私は妻が子を連れ、寝室へ向かっていくのをにっこりと落ち着いた笑顔で見送った。
「ほら、パパにおやすみなさいは?」子供も妻に少々せかされながらも、眠たく
あどけない顔をこちら「パパァ、おやすみぃ……。」とムニャムニャといった。
「ぁあ、おやすみ。良い聖夜を。」私もそれにこたえてた。
妻と子供は寝室に向かっていった。
そう、明日はクリスマス。ちゃんと子供の枕もとには靴下を吊るし、今頃、
クリスマスの思いを頭で楽しげに這わせながら、寝床につくころだろう。
私は安楽椅子に深くもたれながら本のページに目を通していたが、パチパチと隣で
薪を燃やした空気がふわふわ頬を撫でていくので、猛烈な眠気がまるで瞼を永久
磁石にしたかのようにしていくのを感じる。とてもじゃないが本なんて読めたもん
じゃない。すると、手元に丁度よくブランデーがある。これで最後にするかな。
私はそれを手にもちグラスに原液のまま、少々注ぐ。これくらいしなきゃ。
「私の分もお願いできる?」子供を寝かし終わったか、妻がやってきた。私は「勿論。」
と頷き妻にも同じように少々、原液のブランデーをグラスに注いだ。
私達はそれを乾杯して、口に含める。体があったかくとても幸せな気分だ。
「さてと、私達ももう寝ましょうか?」妻は顔を少々ブランデーで赤くさせながら、
私に向かって言う。そうだな、と私が言いかけたその時、ふとクリスマスに基づいた
面白い話を聞いた事を思い出した。
「いや、ちょっと聞いた話があるんだ。」私はそう言って、妻に語り始めた。
ある日、幸せな家族の元にサンタクロースがそりに乗って空から煙突に入っていった。
だが、その暖炉はなんととてもとても狭く、入り組んでいてサンタクロースはとても
入るのに苦労したようだ。そして、ようやく暖炉の中まで足を入れた時、火がもえた
ぎる真っ赤な薪があったということだ。それに暖炉には重い鉄の扉がついていて、
開かない。
どんどんとサンタクロースの脚からは火が伝っていったが、彼は家の中の人を起こすまい
起こすまいと必死に耐えなんとか暖炉を上ろうとした。が狭く入り組んでてあがれない。
次のクリスマスの朝、家族が暖炉を開けるとそこには真っ赤にくすぶって暖炉に立ったま
ま息絶えたサンタクロースが居たようだ。家族はサンタクロースに対して必死に謝罪をし、
フィンランドとロシアの国境、サンタクロースがすんでいるとされる街に、死んだ彼の灰
と遺骨を送ったんだ。その灰は、その街で1年後の聖夜にまかれたといわれる。
それからも、その家族のもとでは幸せな事が続いたようだ。
「夜寝る前に、ちょっといい話聞けたわ。さ、もう寝ましょうよ。」
妻はそう言って、私のほおにキスをした。私もそれにこたえ、キスをし寝室へ妻と向かった。
―次の日の朝。
子供は枕もとにあった自分宛てのプレゼントによろびはねまわり、外の光景を見てさらに
その喜びに拍車がかかっていた。外は真っ白な光景、白銀の世界だった。昨日の夜の内に
降り積もったのか白い雪は庭や車にふっさりとしとやかにかかり、空には雲の切れ目から
差し込む太陽光がまるで机上の空論などすべて無に等しくしてしまうような、圧倒的な
美しさと情景を持って差し込む。
その時だ。
「キャアアァァァアッ。」リビングの方で妻の叫び声が炸裂する。
私は子供を寝室に、まっていろ、といって残していきリビングへダッシュした。
叫び声からして只ことではないようである。彼女がこんな声を上げるのは家に大きな
ミッ○ーマウスが来たときか、私の普段のスーツに長い女性の髪の毛が付着するくらいだ。
リビングに入ると、妻が今にも失神しそうな顔で床に崩れていた。私はすぐさま近寄り
抱き起こす。そして、そこにいって私はすぐにその理由が分かった。暖炉の中には
真っ黒に焦げ付いた一人の人間の死体が直立不動で立っていた。
「あ、あなた……どうしましょう……サンタクロースが……?」
妻は今にも失神してしまいそうだ。だが、私は冷静に死体の横に手を入れる。なにやら
金属の箱を私は手に持ち、中を開けて、ああ、そうかと納得した。
私はその中から出した真っ黒な鉄の棒を妻の目の前に出した。
「気にする事はない、こいつは聖夜の夜に侵入しようとした不当な輩さ。
まぁ、私達をおこさまいと声すら上げない泥棒魂は称賛に値するけどね。」
それは黒い鉄のバールだった。
私達は泥棒の灰を家の前に置いておき、立て札にはこう書いた。
「この家に不当にはいる者はこうなるぞ。」
