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時々刻々現社的学習2

現代社会の授業用ブログ

村上ファンドとグローバリズム

2005-10-15 09:14:15 | 経済・金融関係
阪神電鉄株を38%以上買占め、筆頭株主となった「村上ファンド」が話題となっているが、昨日(10/14)の新聞には、インターネット商店街を運営する「楽天」がTBSの15.46%の株式を取得して筆頭株主となり、TBSに経営統合を提案したという記事が報道された。このTBS株に関しても「村上ファンド」は7%以上保有している。
どうやらこのTBSと「楽天」の動きにも「村上ファンド」が一役かっているようだ。
今春の「ライブドア」と「ニッポン放送」をめぐる一連の騒動も「村上ファンド」が仕掛け人と言われている。今回はその第二幕ということであろう。マスメディア・電鉄会社という規制業種とIT新興企業という取り合わせも同じだが、それぞれプロ野球球団の親会社という点も共通している。

こうした株買占めによる会社買収をM&A(mergers and acquisitions)という。マスメディアをめぐるM&Aはアメリカではめずらしくないから、日本でもいよいよアメリカ的な大買収の時代が到来したということだろう。

背景には、すべてを市場での自由な取り引きにゆだねるというアメリカ的な市場原理主義が世界規模で影響力をおよぼしているということがある。これを「グローバリズム」あるいは「グローバリゼーション」という。(教科書:p77,78)

たとえば、「村上ファンド」が運用する資金は、2000億円~4000億円といわれているが、その大半は外国からの資金(大学運営基金や年金基金など)だと言われる。さらに、最近の原油価格の高騰で、中東の産油国からのオイル・マネーがこうした私募ファンドに流入しているようだ。今年8月からの日本の株式市場での株価上昇もオイル・マネーが一役買っているというのが大方の見方である。日本市場は、すでにグローバル・マネーが支配する世界なのである。

「村上ファンド」のような投資ファンドはあくまでも運用益を上げることが目的だから、企業買収や会社の経営権の獲得が目的ではない。「ライブドア」や「楽天」といった新興企業と組んで、投資した会社の株価を上げ、売却益を得ることが狙いである。

しかし、こうした投資ファンドの動きは、既存の会社経営者に脅威を与えているのも事実である。来年4月から施行される「新会社法」では、株式交換による会社買収が可能となり、これまで以上にM&Aが容易になるのではないかと言われている。

たとえば、マイクロソフトの株式時価総額が約2600億ドル(約28兆円)であるのに対して、ソニーの株式時価総額は約4兆円でしかない。日本が誇るグローバル企業にしてもアメリカの巨大企業には足元にも及ばない。近い将来、外国資本が日本企業の買収を本格化するのではないかという外資脅威論が台頭している。

大手アパレルメーカーの「ワールド」が、今年7月、経営陣による企業買収(MBO マネジメントバイアウト)という形をとって株式を非公開とする、と発表した。その後、9月には株式公開買い付け(TOB)が成立して、11月には上場が廃止される予定である。上場を廃止して非公開会社になるという例はまだ多くはないが、企業買収の対策をとる会社は増えている。

設問1)「グローバリズム」あるいは「グローバリゼーション」とは何か?

設問2)次の用語の意味を調べなさい。
①M&A  ②MBO  ③TOB

設問3)株式会社で「上場会社(公開会社)」であるメリットは何か?

証券用語の基礎知識(2)

2005-06-22 09:41:13 | 経済・金融関係
ヘッジファンド … 「ヘッジ」(リスクを回避する)取り引きによって大きな利益をあげることを目指す投資会社。さまざまな金融商品や派生商品を使ってリスクをコントロールするのが特徴。大きな資金を動かし、しばしば投機的な活動を行うため、金融不安の元凶になったりする。

ETF(Exchange Traded Funds)… ETFは、特定の株価指数に連動することを目的に運用される投資信託で、通常の株式と同じように証券取引所において、いつでも売買が可能である。

投資信託 … ファンド(ミューチュアルファンド)、投資家から集められた資金を専門の委託会社が運用し、その成果を出資額に応じて投資家に還元するもの。資金は株式や債券などで運用する。

