ゆうさんの自転車/オカリナ・ブログ

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韓国・大田 「<移住民-URM>国際シンポジウム」 に行ってきました

2024-05-27 21:57:52 | コロナ自粛エッセイ
韓国・大田 「<移住民-URM>国際シンポジウム」 に行ってきました 飛田雄一
    『むくげ通信』324号(2024.5.26)  

※写真入りのPDFファイルは、https://ksyc.jp/mukuge/324/hida.pdf

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 5月13~15日、韓国大田に行った。目的は<移住民-URM>国際シンポジウム。昨年10月以来だが、コロナも終わったようで手続きも簡単だった。日本側からの参加者は17名。日本各地から仁川空港に集まった。16名は飛行機、1名は関釜フェリー。韓国側参加者は20名。
 仁川空港から貸し切りバスで大田に向かった。約3時間。シンポジウムの主題は、「不平等と差別を超えて―東アジアの和解と平和を求める韓・日・在日教会の宣教課題―」。主催は、①韓国基督教教会協議会(NCCK)正義と平和委員会、②日本キリスト教協議会(NCCJ)都市農村宣教委員会(URM)、③外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)。私は、②のメンバーとして参加した。(右は集会資料集、韓国語&日本語、B5、156頁)(日本語版は、https://drive.google.com/drive/folders/1XlN3UMy1YSiPpRrkanAKUkSHfz9MXwX-?usp=drive_link よりダウンロード可)
 会場は、ピンドル(荒れ野)共同体教会。大田滞在は初めての私はブラブラしたかったが、大田到着後すぐにシンポジウムが始まった。主題講演は、李起豪さん(韓神大学/平和と公共性センター所長)の「境界を必要とする国家と、境界を行き来する市民―東アジアの平和に向けた日韓市民社会の地位と役割」。講演原稿をほとんど無視した講演で、通訳の方は大変だったろうと思う。内容的にはとても興味深かった。
 その後の歓迎晩餐会は、近くの教会の食堂。心のこもった料理でおいしかったが、ビールはでなかった。韓国の教会は日本の教会と比べるとお酒にはきびしい。以前、韓国教会の有機農業生活協同組合のメンバーを引率してきたK牧師は、信徒の前では飲めないと言っていた。「飛田さん、公式行事が終わったので飲みに連れて行って」と、飲みに行った。韓国の牧師さんはかわいそうだ?
 教会での晩餐会ののち、そこの牧師もいっしょにもうひとつの懇親会にでかけた。そこではビールも問題がなかった。
 2日目は、発題が4本あった。キリスト教の集会では、「発題」という言い方をよくするようだ。
1) ナム・ジェヨンさん(非正規職対策韓国教会連帯常任代表)「韓国社会の非正規職問題について」
2) 岡本拓也 さん(日本URM/日本基督教団南住吉教会)「日本社会の差別と嫌悪を克服するためのキリスト教の取り組み」
3) コ・ギボクさん(龍仁みんなのための移住人権文化センター所長)「韓国社会移住民の現実、季節労働者の人権、国際連帯の成果と課題」
4) 佐藤信行さん(外キ協事務局/在日韓国人問題研究所)「在日韓国・朝鮮人と移住民・難民の現状、そして教会の取り組み」
 私は発題1、2の司会担当だった。2と3の間に、今まさに闘争中の韓国オプティカルハイテク労働組合の報告があった。以下、その内容。
 日東電工の韓国工場の一つである亀尾の韓国オプティカルハイテクは2022年10月4日、工場が火災で全焼する。その一ヶ月後に法人清算を決め、労働者に希望退職を通知した。希望退職を申請しなかった17人(今残っているのは11人)の労働者を整理解雇し労働界の反発を呼び起こした。平沢には韓国日東オプティカル工場があり、その工場に雇用継承を要請したが、日東電工は二つの工場の韓国法人が異なり雇用継承ができないとし、残っている11人の労組員の要求を受け入れていない。日東電工は外国人投資促進法に基づき、2003年から50年の土地無償賃貸などの恵沢を受け、2021年までに7兆7102億ウォンの売上を上げた。6月19日から23日午前まで組合員9人が大阪日東電工本社抗議訪問と東京で日本側労働組合関係者たちと会う予定である。(申容燮まとめ)

