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氣問答 KI-MON-DOU

本厚木の小さな治療院「香伊呂」から、オステオパシー療法、玄米酵素、シンノオル療法、氣などについて発信しています。

夏樹静子さんの「椅子がこわい」

2006年11月10日 | オステオパシー
前から読みたいと思っていながら、そのままになっていた、夏樹静子さんの「椅子がこわい」を、ひょんなことから最近読みました。とにかくある日突然腰が痛くなり、どんどんひどくなって、ついに3年間、腰痛で苦しむ様子が書かれている本です。サスペンスの女王らしく、事実を書きながらも、どんどん引きつけられて読んでしまいました。「この本が私の遺書になるかもしれない。」という始まりで、自殺まで考えた痛みと絶望の3年間が書かれています。

とにかく座っていられない。タクシーも後で寝そべらないとダメ。飛行機も2席取って横にならないと乗っていられない。当然、原稿も座って書けないから寝て書く。こういう状態が少しもよくならずに3年も続くわけです。その間、ありとあらゆる治療にかかります。まずはお決まりの整形外科。水泳や水中歩行などを勧められ、夏樹さんはまじめな方ですから忠実に実行します。どこの鍼がいいと聞けば飛んでいき、まじめにやるけど効果なし。作家の森村誠一さんから、自分の腰痛が劇的に治ったといってカイロプラクティックを紹介されるがこれもダメ。当時福岡に住んでいた夏樹さんは、東京まで出てきたわけです。鍼治療もそうです。そして、あの高塚光さんの手かざし療法を受け、あげくの果ては、ついに祈祷まで受けるのですが、やはり痛みは取れませんでした。

ある時から、主治医の整形外科の先生から、心因性ではないかという話をされます。しかし、夏樹さんは、「心の病でこんな腰痛が起こるはずがないし、起こることがあっても、自分が心の病になんかなるはずがない。」と相手にしません。しかし、筋肉や骨の病気なら、何らかの検査結果が出たり、これだけの治療をやっているのだから、少しはよくなる兆候くらいはあってもよさそうなのに、それが全くない。得体の知れない病気で死ぬんだと、自殺まで考えた時に、心療内科の平木先生に出会います。平木先生は、夏樹さんの話をすべて聞くと、その痛みは心因性のものであると断言します。そう断言し、その方面の治療をすすめる平木先生と、そんなことはありえない、断じて認められないという夏樹さんのやり取りがまたおもしろいのですが、納得がいかないながらも、他にやる治療もないので、熱海の病院に入院して平木先生の治療を受けることになります。

最後に夏樹さんを救ったのは、約2週間の絶食療法でした。その間、電話、テレビ、新聞、読書、面会など一切禁止。平木先生は、「作家夏樹静子を完全に捨て去り、夏樹静子のお葬式を出しなさい。完全に夏樹静子と決別し、出光静子(本名)として生きる覚悟をしなさい。」と言われるのです。締め切りと時間に追われ、いいものを書かなくてはというプレッシャーを背負った作家夏樹静子というものが、出光静子をがんじがらめにしていたということなのでしょうか。絶食療法が始まっても、痛みは襲ってきます。そのたびに、「こんな治療法は絶対に無意味です。こんなことをしていて治るはずがないと思います。」と平木先生に食ってかかります。しかし平木先生は、「痛いときは、その痛みを受け止めて、その痛みの中に身を置き、浸りなさい。」といいます。食事すらも絶ち、外界との関係を断ち切り、夏樹静子の日常と完全に決別すると、絶食療法が終る頃には腰の痛みが消えてきたといいます。

原因が心因性である場合、体のどんな場所にどんな痛みや症状が出るかわからないし、どんなことでも起こる可能性がある、と平木先生は言います。夏樹さんの場合は、腰痛だったということで、腰痛の治療では治らないわけです。私も治療にあたる時、その方の自律神経のバランスを、最初に大体把握しておきます。単に筋肉や骨格の問題から出ている痛みなのか、自律神経の乱れが根本にある痛みなのかで、治療方針が変わります。オステオパシーでは、頭(頭蓋骨)を触らせていただくとよくわかりますが、うつ伏せになっていただいた時、背中を上から下まで触れば、大体の状態はわかります。自律神経のバランスがとれている方は、いい弾力を感じますが、バランスを崩している方の背中は、ドロンとハリのない筋肉の感触を受けます。