キャピタルゲイン … 譲渡益・値上がり益など、株式などの有価証券、土地等の資産の価格変動に伴って生じる売買差益のこと。逆に、資産売却により、損失となった場合はキャピタル・ロス。 利子・配当等の収益はインカムゲインとよぶ。

ペイオフ … 金融機関が破綻した場合、預金保険機構により、預金者一人あたり元金1,000万円までと、その利息が保証され、それを超える元金および利息分は保証されないことをいう。05年4月1日より当座預金など無利息の預金以外全額保護される預金はなくなる。

信用取引 … 株式取引で現金がなくても証券会社が融資して立て替えたり、株式を貸し付けたりして売買できること。信用取引には委託保証金が必要で、株価の値下がりにより、追加の保証金が必要になる場合があり、これを追証という。

証券用語の基礎知識(1)

2005-06-16 09:21:48 | 経済・金融関係
知っておきたい基本用語を簡単に説明しておきます。

・日経平均…東証一部上場銘柄のうち代表的な225銘柄を対象として株価の平均値を算出するもの。主な投資ファンドや証券会社などが指標として用いている。

・TOPIX(トピックス)…東証一部の上場全銘柄の時価総額を基準日(1968年1月4日)の価額で割った数値。日経平均よりも株式相場全体の動向を示す。日経平均と並んで日本株の代表的な指標。

・成行(なりゆき)注文と指値(さしね)注文…株式を売買するときに価格を指定して注文するのが「指値注文」、価格を指定せず、そのときの取引価格で決まるのが「成行注文」である。

・機関投資家(きかんとうしか)…保険会社や信託銀行など顧客から多額の資金の運用や管理を任されているグループ。機関投資家は大量の資金をまとめて運用するので、市場に与える影響も大きい。

・単位株と単元株…株式の売買単位を単位株(1000株で額面50円など)とされたが、法律改正で1単位=1単元となり、制度見直しにより株式はすべて無額面となった。銘柄により最低単元が1株から1000株まである。

・寄り付き(よりつき)と大引け(おおびけ)…株式市場の開始で最初についた値を寄り付き(寄り付き値・始値)、その日の最後の取り引きを大引け(終値)という。そのほか、一日で一番高い取り引き値を高値、低い値を安値という。

中国、人民元切り上げ問題 <ニュースと解説>

2005-05-15 12:45:45 | 経済・金融関係
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米財務長官「人民元、改革の時がやって来た」 (nikkei)
 【ワシントン=小竹洋之】スノー米財務長官は13日、米CNBC
テレビのインタビューで、対ドル相場を事実上固定している中国の
人民元について「改革の時がやって来た。中国が動くことを切望し
ている」と述べ、直ちに変動幅を拡大するよう重ねて要請した。
同長官は「改革は中国自身の判断だが、中国はいますぐ動いてほし
いという米国の意向を承知している」とも語った。 (13:02)
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米政府、中国製品に緊急輸入制限・繊維・衣料3品目 (nikkei)
 【ワシントン=吉田透】米政府は13日、綿製ズボンなど中国製の
繊維・衣料3品目について緊急輸入制限(セーフガード)を発動する
方針を決めた。今後の中国政府との協議で今夏中に中国側が輸出抑
制への対応策を示さなければ、セーフガード発動に踏み切る。

 グティエレス商務長官は決定に関して「米産業界に(他国企業と
の)公平な競争条件を整えようとする米政府の決意の表れだ」とす
る声明を発表した。

 米国が中国製の繊維製品にセーフガード発動を決めたのは2003年
秋以来。今年1月に繊維製品の国際的な輸入割り当て(クオータ)制
が撤廃され、中国製繊維の輸入が急増し始めてからは初めてのケー
スだ。

