本業の薬草研究・調査のために、まだ調査をしていなかった四国山脈某所を訪れ、植物を観察しつつ猿のように動き回っていた私は、崖の上でもペースを落とさずにジャッキー・チェン気取りで素早く通り過ぎた…つもりだったけど身体が空中にフワリと浮いていた。
心の声
「え?あ!」
崖の斜面に落下しながら苔を踏んだんだと理解した(岩に生えた苔ってバナナの皮よりも滑り易いんだよね)。
心の声
「これ、しぬかも?」
死を強く意識した瞬間に、全てがスローモーションになって、一生の記憶が走馬灯のように…ってあれ本当だね。
でも、あの走馬灯のように流れる記憶って、生き残るための本能なんだってことを、ズザザザザー×ゴロゴロゴロゴロって、滑落しながら悟った。
死ぬ前に過去の感傷に浸るためじゃなくて、頭の中から生き残るための情報をもの凄いスピードで検索してるんだよねあれは。
それから、頭の回転が異常に早くなってるから景色の変化がスローモーションに感じるんだよね。
走馬灯が停止した!
何故か、重要な記憶としてバーンと明確に細部まで思い出したのは、漫画家荒木飛呂彦の描くジョジョの奇妙な冒険の中の、主人公ジョセフ・ジョースターの宿敵であるカーズが、火山での戦いの最中に火口へ落下した時に、自分に対して冷静になるように言い聞かせて、誰も予想ができないような機転を利かせて溶岩の中から脱出したシーン。
私はカーズになりきった。
心の声
「冷静に死なない方法を考えるんだ。」
その時にやっと、毒蛇対策で柄の長い鎌を握りしめていることに気付いたので、滑落の途中で自分に鎌が刺さるリスクを避けるために遠くに放り投げた。
不思議なことにまた走馬灯が流れ始めた。
そして止まった。
子供の頃に、屋根に登って遊んでたら、そこに野良猫がやってきて、野良猫の方が驚いて屋根から地面に飛び降りたんだけど、前足と後足をやや曲げて揃えて衝撃を吸収しながら見事に着地したシーンの記憶で。
そうだ、両手両足は犠牲にしよう…猫のように両手・両足で着地して、頭と腹さえ守れば死なない筈だから。
フワリとズザザザザの次はゴロンゴロンとボヨーン、飛んで落下して滑って転がりながら、最後はジャンプ台みたいな形の突き出た岩から吹っ飛んだ。
一番下は岩場。
背中から落ちそうだった。
落下の途中で身体を捻って顔を下に向けた。
猫のポーズで…
ドサッ!
と落ちた。
でも勢いをころし切れずに頭を強打、したものの、ヘルメットの前の鍔の部分が、パッキリと割れた。
心の声
「あ、そうだ、ヘルメット被ってたんだ!」
※お値段高めの業務用ヘルメットは、帽子よりも風通しが良くて涼しい上に、被り心地も良くて、頭を白っぽくすることで蜂除けにもなるから、安全対策+暑さ対策+蜂対策だった。
ヘルメットが身代わりに破損してくれて、強打したにも関わらず、頭部に外傷はなかった(すぐに目眩と吐き気はあったけど)。
両手・両足・頭が岩に着いて、お腹は浮いてたから、作戦は一応成功したということだろう。
それで済んだのは両手・両足で勢いがある程度はころせてたからだとも思う。
私は、猫のポーズのままゆっくり横に倒れて仰向けになり、それからやっと両足と左手を伸ばした…右手はグニャリと変な方向に曲がったまま動かなかった。
木洩れ日が眩しかった。
痛みは、全くない。
というか、麻痺して感覚がない。
多分、アドレナリンの作用だろう。
十秒程が経過して、強烈な痛みが身体中を襲ってきた。
と、同時に、平らな地面じゃないからだと思うけど、両手・両足に均等に重さが加わったんじゃなくて、主に左足と右手に体重がかかったらしくて全然動かなくなってて、左手と右足だけが動くようになってた。
それから一時間ほどその場所で休んで、右肩が脱臼してるのに気付いて、左手で押し込もうとしたけどやったことがないもんだからうまく行かずに、仕方がないので右半身を下にして横になって、体重をかけて押し込んだ…ゴキンッ!て鈍い音がして、肩に激痛が走った…でもぶらぶら感はなくなった。
(この行為が、後から肩の炎症で長期苦しむ原因となるわけだけれども^^;)
動かないままなんだけど。
左足は脱力感と、足首と踵周辺の激痛、この感覚は、どこか骨折してるんだろうと思った。
近くに崖を迂回できそうな、ややなだらかな獣道が見えたので、動かない左足を引き摺り、とにかく一番痛い右手首を左手で押さえながら、右足一本で、車(山道に強い軽四駆)を停めた方向に必死で進んでみた。
救急車?呼びたかったんだけどね、携帯の電波が届かない場所だったんだよねorz
運良く、その獣道が車を停めた場所の近くまで続いていて辿り着くことはできたわけだけれども、運転ができるのかはわからなかった。
でも、ありがたいことに、右足と左手だけでも動いたら、意外と簡単に運転はできた。
なんとかかんとか山麓の病院に辿り着いて…
つづく
心の声
「え?あ!」
崖の斜面に落下しながら苔を踏んだんだと理解した(岩に生えた苔ってバナナの皮よりも滑り易いんだよね)。
心の声
「これ、しぬかも?」
死を強く意識した瞬間に、全てがスローモーションになって、一生の記憶が走馬灯のように…ってあれ本当だね。
でも、あの走馬灯のように流れる記憶って、生き残るための本能なんだってことを、ズザザザザー×ゴロゴロゴロゴロって、滑落しながら悟った。
死ぬ前に過去の感傷に浸るためじゃなくて、頭の中から生き残るための情報をもの凄いスピードで検索してるんだよねあれは。
それから、頭の回転が異常に早くなってるから景色の変化がスローモーションに感じるんだよね。
走馬灯が停止した!