三叉神経・顔面神経

2006年04月19日 | オステオパシー
家内が、1週間ほど前から、右目のまぶたがピクピクすると言っていました。パソコンの見すぎだろうなんていって、2~3日様子をみていましたが、朝はいいのですが、やはり午後から夕方になるとピクピクがはじまると言います。これは、三叉神経か顔面神経の異常ですから、オステオパシーで背骨と頭蓋骨の治療が有効なので、早速治療しました。

本当は頚椎を中心に背骨を全部整えてから頭蓋骨を調整するのがいいのですが、夜も遅かったので、頚椎だけをやって頭蓋骨へ。頭蓋骨はほとんど全部やりました。まず後頭骨、耳の部分の側頭骨、おでこの前頭骨、てっぺんの頭頂骨、こめかみの蝶形骨などです。三叉神経も顔面神経も脳神経の一種ですから、頭蓋全体を調整するとよいのです。その翌日からピクピクもほとんど出なくなり、今はまったくありません。家内もびっくりしていました。

オステオパシーは、こういう症状に適しているのですが、これで来院される方は実のところあまりいらっしゃいません。患者さんの数も腰痛に比べればずっと少ないですし、一般の方は、三叉神経痛や顔面神経痛などとカイロや整体は、結びつかないのだと思います。昨年暮れ頃だったと思いますが、腰痛で来院された主婦の方が、治療中に「半年前くらいから、口がよく動かないんです。」と言い出しました。そういえばあまり口を開かないで話していらっしゃいました。よく聞いてみると、歯医者で麻酔をした時のような感じで、口の左側が引きつり、うがいやブクブクをしようとすると、水が飛び出してきてしまうと言います。病院へも行ったが、ビタミン剤が出されておしまいだったので、それ以降は行っていないとのこと。その日から腰痛の治療と並行して、顔面神経の治療をしました。もちろん頭蓋骨の調整です。

3回くらい治療した結果、口の違和感はほとんどなくなり、口から水も飛び出さなくなったとのことなので、少し様子を見ることにしました。その後別件でご連絡をいただいた時も、顔面の麻痺は出ていないとのこと。安心しました。2~3年前にも、頬のあたりの感触が鈍いという方もいらっしゃいました。オステオパシーは、こうした神経障害にはとても効果があります。

追記:以前、安部司さんの食品添加物について書きましたが、筑紫哲也さんのニュース23で、「シリーズ食が危ない」というコーナーに出演しています。今日のテーマは、「輸入食材の衛生管理を問う」です。ぜひご覧下さい。

頭蓋骨は動いている

2006年03月29日 | オステオパシー
当院「香伊呂」にいらっしゃる方は、腰痛、肩こり、手足の痛みやしびれなどの神経痛、関節の痛みといった、いわゆる整形外科に行くような症状が多いのですが、最近は自律神経失調、めまい、頭痛、耳鳴り、メニエルのように、普通の病院に行っても原因がわからず、薬だけ飲まされるだけで治らない症状の方も増えてきています。実はオステオパシーは、背骨のゆがみを正すとともに頭蓋骨のゆがみを調節することによって、これらの症状に十分対応できる治療法で、これはオステオパシーの大きな特徴です。

