5「がんの神様ありがとう」
(筑波大学名誉教授 村上和夫さん 育生会横浜病院院長 長堀優さんの対談)
🔸村上 長堀先生は医者としてたくさんのがん患者さんを見てこられたから、余計にそう思われるのでしょうね。
🔹長堀 これは私は10年位前に出会った患者さんの話ですが、その方はお腹の中にがんが広がっていました。
そのことは彼女を知っていたのですが、いつもニコニコされていたんです。
彼女は75歳位でしたが、私が回診で病室へ行くと、
私の足音で近づいてくるのがわかるようで、いつもベットの上で正座して待っているんです。
たぶんどの先生にもそうだったと思うのですが、
「いつもありがとうございます」
と、正座したまま最敬礼をしてくれるんです。
その顔は本当にニコニコで満面の笑みでした。
私はどこからこの笑顔が出てくるんだろうか、
死が怖くないのだろうかと、いつも不思議だったんです。
ある日のこと、いつものように素敵な笑顔を見せてくれた彼女が真剣な顔付で訪ねて来ました。
「先生、私は手術することもあるのでしょうか」
と。
私は正直にお答えしました。
もう手術をしてもがんを取りきれないし、無理をするとかえって大変な結果になると。
そしたら彼女が喜びましてね。
🔸村上 喜ばれたのですか。
🔹長堀 実は彼女には肝硬変の夫がいたんです。
子供がいなくて親戚も近くにいないから、お互いに支えあって生きていかなければいけない。
だから、これ以上入院を続けて、家を空けているわけにはいかないと言うんですよ。
ホントは旦那さんより奥さんの方が病状はよっぽど重いんです。
でも彼女はこう言いました。
「夫のことが私は心配なんです。
あの人は私がいなければどうしようもないから。
だから、いつも、がんの神様に、
『もう少しおとなしくしていてくださいね。
私は、もう少しあなた(がん)と頑張って生きていきますから、
大きくならないでくださいね』
って、お祈りしているんですよ」
って。
私はその言葉にとても感動しました。
🔸村上 それは偉い方だ。
🔹長堀 がんというのも細胞であって、米国の細胞生物学者ブルース・リプトン博士は
「細胞一個一個に感性がある」
という話をしています。
例えば、単細胞のミドリムシは餌があれば寄っていくし、毒が来ると逃げていく。
単細胞ですから、脳みそも神経もないわけですが、そういったことをが全部わかる。
だから博士は
「細胞はそれだけで完璧な生命体である。
しかも生きる感性を持っている」
ということを言っているんです。
そうであれば、がんも細胞ですから生きる感性があるので、当然人間の思いとも関係してくる。
実際、彼女は長く生きたんです。
もって1年という診断でしたが、3年半あまり生きることができた。
私は彼女の思いが、がん細胞に届いたのだと思っています。
🔸村上 つい最近、工藤房美さんという方が本を出しているのですが、この方は末期がんだったんですよ。
医者に診てもらった時は、もう既に手遅れで、余命1ヶ月と宣告されたんです。
彼女には3人の息子がいたので、それぞれに遺書まで書かれていたんですが、
私の本を差し入れた方がいたんですよ。
それを読んだ彼女が、細胞一個一個にお礼を言い始めたんです。
がん細胞にも「ありがとう」と10万回唱えた。
🔹長堀 どうなりましたか。
🔸村上 なんと11ヶ月で完全に消えたんですよ、がんが。
アンビリーバブルとしか言いようがありません。
人の思いとか感性で遺伝子にスイッチが入るエビデンス(証拠)を、私は読者の方から教えてもらいました。
🔹長堀 後はそこに法則性が見つかれば、これはもう立派な科学になりますね。
私の外来にも、がんが消えた患者さんがいるんです。
その方もいつもニコニコしてこられます。
ですから、村上先生の言われたように、人の思いががん細胞に伝わるんですね。
🔸村上 工藤さんの話で私がすごいと思ったのは、
彼女は「がんを治してください」とはひと言も頼んでいないことです。
がんも自分の体の細胞の一部なんだから
「いままでよく頑張ってくれたね」
と、むしろ感謝している。
そういう思いが体に、細胞に、遺伝子に影響を与えたということですね。
🔹長堀 東洋には「同治(どうじ)」という言葉があって、
病気が消えなくてもいい、病気とともに生きていこうという態度のことです。
それに対応する言葉に「対治(たいじ)」というのがあって、
これは病気を消してやろう、闘ってやろうという態度です。
鈴木秀子先生が奇跡的に病気の治る人の特徴として、
「愛」「感謝」「受容」
という三つを挙げています。
そのうち「受容」というのが、
「あってもいいんだ」
「闘わない」
という姿勢で、「同治」に繋がる考え方だと思います。
🔸村上 医者に頼るのではなくて、患者にもできることがあるわけだ。
🔹長堀 その通りです。
自立した思いというのがとても大切だと言うことを、
私は「がんの神様」から教えてもらいました。
(つづく)
(筑波大学名誉教授 村上和夫さん 育生会横浜病院院長 長堀優さんの対談)