 対象となるのは綿製ズボンのほか、綿製・合繊製下着、綿製ニッ
トシャツ。これらの1―4月の輸入は前年同期に比べ約4―16倍も増え
ている。米繊維業界は「大きな被害を受けている」として米政府・
議会へのロビー活動を強め、セーフガードによる救済を求めていた。
(10:03)
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米上下院、中国人民元対策で為替操作阻止法案提出(nikkei)
 【ワシントン11日共同】米上院中小企業委員会のスノー委員長(
共和党、メーン州選出)は11日、中国をはじめ貿易相手国による為
替操作を阻止するための法案を提出したと発表した。為替操作で人
民元を安く維持した結果、米国の対中貿易赤字が膨らんだと批判し
ており、同じ内容の法案が下院へも提出された。

 法案は、特定の国を「為替操作国」と指定した上で、為替介入を
やめさせるため米財務省が交渉するとの内容。中国を名指ししてい
るものの、運用次第では日本なども対象になる可能性がある。

 中国へ進出し収益に結び付けられる大企業と異なり、安い輸入品
に市場を奪われている米国の中小企業は、特に中国の為替政策への
不満が強いとされる。 (09:00)
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米議会に貿易相手国の為替操作阻止法案・人民元を標的(nikkei)
 【ワシントン=吉田透】米国の貿易相手国による為替操作の阻止
を狙う新たな法案が10日、米上下両院に同時に提出された。法案は
対ドルの相場を事実上固定している中国の人民元を名指ししている
。日本についての言及はないが、運用によっては円相場への市場介
入も標的にされる恐れがある。

 上院中小企業委員会のスノー委員長(共和党)と下院中小企業委
員会のマンズーロ委員長(同)が作成した。人民元が対ドルで割安
に据え置かれ、米企業が中国製品との競争で著しく不利になってい
るとする全米製造業者協会(NAM)などの声を反映した。

 両院に提出された「公正為替慣行法案」によれば、「対ドルの為
替市場で一方向の市場介入を大規模かつ長期間実施している国」を
「為替操作国」と定義。米財務長官に定義に当てはまる国を特定さ
せ、為替操作阻止のため交渉することを義務づけている。

 1988年米包括通商競争力法も米財務省に為替操作国の特定と、相
手国との協議を求めているが、法案は現行法よりも為替操作の定義
をより明確にしている。 (10:53)
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人民銀・呉副総裁、人民元改革「技術的な準備完了」(nikkei)
 中国人民銀行(中央銀行)の呉暁霊副総裁は日本経済新聞の取材
に応じ、中国の通貨、人民元の為替制度改革について「技術的な準
備はできた」と述べ、事前の検討は終わったことを示唆した。その
上で「国際社会は中国が自主的に(改革の時期を)選ぶ機会を与え
てほしい」と語り、変動幅拡大など制度見直し要求を強める米国を
けん制した。

 人民元問題に注目が集まる中で、人民銀行幹部が外国メディアの
取材に応じるのは異例。 (07:01)
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中国製繊維にセーフガード発動要請・米繊維業界(nikkei)
 【ワシントン=吉田透】全米繊維協会など米国内の繊維関連四団
体は6日、中国製の繊維製品14品目について、輸入急増で国内業界に
被害が出ているとして緊急輸入制限(セーフガード)の発動を米政
府に正式に要請した。

 セーフガードの発動を求めているのは合繊製シャツ、綿製及び合
繊製セーター、合繊製ズボンなど。今年1―3月期の中国からの輸入
が前年同期に比べて、1.3―8.7倍に急増したという。全米繊維協会
のスピルハウス理事長は声明で、「前例のない中国製品の輸入急増
で米繊維業界は深刻な混乱に陥っている」と強調している。

 中国の世界貿易機関(WTO)加盟後、安価な中国製繊維の輸入
量は急増を続けていた。今年1月に繊維製品の国際的な輸入数量規制
(クオータ制)が廃止されると、輸入は一段と加速する兆しを示し
ており、米業界は懸念を強めていた。 (12:31)
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)5月13日(金曜日)
通巻第1123号

