安保関連法成立「反応」は…各社の世論調査、海外での評価を見る
2015.09.22
http://www.iza.ne.jp/topics/politics/politics-8203-m.html
集団的自衛権行使を限定的に可能にする安全保障関連法の成立を受け、
報道各社が行った世論調査はどのような結果になったのか。海外の反応もまとめた。
《安全保障関連法案が成立(9月19日未明)》
集団的自衛権行使を限定的に可能にする安全保障関連法は9月19日未明、
参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。
投票結果は賛成148票、反対90票。与党のほか、次世代、元気、改革の野党3党が賛成に回った。
安全保障関連法が成立(9月19日)
安倍首相「戦争を未然に防ぐための法律」「子供たちに平和な日本引き渡す」
安倍首相は19日未明、安全保障関連法の成立を受け、
「平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制であり、
戦争を未然に防ぐためのものであります。子供たちや未来の子供たちに、平和な日本を引き渡すために、
必要な法的基盤が整備されたと思います。
今後も積極的な平和外交を推進し、そして、万が一への備えに万全を期していきたいと思います」と語った。
国民へ「粘り強く、丁寧に法案の説明を行っていきたい」とも
また、国民の理解は深まったかという問いには
「世論調査の結果によれば、まだまだこれから粘り強く、
われわれ丁寧に法案の説明を行っていきたいと思います」と語った。
【関連記事】
《新たな安全保障関連法制》
新法制は自衛隊法や武力攻撃事態法など10本をまとめて改正した「平和安全法制整備法」と、
他国軍の後方支援を随時可能にする新法「国際平和支援法」の2本で構成。米国など
「密接な関係にある他国」に対する武力攻撃が発生した場合、わが国の「存立危機事態」と認定されれば、
集団的自衛権の行使を可能にする。
報道各社、成立を受け世論調査
安保法成立「評価しない」50%台…「評価する」を上回る
- 【産経・FNN】成立を「評価する」38・3%、「評価しない」56・7%
- 【朝日】安保法に「賛成」30%、「反対」51%
- 【毎日】成立を「評価する」33%、「評価しない」57%
- 【読売】成立を「評価する」31%、「評価しない」58%
- 【日経・テレ東】成立を「評価する」31%、「評価しない」54%
- 【共同】安保法に「賛成」34・1%、「反対」は53・0%
審議・説明は十分だと「思わない」が80%前後
- 【産経・FNN】審議は十分に尽くしたと「思う」18%、「思わない」78%
- 【朝日】国会での議論「尽くされた」12%、「尽くされていない」75%
- 【毎日】国民への説明「十分だ」13%、「不十分だ」78%
- 【読売】政府・与党の説明「十分だ」12%、「不十分だ」82%
- 【日経・テレ東】政府の説明「十分だ」12%、「不十分だ」78%
- 【共同】十分に説明していると「思う」13・0%、「思わない」81・6%
内閣支持率、下落も40%前後を維持
- 【産経・FNN】安倍内閣「支持」42%、「不支持」47%
- 【朝日】安倍内閣「支持」35%、「不支持」45%
- 【毎日】安倍内閣「支持」35%、「不支持」50%
- 【読売】安倍内閣「支持」41%、「不支持」51%
- 【日経・テレ東】安倍内閣「支持」40%、「不支持」47%
- 【共同】安倍内閣「支持」38%、「不支持」50%
【参照リンク】
世論調査、各社の分析は
「内閣支持率微減、安保法成立による影響は限定的」(産経新聞)
産経新聞は「内閣の不支持率は支持率を上回ったが、支持率はいずれも4割前後を維持。
安保関連法の成立による影響は限定的といえそうだ」と分析。
産経・FNN合同世論調査 内閣支持率微減、安堵の与党幹部 各紙調査も横ばい傾向
「国民の理解を得る努力、内閣支持層でも『不十分』」(朝日新聞)
朝日新聞は「安保関連法について、安倍政権が広く国民の理解を得ようとする努力を十分にしてきたと思うかは、内閣支持層でも『十分にしてきた』は35%で、『十分にしてこなかった』の52%を下回った」とした。
安保法、反対51%賛成30% 採決進め方「よくない」67% 朝日新聞社緊急世論調査〔2015年9月21日〕
「関連法への世論の不満は今後の政権運営に影響」(毎日新聞)
毎日新聞は、安倍首相の在任期間について、内閣不支持層でも「3年より短く」が83%に達したとし、
「関連法への世論の不満は、首相の今後の政権運営に影響する可能性がある」と指摘。
毎日新聞調査:安保関連法成立「評価しない」57%〔2015年9月20日 毎日新聞〕
「理解進まず、成立後も丁寧な説明が求められている」(読売新聞)
読売新聞は「内閣支持率の低下は、安保関連法への理解が進んでいないためとみられ、