この家には泥棒の来ない幸せな日々が続いたとさ。めでたし、めでたし。
「ほら、パパにおやすみなさいは?」子供も妻に少々せかされながらも、眠たく
あどけない顔をこちら「パパァ、おやすみぃ……。」とムニャムニャといった。
「ぁあ、おやすみ。良い聖夜を。」私もそれにこたえてた。
妻と子供は寝室に向かっていった。
そう、明日はクリスマス。ちゃんと子供の枕もとには靴下を吊るし、今頃、
クリスマスの思いを頭で楽しげに這わせながら、寝床につくころだろう。
私は安楽椅子に深くもたれながら本のページに目を通していたが、パチパチと隣で
薪を燃やした空気がふわふわ頬を撫でていくので、猛烈な眠気がまるで瞼を永久
磁石にしたかのようにしていくのを感じる。とてもじゃないが本なんて読めたもん
じゃない。すると、手元に丁度よくブランデーがある。これで最後にするかな。
私はそれを手にもちグラスに原液のまま、少々注ぐ。これくらいしなきゃ。
「私の分もお願いできる?」子供を寝かし終わったか、妻がやってきた。私は「勿論。」
と頷き妻にも同じように少々、原液のブランデーをグラスに注いだ。
私達はそれを乾杯して、口に含める。体があったかくとても幸せな気分だ。
「さてと、私達ももう寝ましょうか?」妻は顔を少々ブランデーで赤くさせながら、
私に向かって言う。そうだな、と私が言いかけたその時、ふとクリスマスに基づいた
面白い話を聞いた事を思い出した。
「いや、ちょっと聞いた話があるんだ。」私はそう言って、妻に語り始めた。
ある日、幸せな家族の元にサンタクロースがそりに乗って空から煙突に入っていった。
だが、その暖炉はなんととてもとても狭く、入り組んでいてサンタクロースはとても
入るのに苦労したようだ。そして、ようやく暖炉の中まで足を入れた時、火がもえた
ぎる真っ赤な薪があったということだ。それに暖炉には重い鉄の扉がついていて、
開かない。
どんどんとサンタクロースの脚からは火が伝っていったが、彼は家の中の人を起こすまい
起こすまいと必死に耐えなんとか暖炉を上ろうとした。が狭く入り組んでてあがれない。
次のクリスマスの朝、家族が暖炉を開けるとそこには真っ赤にくすぶって暖炉に立ったま
ま息絶えたサンタクロースが居たようだ。家族はサンタクロースに対して必死に謝罪をし、
フィンランドとロシアの国境、サンタクロースがすんでいるとされる街に、死んだ彼の灰
と遺骨を送ったんだ。その灰は、その街で1年後の聖夜にまかれたといわれる。
それからも、その家族のもとでは幸せな事が続いたようだ。
「夜寝る前に、ちょっといい話聞けたわ。さ、もう寝ましょうよ。」
妻はそう言って、私のほおにキスをした。私もそれにこたえ、キスをし寝室へ妻と向かった。
―次の日の朝。
子供は枕もとにあった自分宛てのプレゼントによろびはねまわり、外の光景を見てさらに
その喜びに拍車がかかっていた。外は真っ白な光景、白銀の世界だった。昨日の夜の内に
降り積もったのか白い雪は庭や車にふっさりとしとやかにかかり、空には雲の切れ目から
差し込む太陽光がまるで机上の空論などすべて無に等しくしてしまうような、圧倒的な
美しさと情景を持って差し込む。
その時だ。
「キャアアァァァアッ。」リビングの方で妻の叫び声が炸裂する。
私は子供を寝室に、まっていろ、といって残していきリビングへダッシュした。
叫び声からして只ことではないようである。彼女がこんな声を上げるのは家に大きな
ミッ○ーマウスが来たときか、私の普段のスーツに長い女性の髪の毛が付着するくらいだ。
リビングに入ると、妻が今にも失神しそうな顔で床に崩れていた。私はすぐさま近寄り
抱き起こす。そして、そこにいって私はすぐにその理由が分かった。暖炉の中には
真っ黒に焦げ付いた一人の人間の死体が直立不動で立っていた。
「あ、あなた……どうしましょう……サンタクロースが……?」
妻は今にも失神してしまいそうだ。だが、私は冷静に死体の横に手を入れる。なにやら
金属の箱を私は手に持ち、中を開けて、ああ、そうかと納得した。
私はその中から出した真っ黒な鉄の棒を妻の目の前に出した。
「気にする事はない、こいつは聖夜の夜に侵入しようとした不当な輩さ。
まぁ、私達をおこさまいと声すら上げない泥棒魂は称賛に値するけどね。」
それは黒い鉄のバールだった。
私達は泥棒の灰を家の前に置いておき、立て札にはこう書いた。
「この家に不当にはいる者はこうなるぞ。」
この家には泥棒の来ない幸せな日々が続いたとさ。めでたし、めでたし。