米中の「通商摩擦」、どうやら抜き差しならない状況に陥った様相
 一律27・%関税法案から「為替操作」を名指し、この遣り方は
「ならず者国家」名指しの発想と同じ

アメリカの選挙民は不公正、不平等といわれると敏感に反応する。

米国連邦議会上院の「中小企業委員会」(スノー委員長、共和党、
メーン州選出)は、中国をはじめ貿易相手国による為替操作」を阻
止するための法案を5月11日に提出した。
米国が一方的に定義している「為替操作」なるもので、中国が「人
民元を不当に安く維持した結果、米国の対中貿易赤字が膨らんだ」
といつものようなステレオタイプの批判を展開している。

ほぼ同じ内容の法案が下院にも提出されている。
これは米国の対中国貿易赤字が年間1300億ドルを超えた事態に
耐えられないため、とくに地元企業からの悲鳴を受け止めて対中姿
勢を強硬に演じなければいけない下院議会は、当然の流れだが、上
院も揃い踏みは極めて異例である。

 法案は、中国だけをいまのところ「為替操作国」と名指ししてい
るが、いずれ日本も対象になる懼れが強い。
 法案はブッシュ政権が途中で議会を説得して廃案になる可能性が
いまのところ高いが、先月もシューマー上院議員が「中国からの輸
入品に一律27・5%の関税をかけよ」とする法案が提出されたば
かり。

 米国議会に流れるアンチ中国感情、日本の想像をこえた深刻な状
況である。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)5月10(火曜日)
通巻第1119号   

中国の経済危機の本質はGDPの150%という債務残高
 もはやバブル崩壊は回避する路がなくなった

 北京がいまさら強がりを言っても間に合わなくなった。
 中国への投資が減速傾向にあることは周知の事実だが、とくに台
湾からの投資が「反国家分裂法」と許文龍氏の「奇美実業」グルー
プへのいじめが祟って半減した。
 連戦をにこにこ顔で迎え赤絨毯を敷いて、南京の孫文陵に数千の
「市民」を動員して歓迎し、あまつさえパンダ二頭で誤魔化そうと
したって無理だって。
 
 日本からの投資も確実に下落傾向になるだろう。
当然、「反日暴動」が影響しているが、そのうえに「チャイナ・リ
スク」があまねく知られるようになった。合弁解消、投資中断が陸
続とつづいている事態は、日本経済新聞があまり伝えないので知ら
れていないが、相当深刻である。
 過日、京王プラザにおける江蘇省の日本企業誘致セミナーがガラ
ガラだった異常事態を看ても、日本企業の中国進出ブームが去りつ
つあることがわかる。
 江蘇省と言えば、上海から無錫、蘇州、常州、鎮江、陽州、南京
へといたる大工業ベルト地帯、日本企業はすでに一万社以上がここ
に蝟集している。その江蘇省も日本企業に見切りをつけられた?

 上海への海外企業からの投資は2001年が73億ドル、2004
年は116億ドル、中国全体で2004年は606億ドルの投資に
恵まれた。
 上海の金融機関は内外銀行と支店を含めて2988店舗。外貨資
産は日本円換算で34兆円。貯蓄は26兆円。貸し付け総額は19
兆円余。要するに中国全体の六分の一は上海に集中しているのである。

 さらに高層ビルの乱立は地盤沈下を産んでおり、いずれ摩天楼の
多くは海に沈む(?)。
 上海市内で16階建て以上の高層ビルは、ついに4000棟。
NYを抜いて世界一となったのはよいにしても、バブル崩壊により
無人ビル、幽霊マンションが目立ち、金融センターとなった陸家嘴
地区は毎年60ミリから一センチの地盤沈下が進行中だ。


 経済が本当に「高度成長」なら、上海の株式指数も上昇し続ける
はずである。
 上海の株価指数は絶頂期から40%の崩落(人民元建て)、上海
B株は67%の墜落。くわえてここに米国の金利高が追い打ちをか
ける。人民元はドルにリンクしているため、米国の金利に中国の金
利が連動するからである。金利が上がれば経済成長は減速する。