政府には法成立後も、丁寧な説明が求められている」と指摘。
内閣支持41%、再び不支持を下回る…読売調査〔2015年9月20日 読売新聞〕
「野党の支持率は伸びず、受け皿になっていない」(日経新聞)
日経新聞は「安保法に限らず、重要政策で世論が割れる傾向も鮮明になっているが、
野党の支持率は伸びず、受け皿になっていない」と分析する。
安保法「説明不十分」78% 批判層受け皿は不在〔2015年9月21日 日経新聞〕
「強い反対世論が持続すれば、参院選に影響しかねないと警戒」(共同通信)
共同通信社は「安倍政権は、強い反対世論が持続すれば、来年夏の参院選に影響しかねないと警戒。
廃止を目指す野党側は参院選の重要な争点と位置付け、世論の関心を今後も引き付けたい考えだ」とする。
政権、反発持続を警戒 参院選にらみ野党攻勢へ〔2015年9月21日 共同通信〕
海外の反応は
米は歓迎「安全保障に積極的な役割を担う日本の努力を歓迎する」
米政府は19日、「日米同盟を強化し、地域と国際社会の安全保障に、
いっそう積極的な役割を担う日本の努力を歓迎する」と国防総省のビル・アーバン報道官が述べ、
安全保障関連法成立について高く評価。
安保法成立 米「積極的役割、努力を歓迎」「日本は法の支配守る模範」
台湾は評価「日米同盟を強固にし深化するものだ」
台湾の外交部(外務省に相当)は19日、報道官談話を発表し、
「日米安保体制は地域の平和と安定の基礎だ」とし、
同法は「日本の国際的な安全保障への関与を増進すると同時に、
日米同盟を強固にし深化するものだ」と評価した。
フィリピンは歓迎「日本との戦略的関係を強化していく」
南シナ海の領有権をめぐり中国と対立するフィリピンのデルロサリオ外相は19日、
日本の安全保障関連法の成立を「歓迎する」との声明を出した。
声明はまた、「日本との戦略的関係を強化していく」とし、自衛隊との共同訓練拡充などを進める意向を示した。
安保法成立 フィリピンも「歓迎」中国と対立、自衛隊と訓練拡充
オーストラリアは歓迎「日本との安保協力を促進することは優先事項」
オーストラリアのビショップ外相は19日、日本の安保法成立を歓迎する声明を出した。
声明では「日本との安保協力を促進することはオーストラリアの優先事項」と指摘。
同法成立で「平和維持活動や人道支援、災害救助を海外で日本と一緒に行うことが容易になる」と評価した。
安保法成立 豪外相歓迎「日本との安保協力を促進することは優先事項」
ロシアはけん制、集団的自衛権の容認「日本の周辺国が懸念」
ロシアのラブロフ外相は21日、岸田外相と会談後の会見で、
日本の安保法成立について「北東アジアでの米軍のプレゼンス増強と並行した動きだ」と懸念を示し、
集団的自衛権行使を容認した憲法解釈変更に関しても「日本の周辺国が懸念を持っている」とけん制した。
安保法制 集団的自衛権の容認「日本の周辺国が懸念」 露外相がけん制
中国は批判「戦後の平和発展の歩み放棄するのかと疑念」
安保法の成立について、中国外務省の洪磊報道官は19日、
「戦後日本の軍事・安保分野でのかつてない行動だ」とする談話を発表し、
「日本は専守防衛政策と戦後の平和発展の歩みを放棄するのかとの疑念を国際社会に生じさせている」と批判した。
安保法成立 中国外務省「平和の歩み放棄かと疑念」 ネットでは「安倍政権終わった」
韓国、理解と懸念入り交じり「平和憲法の精神堅持を」
安保法案が未明に成立した19日、韓国外務省は報道官論評を発表。
「平和憲法の精神を堅持し、地域の平和と安定に寄与する方向で、
透明に進めなければならない」という内容で、
「日本の集団的自衛権の行使が朝鮮半島の安保や韓国の国益に関わる場合は韓国の要請か
同意が必要だ」とクギを刺した。
安保法成立 韓国、理解と“介入”懸念入り交じり 外務省「平和憲法の精神堅持を」
北朝鮮は批判 日本は「歴史忘れ再侵略の道へ」
北朝鮮外務省の報道官は19日、日本の安全保障関連法成立について
「歴史の教訓を忘れ、軍国化と再侵略の道へと突き進んでいる」とする談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。
【関連記事】
国内では“違憲訴訟”相次ぐ可能性
「平和に暮らす権利が侵害される」訴訟を検討する動き
安全保障関連法が成立したことを受け、6月の衆院憲法審査会で安保法を
「違憲」と指摘した小林節慶応大名誉教授は「平和に暮らす権利が侵害される」などとして、
100人規模の原告団で国に賠償を求める訴訟を検討していることを明らかにした。
安保法成立 “違憲訴訟”相次ぐ可能性 100人規模の原告団も
「現段階では、提訴自体が“門前払い”される可能性」と識者
斎藤荘之助・八洲学園大客員教授(行政法)は「提訴には原告側に『具体的な損害』が必要。
安保法案による実害が出ていない現段階では、提訴自体が“門前払い”(却下)される可能性がある。
仮に審理されたとしても、最高裁は違憲判決を出さない可能性が高い」とする。