比較日本研究

比較日本研究会の活動報告。日本の政治・思想の研究。日本の政治・社会状況に対し平和の視座から発言。社会の逆回転に歯止めを。

比較日本研究会 月例研究会2005年2月

2005-02-28 10:14:54 | 月例研究会
比較日本研究会 月例研究会2005年2月

                          報告:メイフラワー

取り上げる本『メディアが市民の敵になる』山口 正紀著 現代人文社
        参考文献:『ニュースの虚構、メディアの真実』同著。
             『無責任なマスメディア』山口正紀、浅野健一編著


○本書を取り上げた狙いと討議概要:
 権力、とくに犯罪を管轄する警察、検察自体の組織ぐるみの犯罪が明らかになった。にもかかわらず警察はばれてもそれを否定し、ごまかし、知らん顔を決め込む。やがて検察も組織ぐるみで公金を詐欺・横領したと内部告発がされるが、その直前に内部告発者を別件逮捕拘禁して逆襲して、いまもって事実を認めない。法務省もそれをバックアップする。そして裁判所がさらに追認する。この国に正義などもう望めない。
 権力が自分の犯罪を隠蔽する一方で、権力に批判的な言辞に対しては別件逮捕、過剰逮捕、あらゆる不法権力行使もいとわず、それを既成事実化する強権が次々に繰り出され、訴訟に持ち込んでも上級審になればほとんどが権力側主張を追認するだけの儀式になろうとしていないか。
 法治国家はその基盤が既に腐食しきっているかの様相である。
 さらに、その陰では権力を監視する立場にあるはずの報道機関が実は権力と一体化して機能放棄を自ら昂進させている現実もある。
 本書は読売新聞記者である著者が『週刊金曜日』に連載し、報道について時々刻々、その権力犯罪とそれに荷担する報道の実像を告発してきたもの。そのなかから、例会では以下に課題を絞って報告、討議したい。
①権力犯罪の検証とそれにかかわる報道について、
②拉致問題報道と北朝鮮報道の〈一色化〉と〈タブー化〉について、
③読売新聞が著者を「記者職」からはずし、報道機関の変節を進めた問題について、
④現在進行形の、自民党・極右グループによるNHKへの政治介入とその事実を隠蔽することに汲々とするNHKの言論自主統制について、
⑤北海道警裏金疑惑、愛媛県警裏金疑惑について、告発報道を続けて事実解明に取り組んでいる地方紙の報道キャンペーンの意味について、

報告を終えて:残念ながらこの日、参加者の多くは課題書を読んでこなかった印象が強い。選定書が不適当であったのかもしれず、また、報告内容に不満を持たれたのかもしれない。いずれにしても、碌に課題書と報告についてつっこんだ質疑も議論も得られなかった。

ぐぁんばれ、ホリエモン

2005-02-25 15:10:51 | 最近のニュースから
 ライブドアとフジテレビの株争奪戦が毎日、NHKニュースのトップを続けている。いよいよ、ライブドアの提訴で法廷勝負に持ち込まれた。
 このマネーゲーム戦争の行方の持つ意味は???

結論は、残念ながらライブドア、ホリエモンが無惨に門前払いを喰わされて負けるのではないか。
 法廷に持ち込んでしまえば、仮に東京地裁の一審でライブドアが勝つことがあっても、東京高裁、特別抗告で最高裁にたどり着けば、理由なんかどうにでもなる、最高裁はフジテレビに軍配をあげてしまうのは、もう戦う前からわかってしまったことだろう。
 なぜかって??フジ、産経グループはなにしろ、いまをときめく極右言論リーダーの牙城。あの極右・安倍晋三先生御用達の媒体なのだから、財界、自民党あげてライブドアたたきの環境を作り上げている。その上で、法廷に持ち込めばこっちのもの。怒れる若者などに右翼ジャーナリズムを牛耳られてたまるかとよってたかって、たたきつぶすことで決着するだろう。

 ライブドアは相手が何者であるか、わかっていない
 まるでノンポリの結晶のようなホリエモンは、フジテレビをただ面白い、低俗な局としてしかみてこなかった、そのおめでたさが命取りになりそうでハラハラするが、なんとかがんばってもらいたいものである。
 面白いのは、兜町の投資家やトレーダー達で株の世界は金が唯一の合理主義が徹底しているから、圧倒的にフジテレビ側が禁じ手を使った、違法だで見方はまとまっていてライブドアの華麗なTOB(実質上)作戦を賞賛している。