 この日は、普通の懇親会が食堂であった。おいしかった。その後、やっと大田の街にくりだした。若い人が多かった。ソウルからのお客さんが来るというパン屋(聖心堂)にも行った。普段は長い行列ができるということだが、この時は入ることができた。でももちろんお客さんは多かった。ほんとにいろんなパンが並んでいる。あすの朝食用にパンを買うメンバーもいた。この店は近くの教会のメンバーが始めた店だそうだ。夜、KBSテレビを見ていたらその聖心堂の行列が映っていた。そういえば、名前そのものがキリスト教的だ。
 
乾燥タラのおつまみ、おいしかった/亡くなられたイムボラ牧師の追悼礼拝

 食堂からまたブラブラ、けっこう長い地下商店街を歩いた。閉まっている店も多い。大売出しではないような横断幕がかかっている。どうも、商店街のボスが逃げたようだ。商店主が、そのボスおより大田市を相手に闘っているのだ。もとろん、がんばってほしい。闘争団には会えなかったが心でエールを送った。
 そして第二次懇親会。私もだいぶ遅くまで飲んでいたが、最近アルコールが弱くなり途中で引き揚げた。それにしても、韓国の人はお酒が強い。もちろん弱い人もいるが・・・。
 
テレビニュースのパン屋/これは大田駅前店

 三日目は、NCCJ総幹事・大嶋香織さんの閉会礼拝。そしてフィールドワークで、ベテルの家「ホームレスの憩いの場」、1923歴史館(天安)訪問。が、私は、午後の飛行機で帰国のため、朝ひとりで大田駅からKTXに乗った。
 2015年、むくげ合宿が郡山であったとき、私は韓国の友人・金景南さんに会うために木浦までKTXで行った(『むくげ通信』270号、2015.5「群山合宿の前に麗水・順天を訪ねました」参照)。韓国のチケットのネット化は日本より進んでいて、メールでチケット番号が送られてきてその番号があればOKだった。韓国KTXはそもそも改札がない。直接列車に乗り込む。今回、大田・ソウルのチケットを見てもらう改札がなかったのが残念だった。車掌も来てくれなかった。ヨーロッパもこの方式のようで(知らんけど)、簡単に乗れるが、万一チケットなしで乗るペナルティーが半端でないという話を聞いたことがある。
 帰路の仁川空港の駅で、木浦、釜山などに行く直行便を探してみたがない。その駅からKTXに乗れない。観光案内所で聞いてみたが、以前は一日一~二本あったが、なくなったとのこと。空港直行鉄道ができたからか。大田駅で仁川行きのKTXのチケットを買おうとしたが、つれなく断られたのでその真意?を確かめたかったのだ。

 さらにオプションのフィールドワークが翌日(5/16)準備されていて、戦争と女性人権博物館などを訪問している。いつも私は韓国のプログラムではフルコース参加、さらに前後に個人オプションをつけて参加するのだが、今回は、学生センターの理事会があり最短コースの参加となった。実は、6月と8月にまた韓国訪問の予定がある。そのときはフルバージョン訪問したい。
 今回の韓国シンポジウム、外キ協の第20回国際シンポジウムと第13回日韓NCC-URM協議会を合わせて開かれた。NCC-URM協議会の第1回目は1978年、私は参加した。初めての訪韓だった。韓国のURM(当時はUIM)が東一紡績争議の真っ最中で、緊張した協議会だった。帰国時、空港で一部のメンバーが「不穏ビラ」を所持していると一時拘束された。私は、翌日の便で帰った。空港では「トビタ(飛田をトビタと読んでくれた)はどこだ?」と聞かれたメンバーもいた。これらのいきさつは『むくげ通信』48号1978.5~51号1978.11に「韓国行-日韓UIM交流会に参加して-」(全4回)を書いている。当時はガリ版、私も当時はきれい字を鉄筆で書いている。最近の編集後記の手書きの字の汚さは反省している。
 この第1回協議会、開催前から問題があった。日本側の中心メンバーは大阪の三好博、李清一、小柳伸顕ら。事前に韓国政府の知るところとなりビザが下りなかった。神戸領事館扱いの土肥隆一、飛田らはOKとなったのである。この協議会後のフィールドワークではソウル東大門北のスラム、永登浦UIM、仁川UIMなど訪ねた。報告書をNCC-URMのホームページ https://ksyc.jp/ncc-urm/ に貼り付けたのでご覧いただければ幸いです。(右は1978年協議会の報告書。下は、当時の朝日新聞記事)
 第1回協議会がこのような事情があって李清一さんは参加できなかった。したがって、その後全13回の協議会に全参加しているのは私だけのようだ。基本的に、2年に一度、日本と韓国で交互さ開催されている。以下、その記録。