少し訓練すればわかりますが、仰向けに寝ている人の頭を手のひらで覆うようにかーるく触れていますと、頭が膨らんだりしぼんだりして動いているのがわかります。これは脳脊髄液が脳のほうに満ちてきたり、脳から引いていったりしているためで、がい骨の模型を見ると、頭にヒビが入っているような縫合部分ありますが、ここでそれぞれの頭蓋骨は動いているのです。そのためハチマキでギュウっと締めつけていたり、きつい帽子を長時間かぶっているのはあまりよくありません。頭がボーっとしてきてしまいます。この頭蓋骨を外からソフトにやわらかく操作することによって、頭の中の異常を治します。また逆に、頭の中に異常があると頭蓋骨の動きにアンバランスが生じていますので、それを正常にすればよいのです。頭の中の異常といっても脳腫瘍などではありませんから、CTやMRIなどの検査ではまったくわからないもので、本当に微妙な異常なのでしょう。これが、頭蓋骨の治療で治せる場合が多いのです。

頭蓋骨治療が有効な症状は、自律神経失調、偏頭痛、耳鳴り、めまい、顔面神経痛、三叉神経痛、うつ病、精神病、ホルモン異常、顎関節痛、不眠症、更年期障害などで、どれも原因不明で病院ではこれといった治療法のないものばかりです。頭蓋骨で主に触る骨は、おでこの部分の前頭骨、左右の耳のあたりの側頭骨、その上の大きな2枚の頭頂骨、後頭部の下の方の後頭骨、こめかみのあたりで触れる蝶形骨大翼、顎の骨などです。症状によって重点を置く骨がありますが、たいていはすべてやります。頭蓋骨の治療といっても、患者さんには頭を触られているくらいにしか感じない程度の治療ですから、患者さんも安心して、いびきをかいて寝てしまう方もいらっしゃいます。

頭蓋骨の調整といっても、頭だけというわけにはいきません。頭蓋骨のゆがみは頚椎のゆがみから起こりますし、その頚椎のゆがみは腰椎や仙骨のゆがみから起こることが多いため、やはり背骨全体を診なければ根本的な治療はできません。偏頭痛に悩まされて、頭痛薬漬けになっていた方も、最初集中的に治療した後、その後は疲れたときに時々来院するくらいで頭痛なしの生活をしています。くすりでらちがあかないこれらの症状の方は、オステオパシーの頭蓋骨治療を試してみてください。

氣とオステオパシー

2006年02月21日 | オステオパシー
私は、合氣道をはじめてかれこれ20年くらいになりますが、この出会いが氣による治療法でした。これは氣圧療法といって、指圧のように指で体を押していくのですが、氣を出して、氣を患者さんに入れるようにしていきます。その時私は、スポーツで右肩を脱臼したあと3週間ほど腕を吊っていたあとでしたから、筋肉が硬くなってしまって、腕を挙げることがほとんどできない状態でした。そんなとき町田で、「心身統一合氣道」の看板が目に入り、何となく興味を感じたのでふらっと寄ってみますと、館長先生がいらして笑顔で迎えていただきました。これが私の師匠との出会いとなるのですが、早速私の右肩の異常に氣がつかれ、氣圧療法をしていただいたのです。別に治療をお願いしたわけではありませんが、指で肩から腕、肩甲骨周辺などを氣圧していただきました。指圧ほどギュウっと押さず、ごくごく軽いタッチで30~40分やっていただきましたでしょうか、「腕を挙げてみてください」といわれるので、おそるおそる挙げてみると、来る前よりも明らかに挙がる。バンザイなんてとんでもない状態だったのに、ほぼバンザイに近い状態まで挙げることができるほど、柔らかくなっていました。「これが氣か!」と、そのときは本当に不思議でした。いま思えば、その後習得する、私のオステオパシーの軽いタッチに似ていました。その後、肩がスムースに動くようになった翌月から、合氣道のお稽古に通い出し、今は後輩の指導をしながら続けているというわけです。

この氣というものは、治療にはとても大切です。氣にはいろいろな意味があると思いますが、まず、治療をする施術者の氣が患者さんに入らなければいい治療にはならないと思います。母親が子供の痛いところを手でさすっていると癒されてくるのは氣といえます。やはりこれがないとだめなんです。この氣をもって患者さんに触れていると、患者さんの体が反応してきて、治したい方向に自分で動いてくれます。それには軽いタッチでなければなりません。オステオパシーの治療をする時は、いつも患者さんに氣を送り込んでいるのはもちろんですが、背骨や関節といった骨を治療対象にするので、その骨が治る方向に動くイメージをもちます。このイメージをもって行うのも氣です。するとイメージの方に動いてくる。背中を指圧するのでも、ただ指でギュウギュウ押すのと、強さはそれほどでもなくても、氣が行っていればジワーっと効いて気持ちがよいものです。そして、患者さんの体にもやさしい。