 所詮は、日本に、市場にゆだねる自由主義などまるでないのだ。
 ついこの間までは、アメリカ帝国に踊らされて日本でも市場主義に経済は変わらなければならない、など大合唱して、実力主義の声をあげては社員の給与切り下げに奔走してきた企業各社。日本商工会議所会頭がまず、“金だけで動かす”ライブドア批判をぶち上げ、財界首脳は次々に堀江批判を続けてきた。一方、フジテレビのトップは、報道の公共性など産経新聞、フジテレビの日頃の偏向を忘れたかのような理屈で正義の被害者面をしているが、上場会社なら株の買い占めで企業支配を狙われる可能性があるのは当然だということを忘れているのではないか。これまで、上場会社でありながら、にっぽん放送の子会社に安住して、安上がりの経営をだらだら続け、なんら株対策をしてこなかった経営者義務放棄を忘れたかのような言辞を弄し続けている。買い占めがいやなら、安定株主で十分な持ち株比率を確保すればいい。それがいやなら上場を取り消して非公開会社にすれば事足りる。
 そうした対策を今日までなにもおこなわないで、ライブドアに問題があるかのような財界、自民党右派、そしてNHK(朝日問題で産経にだいぶ恩義があるからか)の、堀江封じキャンペーンは、この国は結局資本主義にはなじめない社会であると、改めて世界に公表しているようなものである。
 記憶が定かでないが、何年か前にもソフトバンクの孫とマードック連合が衛星TV局を買収した。テレビ朝日の筆頭株主にもなったのではなかったか?そのとき、今回のように財界、政界(自民党右派)が、報道機関株の買い占め規制などと奇声を上げたようには思えない。やはり産経グループだから、大騒ぎをしているに他ならない。

 がんばれ、ホリエモン
 いつもTシャツでカメラの前にたつホリエモン、プロ野球でも門前払いをくらったが、そのとき朝日新聞(日曜版)のインタビューで「お金で買えないものなどあるのですか?」と嘯いて、世の大人の顰蹙を買ったが、あれから数ヶ月、金を持ってしても最高裁は買えない、保守・反動に刃向かってはこの国では経済活動すら許されないことを、思い知らされるのではないだろうか。
 古い映画だが、イージーライダーが保守的な土地柄でただその服装だけを理由に射殺されてしまう・・・結末を思い出す、ここのところの狂騒曲である。(憂々の里)

こんなことで逮捕するのか・・・俳優・萩原健一恐喝未遂

2005-02-11 16:41:48 | 最近のニュースから
 数日前、俳優・萩原健一が映画制作上、いざこざからプロデューサーを恐喝しようとしたとして、警察が萩原を同容疑で逮捕した。
 報道によると、出演料をめぐるトラブルで萩原は途中降板を命じられ、未払いギャラを巡って、萩原がプロデューサーの携帯電話に電話して、留守録音で暴力団の名もだして脅したというもの。
 1.詳細はわからないが、報道(警察発表)にあるように、一度携帯留守録に脅し文句を言っただけで恐喝未遂で逮捕できるのか。しかも事件?はかなり前の話。であれば百歩譲っても書類送検して済む内容である。逮捕理由として証拠隠滅の恐れというが、警察の職権乱用はなはだしいではないか。
 2.そもそも内容をみると事件?は、民事上のもめごとにすぎないではないか。“警察は民事不介入”の大原則はいったいどこへ行ってしまったのか。
 3.この事件では、もうひとつ重大な問題が浮き彫りになった。TVのワイドショーは長時間このニュースを特集報道(報道の名で呼んでいいかどうか)したが、上記の根本問題に言及した番組は知る限りなかったようだ。ただ、警察発表をそのまま尾ひれはひれをつけて、こと大げさに検事気取りのコメントをながす芸能ジャーナリストたち。
 新聞報道でも、記事扱いは別として一列に並んで警察発表記事を載せるだけで、逮捕そのものへの疑問を書いた新聞は見当たらなかった。報道も警察とぐるになっているではないか。こうして「状況有罪」世論をどんどん作り上げている。
 
 この逮捕事件(逮捕の方が恐喝未遂とやらよりもよほど重大な事件だ)で思い出すのは、TBSのニュースショー番組のテロップが間違っていたという問題で、極右・石原東京都知事がTBSを相手に名誉毀損で刑事告発をした事件?。TBSは番組後すぐ訂正し、同知事に謝罪もしたがそれを受け入れず告発したもの。
 これが刑事事件だろうか。とんでもない。民事上のミスと訂正の問題に過ぎない。
 ところが東京地検は、TBSの担当者を刑事事件の被疑者として書類送検してしまった。相手が極右知事だとこういう、小さな民事上のことにまで、いまでは警察・検察がすぐ動いて脅しをかける。
 イラク派兵反対ビラを投函すると、住居侵入で逮捕、長期拘留はやる。やりたい放題である。その一方で、全国都道府県警察本部ぐるみの公金横領疑惑には、証人警察官がでてきて証拠をつきつけられても、誰一人詐欺罪、公文書偽造・行使罪で逮捕はおろか、処分すらされない。居直り続けている。
 いろんな場面で市民は、ほんとうにいやな世相だと言い合うのが挨拶言葉になるこのごろである。(憂々の里)