が求められる場面といえる。

 県内原発廃炉の立場を表明せよ

 県内原発の廃炉を求める立場の表明を求める質問は、今回で4度目になる。質問のたび市長は、県内の全ての原発の廃炉を求める県の判断を尊重すること、また、福島第一原発の5号機、6号機は廃炉を求め、第二原発の再稼動はありえないと考えるが、数十年先の廃炉ではなく、今現在の安全の確保のために原子炉格納容器からの燃料取り出しを求めるとする立場を表明してきた。

 私は東電が第二原発の再稼動を、東電が視野に入れている現実を考える時に、燃料取り出しだけ求めても実現性は薄く、廃炉という目標を持たせてこそ燃料取り出しを、現実味を持って求めることができると質した。

 市長は、「原子力行政は、立地町の考え方を十分聞きながら、県が判断をすべきであり、廃炉について県は判断をした。また、第二原発の再稼働はあり得ないという考えも表明してきた。仮に廃炉をするにも年数がかかることを考えれば、原発の不安を解消するために格納容器から核燃料棒を分離し、安全な場所で保管すること。これが何よりも肝要だ」という考えを繰り返した。

 しかし、全ての県内原発の廃炉を求める市民からすれば、「(廃炉を求める)県の判断を尊重」「第二原発の再稼動はあり得ない」などの、廃炉という課題の周辺に関わる言葉を重ねて立場を説明するより、「本市としても廃炉を求める」と明確に表明したほうがどれほど心強いか。「廃炉」と言わないのは何か事情があるからと勘ぐる向きもある。「廃炉を求める」と態度を表明させることができなかったのは、「原子力エネルギーからの脱却」という方向を示してきたいわき市の立場からも、また市議会の立場からもとても残念だ。

 放射線の検査体制の充実

 いわき市の汚染は放射性のヨウ素131が中心と報道され、子どもの甲状腺の早期検査を求める声がある。この声に応えることを求めた質問に、「本市の甲状腺検査は、平成25年度とされているが、最低限の対応として、県民健康管理調査の基本調査で推計された外部被ばく線量が高い値を示した子どもや、市内でも比較的線量が高い地域の子どもを対象とした検査を今年度から実施するよう、県に対し要請した」と保健福祉部長が答弁した。

 ヨウ素の汚染が強かった報道されていることを考えれば、全ての子どもの検査が前倒しで行われる必要があると、前倒し要求の対象者を拡大することを求めた。

 また、自主的に県外に避難した方の甲状腺検査については、46都道府県に少なくとも1ヶ所以上の検査実施機関を確保することで、避難先における検査体制を整備し、避難区域等市町村の対象者から順次実施すると福島県が説明しているという。早期に体制が整い、検査が実施されることを望みたい。

 一方、ホールボディーカウンターによる体内被曝の測定に関する市の対応を保健福祉部長は、「検査実施の個別通知がされており、帰省などのおりに検査できるよう、柔軟に対応している」としただけだった。
 放射性物質に不安を覚えて避難している方々だから、少なくとも避難先の最寄の研究機関などの協力もいただきながら測定する体制を構築するなどの手立てをとる必要があるだろう。

 独自の放射線の教育内容構築を

 放射線教育のために文科省が作成した副読本はすこぶる評判が悪い。読んでみると放射性物質は自然界にもあり日常的に被曝していることとともに医療などにも活用されていることをことさらに強調する結果、放射性物質は安全という側面だけがクローズアップされているという印象を受ける。

 原発事故で放射性物質の拡散されたもとで必要な知識である、「長期間に渡る低レベル放射性物質の影響は分かっておらず、できるだけ被曝を避ける必要がある」という放射線防護学で広く合意されている考え方や、現実にどのように放射性物質から身を守るかなど、本当に必要な知識をしっかり身につけるという点が不十分と感じる。

 本市独自の教育内容の構築を求める質問に教育長は、次のように答えた。

「放射線教育につきましては、それぞれの発達段階において行われるが、ちなみに小学校1年の場合「放射線から身を守るには」、あるいは「放射線ってなんだろう」というように、だいたいの年次において放射線から身を守るということについては触れるようにしている。
 基本的に放射線に関する教育も、子どもたちの「知・徳・体」の育成に資するために行うものであり、そういった基本の部分はゆるがせにできないと思う。
 この基本を大事にしながら、児童生徒の発達段階に応じて放射線等について学び、自ら考え、判断する力をはぐくむよう、そのような放射線教育を行うよう指導しているところであり、今年度から本格的に始まったということもあるので、そういった工夫も凝らしながらなお取り組んでまいりたい」

 本市では教育実践はまだ少ないとも聞く。子どもたちが余計な不安を覚えず、同時に自ら身を守る知恵と力を身につけることができるよう、より良い教育が構築されるよう、引き続き見守っていきたい。



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