何故か、重要な記憶としてバーンと明確に細部まで思い出したのは、漫画家荒木飛呂彦の描くジョジョの奇妙な冒険の中の、主人公ジョセフ・ジョースターの宿敵であるカーズが、火山での戦いの最中に火口へ落下した時に、自分に対して冷静になるように言い聞かせて、誰も予想ができないような機転を利かせて溶岩の中から脱出したシーン。
私はカーズになりきった。
心の声
「冷静に死なない方法を考えるんだ。」
その時にやっと、毒蛇対策で柄の長い鎌を握りしめていることに気付いたので、滑落の途中で自分に鎌が刺さるリスクを避けるために遠くに放り投げた。
不思議なことにまた走馬灯が流れ始めた。
そして止まった。
子供の頃に、屋根に登って遊んでたら、そこに野良猫がやってきて、野良猫の方が驚いて屋根から地面に飛び降りたんだけど、前足と後足をやや曲げて揃えて衝撃を吸収しながら見事に着地したシーンの記憶で。
そうだ、両手両足は犠牲にしよう…猫のように両手・両足で着地して、頭と腹さえ守れば死なない筈だから。
フワリとズザザザザの次はゴロンゴロンとボヨーン、飛んで落下して滑って転がりながら、最後はジャンプ台みたいな形の突き出た岩から吹っ飛んだ。
一番下は岩場。
背中から落ちそうだった。
落下の途中で身体を捻って顔を下に向けた。
猫のポーズで…
ドサッ!
と落ちた。
でも勢いをころし切れずに頭を強打、したものの、ヘルメットの前の鍔の部分が、パッキリと割れた。
心の声
「あ、そうだ、ヘルメット被ってたんだ!」
※お値段高めの業務用ヘルメットは、帽子よりも風通しが良くて涼しい上に、被り心地も良くて、頭を白っぽくすることで蜂除けにもなるから、安全対策+暑さ対策+蜂対策だった。
ヘルメットが身代わりに破損してくれて、強打したにも関わらず、頭部に外傷はなかった(すぐに目眩と吐き気はあったけど)。
両手・両足・頭が岩に着いて、お腹は浮いてたから、作戦は一応成功したということだろう。
それで済んだのは両手・両足で勢いがある程度はころせてたからだとも思う。
私は、猫のポーズのままゆっくり横に倒れて仰向けになり、それからやっと両足と左手を伸ばした…右手はグニャリと変な方向に曲がったまま動かなかった。
木洩れ日が眩しかった。
痛みは、全くない。
というか、麻痺して感覚がない。
多分、アドレナリンの作用だろう。
十秒程が経過して、強烈な痛みが身体中を襲ってきた。
と、同時に、平らな地面じゃないからだと思うけど、両手・両足に均等に重さが加わったんじゃなくて、主に左足と右手に体重がかかったらしくて全然動かなくなってて、左手と右足だけが動くようになってた。
それから一時間ほどその場所で休んで、右肩が脱臼してるのに気付いて、左手で押し込もうとしたけどやったことがないもんだからうまく行かずに、仕方がないので右半身を下にして横になって、体重をかけて押し込んだ…ゴキンッ!て鈍い音がして、肩に激痛が走った…でもぶらぶら感はなくなった。
(この行為が、後から肩の炎症で長期苦しむ原因となるわけだけれども^^;)
動かないままなんだけど。
左足は脱力感と、足首と踵周辺の激痛、この感覚は、どこか骨折してるんだろうと思った。
近くに崖を迂回できそうな、ややなだらかな獣道が見えたので、動かない左足を引き摺り、とにかく一番痛い右手首を左手で押さえながら、右足一本で、車(山道に強い軽四駆)を停めた方向に必死で進んでみた。
救急車?呼びたかったんだけどね、携帯の電波が届かない場所だったんだよねorz
運良く、その獣道が車を停めた場所の近くまで続いていて辿り着くことはできたわけだけれども、運転ができるのかはわからなかった。
でも、ありがたいことに、右足と左手だけでも動いたら、意外と簡単に運転はできた。
なんとかかんとか山麓の病院に辿り着いて…
つづく