🔸村上 長堀先生は医者としてたくさんのがん患者さんを見てこられたから、余計にそう思われるのでしょうね。
🔹長堀 これは私は10年位前に出会った患者さんの話ですが、その方はお腹の中にがんが広がっていました。
そのことは彼女を知っていたのですが、いつもニコニコされていたんです。
彼女は75歳位でしたが、私が回診で病室へ行くと、
私の足音で近づいてくるのがわかるようで、いつもベットの上で正座して待っているんです。
たぶんどの先生にもそうだったと思うのですが、
「いつもありがとうございます」
と、正座したまま最敬礼をしてくれるんです。
その顔は本当にニコニコで満面の笑みでした。
私はどこからこの笑顔が出てくるんだろうか、
死が怖くないのだろうかと、いつも不思議だったんです。
ある日のこと、いつものように素敵な笑顔を見せてくれた彼女が真剣な顔付で訪ねて来ました。
「先生、私は手術することもあるのでしょうか」
と。
私は正直にお答えしました。
もう手術をしてもがんを取りきれないし、無理をするとかえって大変な結果になると。
そしたら彼女が喜びましてね。
🔸村上 喜ばれたのですか。
🔹長堀 実は彼女には肝硬変の夫がいたんです。
子供がいなくて親戚も近くにいないから、お互いに支えあって生きていかなければいけない。
だから、これ以上入院を続けて、家を空けているわけにはいかないと言うんですよ。
ホントは旦那さんより奥さんの方が病状はよっぽど重いんです。
でも彼女はこう言いました。
「夫のことが私は心配なんです。
あの人は私がいなければどうしようもないから。
だから、いつも、がんの神様に、
『もう少しおとなしくしていてくださいね。
私は、もう少しあなた(がん)と頑張って生きていきますから、
大きくならないでくださいね』
って、お祈りしているんですよ」
って。
私はその言葉にとても感動しました。
🔸村上 それは偉い方だ。
🔹長堀 がんというのも細胞であって、米国の細胞生物学者ブルース・リプトン博士は
「細胞一個一個に感性がある」
という話をしています。
例えば、単細胞のミドリムシは餌があれば寄っていくし、毒が来ると逃げていく。
単細胞ですから、脳みそも神経もないわけですが、そういったことをが全部わかる。
だから博士は
「細胞はそれだけで完璧な生命体である。
しかも生きる感性を持っている」
ということを言っているんです。
そうであれば、がんも細胞ですから生きる感性があるので、当然人間の思いとも関係してくる。
実際、彼女は長く生きたんです。
もって1年という診断でしたが、3年半あまり生きることができた。
私は彼女の思いが、がん細胞に届いたのだと思っています。
🔸村上 つい最近、工藤房美さんという方が本を出しているのですが、この方は末期がんだったんですよ。
医者に診てもらった時は、もう既に手遅れで、余命1ヶ月と宣告されたんです。
彼女には3人の息子がいたので、それぞれに遺書まで書かれていたんですが、
私の本を差し入れた方がいたんですよ。
それを読んだ彼女が、細胞一個一個にお礼を言い始めたんです。
がん細胞にも「ありがとう」と10万回唱えた。
🔹長堀 どうなりましたか。
🔸村上 なんと11ヶ月で完全に消えたんですよ、がんが。
アンビリーバブルとしか言いようがありません。
人の思いとか感性で遺伝子にスイッチが入るエビデンス(証拠)を、私は読者の方から教えてもらいました。
🔹長堀 後はそこに法則性が見つかれば、これはもう立派な科学になりますね。
私の外来にも、がんが消えた患者さんがいるんです。
その方もいつもニコニコしてこられます。
ですから、村上先生の言われたように、人の思いががん細胞に伝わるんですね。
🔸村上 工藤さんの話で私がすごいと思ったのは、
彼女は「がんを治してください」とはひと言も頼んでいないことです。
がんも自分の体の細胞の一部なんだから
「いままでよく頑張ってくれたね」
と、むしろ感謝している。
そういう思いが体に、細胞に、遺伝子に影響を与えたということですね。
🔹長堀 東洋には「同治(どうじ)」という言葉があって、
病気が消えなくてもいい、病気とともに生きていこうという態度のことです。
それに対応する言葉に「対治(たいじ)」というのがあって、
これは病気を消してやろう、闘ってやろうという態度です。
鈴木秀子先生が奇跡的に病気の治る人の特徴として、
「愛」「感謝」「受容」
という三つを挙げています。
そのうち「受容」というのが、
「あってもいいんだ」
「闘わない」
という姿勢で、「同治」に繋がる考え方だと思います。
🔸村上 医者に頼るのではなくて、患者にもできることがあるわけだ。
🔹長堀 その通りです。
自立した思いというのがとても大切だと言うことを、
私は「がんの神様」から教えてもらいました。
(つづく)
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