1)1978「産業社会における現代宣教の課題」水原&ソウル
2)1981「現代社会と教会の牧会―工業化と教会の宣教」京都
3)1983「今日の宣教課題と共同協力」ソウル
4)1998「グローバル化する社会における日韓URM運動の課題と役割」京都
5)2001「21世紀―日韓URMの連帯と協力」韓国・慶州
6)2003「東アジアにおける平和と民衆の権利」京都
7)2005「生命・平和・共同体」韓国・京畿道
8)2008「東アジアにおける経済正義とキリスト教」滋賀
9)2010「東アジアの和解と共生―韓国強制併合100年にあたって」韓国・済州島
10)2013「いのち・正義・平和」京都
11)2017「不平等と差別を超え―差別のない社会に向けた韓・日教会の役割」ソウル
12)2019「東アジアの平和共同体〜現代の日韓関係〜」大阪
 2019年以降、コロナで開催が延期されていたが、今回第13回が韓国大田で開催されたのである。

 今回の韓国行き、もうコロナボケでもないだろうに忘れ物があった。①韓国交通カード、②電源変換アダプター、③愛用の電気カミソリ。③はどうでもいい。②は最近ソウル東横インに泊まっていいたので不要だった。①はミスった。実は韓国ウオンを40万も持っていた。円安だし絶対持参せねばと思って持参したら?交通カードを忘れた。
 あわただしかったが、充実した訪問だった。コロナで延期していたむくげの会韓国合宿も来年には再開する。さて、どこへ行こうか。

 共同声明文の最後の部分を以下に掲載する。
 不平等と差別によって苦痛を受けている人びとに自分から近づいて手を差し出したイエス様を見習って、痛む人と共に痛み、泣く人と共に泣くことで、神の国をこの地に成し遂げていくことが、「2024日・韓・在日教会≪URM-移住民≫国際シンポジウム」に私たちを呼び集めた神様のみ旨だと告白します。
 そのために私たち日・韓・在日教会は次のような共通の課題に取り組んでいくことを、ここに表明します。
1)私たちは帝国主義と覇権主義の誤った歴史を直視し、アジアと世界の平和を実現する国になることを誓った。日本国憲法前文の具体化である憲法9条を守るために力を尽くして連帯していきます。
2)私たちはグローバル企業が他国の労働者を差別し、日常的に行なわれている反人権的行為に対して厳重に抗議し、イエス・キリストがくださった信仰と良心により、苦難を受ける労働者と協働し、労働正義実現のために連帯していきます。特に、日東電工株式会社の子会社である韓国オプティカルハイテック社の精算によって不当に解雇された非正規労働者と連帯し、地位と人間の尊厳の回復を支援します。
3)私たちは、日本において永住資格取り消し法案が撤回されることを求め、韓国において季節労働者など移住民に対する不当な待遇が改善されるように絶えず声を高め連帯していきます。また、極めて低い難民認定率からも分かるように、閉鎖的で排他的な難民政策を固守している日韓両国政府に向けて、難民認定制度の改善および人種差別撤廃法の制定を持続的に要求していきます。
4)私たちは、非正規労働者、移住民など、社会的少数者と弱者の痛みに背を向けず、その人たちの声に耳を傾け連帯します。
5)私たちは、今回確認された共同の課題への対応と日・韓・在日教会の相互交流を深めるため、2025年に移住民協議会、2026年にURM協議会をそれぞれ日本で開催し、2027年にURM-移住民国際シンポジウムを韓国で開催します。 2024年5月15日
「2024日・韓・在日教会≪URM-移住民≫国際シンポジウム」参加者一同/韓国基督教教会協議会(NCCK)/日本キリスト教協議会都市農村宣教委員会(NCCJ-URM)/外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)
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