受ける側の患者さんにもいえます。最初はしょうがないとしても、「何をされるんだろう」とずっと身構えていたり、こちらがお体に触れると必要以上に力が入り、緊張する人などは治療がしにくい場合があります。最初からリラックスして、体をゆだねていただける方は治しやすいし、治りがいい。施術者の氣をきちんと受けられるからです。また、たとえば、以前にこちらで治ったことのある方、治った方のご紹介でいらした方は、「この人は治してくれる」というプラスの思いがありますので、氣が出ていらして、治りがいい傾向があります。しかし、来院される方は必ずしもこういう方ばかりではありませんので、初めての方には、治療中こちらの氣を十分受けていただけるようにすること、また、リラックスされてその方の氣が出るようにもっていくことが、施術者の重要な心得だと思います。氣というのは、相互に流れる波動なのでしょうね。


オステオパシーの誇張法

2006年02月05日 | オステオパシー
私の治療は、手技療法であるオステオパシーと電子治療のシンノオル療法を組み合わせて行いますが、今日はオステオパシーについて書いてみたいと思います。

オステオパシーは平たく言うとアメリカで生まれた整骨医学で、主に全身の関節が施術の対象になります。骨が折れている、はずれているというのは対象になりません。まずは背骨からはじまり、骨盤、膝、肘、肩、指、足首、手首・・・とありとあらゆる関節です。頭や顔もそうです。頭蓋骨はあのひび割れ(縫合)のところで動いていますから、そこを調整することで、頭痛、耳鳴り、自律神経失調、三叉神経痛、額関節症、メニエルなど、いろいろな症状に対応できます。

私の技術はオステオパシーの中でも誇張法といって、郡山の齋藤巳乗先生が考案された技術です。齋藤先生のところには、全国からどこに行っても治らないという方が治療を受けに来られ、その技術は神業に近いものがあります。誇張法の特徴は、とにかくソフトなこと。超ソフトです。関節を治療する時の患者さんに与える圧力は10グラム以下が基本ですから、受けている方は何をどうされているのかわかりません。カイロプラクティックのボキボキというのとはまったく異なる技術ですから、「そんな圧力で背骨の矯正ができるのか。」と私も最初は思いました。しかし、実績がすべてを物語っています。体というのは強い力を加えればそれだけ反発するものですから、かえって強いショックは逆効果になります。時間はかかりますが、ジワーッと影響を与えた方が、体はその方向に素直に動いてくれるのです。たとえば右にずれている骨を右から押し込んで元に戻そうというのがカイロプラクティックですが、オステオパシーの誇張法は、逆にもう少し右に誘導してあげるのです。すると体は、「もうそんなに右に行きたくないよ。元に戻りたいよ。」と言って、逆に元の位置に戻ろうとするのです。むろんボキボキっとやるより時間はかかりますが、体へのショックは少なく、体の「もとに戻ろう」という能力が引出されるため、治った後も元の悪い状態に戻りにくいのです。

肩が凝る、背中が張るという方が多いですが、単にそこを指圧・マッサージしただけでは、たいていはその場限りです。そういう場合もやはりオステオパシーで、背骨、特に首の骨をきちんとよくまわるようにしてあげると効果が高いです。肩こりなどは生活習慣病ですから、治療をしてそれっきり肩こりがなくなるかというとそれもむずかしいと思いますが、根本を正すので早く楽になってその期間も長くなるでしょう。

今後、症例なども載せていきたいと思います。

P.S. 齋藤先生の「誇張法」の研修会を郡山で行っております。興味をお持ちの方はどなたでも会員になれますので、勉強したい方はご連絡ください。香伊呂のホームページからメールを出すことができます。