白血病闘病記は(1)で一旦終了します。

白血病闘病記(2)「再発編」は、後日掲載予定です。
少しの間、撮り溜めた写真をアップしていきます。

無菌室のはじまり

2021-06-19 12:29:08 | 日記
 2017.04.05

  抗がん剤治療開始後すぐに無菌室に入れられたのだが、病室から出るのは

  許可されていた。

  シャワー室が部屋の外にあり、他の患者さんと共同で予約制になって

  いて、看護師さんがいつも予約を取ってくれていた。

  カテーテルを挿入している箇所に保護シートを貼り、水の侵入を防ぐ。

  抗がん剤治療中は24時間投与し通しの為、一旦流れを停止しカテーテル

  からチューブを外すことは出来ないが、抗がん剤投与が終了し

  抗生物質、生理食塩液の投与中に関しては、それが可能であった。

  シャワーの時間が限られているのでその時間内に終わらせないといけない

  為ゆっくりとは出来ない。

  それでもやはり気持ちがよくサッパリとした気分で部屋へ戻れる。

  トイレは部屋の中にあるのだが、決まりは無く病棟中央にある共用の

  トイレを使用することもできる。

  白血球の数値がほぼ "0" に近いところまで来た時、部屋から出るのが

  禁止になった。

  本来、病棟の廊下からナースステーションに至るまで、普通に歩いて

  いても空気中の雑菌、細菌などが目に見えない範囲で100万個以上は

  浮遊しているため、そこを通るにはまさに命がけである。

  言うまでもなく、部屋からでた瞬間に感染してしまう。

  無菌室は、100%の無菌状態(菌が”0”の状態)を作り出すことは不可能

  だがそれに極力近い状態まで持っていく事は可能である。

  アイソレーターシステムといい、特殊なフィルターで濾過した空気を

  部屋の天井から床に近い壁面のフィルターへ流すことにより、部屋の

  中の空気の循環を一定方向にし、より無菌に近い状態を作り出す。

  それでも部屋中の空気中に浮遊する雑菌、細菌は100~1000個は存在する

  という。

  トイレについては部屋のを使用できるが、シャワー室へ行けない。

  部屋の中に洗面台はあるが、当然のことながら体は洗えない。

  清拭と言い看護師さんが熱いおしぼりを4~5本持ってきてくれ、

  それで体を拭いていく。

  自分で出来る状態だったので、いつもおしぼりを貰い拭いていた。

  最初は慣れない為か、1か所ごとに息を切らせて体全部を拭き終わる

  頃には、放心状態だった。

  その日から部屋から一歩も出れなくなり、孤独、無音、虚無感が

  襲ってくる。

  備え付けのテレビは見るが課金制で、見放題という訳にはいかない。

  他に楽しみと言えば、持参してきたタブレットぐらい。

  本、雑誌などは外から持ち込まれる為禁止。

  紙に付着した雑菌もいっしょに持ち込まれ、何らかの原因で、

  白血球 ”0” の無防備な体に入り込み障害を引き起こすのである。

  限られた空間、限られた娯楽、人と接することと言えば早朝の採血、

  1日に2~3回の検温、血圧測定で看護師さんと2、3言の会話。

  1週間はこの状態が続く。

  果たして自分はいまのこの状態に耐えられ、部屋を出ることが

  できるのだろうか。

  言いようのない不安を感じた。