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別宮貞雄に聴く~その1(ダリウス・ミヨーについて)

2014-05-05 23:35:30 | 日本の音楽家

別宮貞雄(べっくさだお,1922-2012)は日本の有名な作曲家です。「交響曲第1番、第2番」(Naxos)を聴いたらオーケストラがよく響き、「これを日本人が書いたのか!?」って少し驚いてしまいました。親しみやすい中に新鮮な驚きがたくさんあります。特に第1番の開始はマルティヌー第2交響曲のそれを思い出させる複調性で、やっぱりミヨーの弟子だけある!?(←ぜんぜん違うかも?)


『音楽芸術』昭和29年12月号に「別宮貞雄に聴く」という座談会記事があり、特にミヨーとメシアンについて別宮さんが語る部分が面白かったです(聞き手は柴田南雄と平島正郎)。今回はまずミヨーについて別宮さんが話す部分を要約します。

別宮氏はパリのコンセルヴァトワール(パリ音楽院)で3年間作曲を専攻し、ダリウス・ミヨー(1892-1974)の作曲科で学んだ。

1.ミヨーは細かいところをああしろ、こうしろとは言わない。良いところは良いと言って、悪いところは悪いと言うだけ。未熟ながら生徒の個性を尊重する。悪いところは自分でそこを勝手に直せというようなもんです。それで彼が信条としているのは、「みんなが自分のような曲を書くようになってはならない」ということ。

2.曲を書くのが早い。カリフォルニアからパナマ運河を通ってフランスまで、二週間くらいかかるかな。その間に一つシンフォニーを書いたり、これは伝説的だけれども。とにかく、彼の住んでいるところはモンマルトルの歓楽街の中心の近くでとってもやかましい。彼はそういう所が好きで、そういう音を聞きながら書いている。一言にして彼の性格を要約するのはむずかしいけれども、彼が一番好きなのは「自由」なんだ。束縛は嫌い。音楽は陽気なのが好きなんだ。それで中にある内容的なものも、深刻な思わせ振りなのよりも、ポエティックなものが好きなんだ。彼はリリックと言うけれども。だけど面白いのは、彼の言っていることだとか文章からすると、オネゲルなんかは全然嫌いなように思えるけれども、実はオネゲルとは仲がいいんだ。

3.彼自身自分で言っていることに矛盾することもあります。彼は非常に自由に書くと言っていますが、外から与えられた束縛じゃなくても、やはり自分の方法というものを持っている。そうじゃなければああいうふうに早くは書けないと思う。

4.子供はダニエルという絵書きが一人いる。

5.ミヨーはリウマチなので、クラスは自分の家でやるんですよ。だから雰囲気が愉快なんですね。学校の教室は何処も同じで殺風景でしょう。家にはいろいろな物がある。生活がそこにあるから非常に気持ちがいいですよ。

6.殊に若い世代で右のほうの人【保守的な人?】はミヨーは間違った音を使うとか、悪口を言っています。間違った音というのはコンセルヴァトワール式のハーモニーの感覚を持たなければわからないけれども。。。これは私の意見だけれども、ミヨーというのは伝統的なソナタ形式なんかは使わないでしょう。しかしそのことよりもどちらかと言うと彼のハーモニー感覚が嫌われる原因になっているようですね。



。。。ミヨーは彼の音楽どおりの陽気な、大らかな人間だったんですね!



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