わが愛する子たちよ。今日は特別にお前たちに<真髄>を教えてやろう。それは一言で言えば「無垢知」は最強であるということだ。これは言葉遊びにように聞こえるかも知れないが、実際のところ、無垢知とは「無苦知」なのだ。
お前たちは「無知の知」という言葉を聴いたことがあるだろう。しかし無知を去って知に至るだけでは全く不十分である、ということを私は今お前たちに教えよう。無知でもなく、知ですらなく、無垢知という未知の段階に到達してこそ、初めて人は真実の知(グノーシス)の間近に立つのだ。
それでは無垢知とはなんであるか?簡単に説くならば、私が『カラスは緑だ』と言った場合、その全く新しい認識を無垢な気持ちでお前の中にそのまま受け入れることだ。
しかしもしその時に、お前の心が「いやカラスは本当は黒だ…」と思うのなら、実際のところお前のその知識、あるいはお前たちが共有しているその常識というやつは、お前や、お前を含む人間たちが本当は無知なる存在であることをただ証明するためだけに存在しているのだ。
そもそもお前の目が見、頭が認識しているカラスの黒色というのは、お前の視覚と脳とお前のいる三次元の世界の光学に規定された限りにおいてただ黒であるだけに過ぎない。
そのお前が見、それについて思考する全ての局限された「現実」、それはさらなる上次元から見た場合には、ただの「幻実」に過ぎないということを今ここではっきりと理解しておきなさい。そしてそうであるならば、お前には私の言うことを端から疑ってかかる正当な理由など、元より在ろうはずもないのだ。
だから、子供のように素直に無垢知を受け入れなさい。私は決してそれを無理強いしたりはしない。私がお前に伝えたいのは、お前がもし無苦の境地に至りたいのだとすれば、お前は必ずそれを受け入れる必要がある、ただそれだけのことなのだ。