
寒い日々が続き 家の中での楽しみと言えば 読書。
宮本輝著 「長流の畔
を 読んだ。
流転の海 から始まった シリーズ8部目。
敗戦後の日本から立ち上がって行く男の生きざまを 関西の庶民の生活を舞台に
描かれた 作品。
8部目は 東京オリンピックが始まる前後の 時代背景と共に
彼の家族や周りの人々の生活は 今の私達とどう違っていたのか?
伊勢出身の両親から、
若い頃母の住んでいた大阪の話を幼い頃から 聞いて育った。
ここで細かに描写されている 粗末な服姿の幼い子 も
見聞きしていた為 容易に想像できる。
また昭和の夫婦の様子も 今と違って
一歩も二歩も下がって 夫の言いなりにならざるを得なかった妻。
理不尽な扱いを受けざるを得なかった 女性の環境。
宮本さんの 男性の目からとはいえ 主人公の妻の
細微にわたって 暗澹たる思いを 丁寧に描き
きっと 母もこんな思いで 暮らしてきたのだろうな
と、思い巡らせながら 読み終えた。
「野の春」と言う作品が 9部目となり 来春にも発表されるそう。
完結編 として 手に取る日が待ち遠しい