 人民元の米ドルへのペッグは予期せぬ事態を産んだ。
 原油高がじわり、中国経済に甚大なパンチとなって跳ね返ってき
たことである。なぜなら変動相場制度ではない人民元をドルになお
して石油を輸入する関係上、一バーレル50ドル台は悲鳴に近い工
業レベルのインフレをもたらしたからだ。
 日本は一ドル360円時代の一バーレル20ドルも、いまの一ド
ル100円台の一バーレル55ドルも、それほどの悪影響を受けて
いない。加えて日本のハイブリッドカーが象徴する省エネへの努力
は、消費効率で中国の八分の一の低コストを実現している。

 中国のエネルギーの無駄使いは、漏電、漏水のうえに燃費効率の
悪さ、公害無対策などにより、日本との競争力がまるでないのである。
 さらに石炭輸送中の盗難、ガス輸送管からの盗難、電力の盗用な
ど中国人のモラルのなさからくる経済全体の損出は、惨状といって
も良いだろう。

他人事ではない。中国経済の崩壊に備えよ。


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外国為替ディーラーの心の中  2005年05月02日発行

金曜日の市場では
中国元の早期切り上げ期待を背景に
円高が一気に進行した。

ドル円は朝の106円近辺から一時104円60/65銭まで円高が進行、
ユーロ円などクロス円でも円買いは目立ち
ユーロ円は朝の137円近辺から135円割れまで一気に円高進行と
活発な円買いが目立つ展開になった。
ドル円は過去2ヶ月、ユーロ円はこの一年で最大の円高進行。

先々週のグリーンスパン議長の上院での議会証言における
早期切り上げを求める発言以降
盛り上がりを見せる中国元の早期切り上げ観測が
円買いの背景にあるとみられる。

元の切り上げは
日本の対中貿易において有利になることに加え
世界の貿易シーンで競合する中国製品との価格競争において
日本製品が有利になるとの見方から日本買いにつながるという説明から
円買いになっているともいわれるが、
中国からの輸入コストの増大は日本経済に悪影響を与える面もあり
実際の元高の日本経済の影響を見極めるのは難しいところ。
ただ、中国元の切り上げによるアジア通貨高、
アジア通貨の一員としての円高という連鎖は免れない面もあり
反応としては円を買わざるをえない。

金曜日は中国証券報が
「商業銀行と外国為替市場の改革進展により人民元相場の
調整を発表する条件が整ってきた」と報じたこともあり
中国元の切り上げ観測が一気に強まった。

メーデーなど中国国内の金融機関が休場になる間に
元のドルペッグ制緩和に踏み切るのではとの観測も広がったようだ。

もっとも、AFX通信が報じたところでは
中国人民銀行は政府から連休中のドルペッグ緩和についての指示は受けていない
と報じたこともあり
引けにかけては値を戻す場面も見られるなど、
神経質な動きがみられた。

なお、ドル円以外の通貨ペアに関しては
ドル高が進行。

ロンドン市場の朝方は
人民元のドルペッグ制緩和(ドル安元高)への思惑からの
ドル売りが優勢になったが、
東京時間午後9時半発表の
FRBが重視しているといわれる
PCE(個人消費支出)やPCEコアデフレーターの数字が
前月を上回ったことや
その1時間半後に発表された
シカゴ購買部協会景気指数が
市場の予想を大きく上回ったことなどを
好感してのドル買いが優勢になった。

対円で円買い、対ドルでドル買いとなったユーロなど欧州通貨の売りは
その分強く、
ユーロ円がここ一年で最大の下落幅を記録するなど
大相場となった。
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「be word」 人民元切り上げ
「07年に変動相場制」有力
丸紅経済研究所 今村卓 チーフエコノミスト (38)  <asahi.com>2005.5.7

 米国で、人民元の対ドルレート切り上げを求める声が強まっている。堅調な消費を受けて中国からの輸入が膨らみ、対中貿易赤字が急拡大しているためだ。4月の主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)でも、米は中国の為替制度の柔軟化を強く求めた。

 人民元のレートは中国当局の為替介入により1ドル=8.28元でほぼ固定されている。人民元が切り上がれば中国製品のドルベースでの価格が上がって輸出競争力が落ちる、というのが米側の思惑だ。

 いくら強く米国に迫られようとも、中国政府にとって今すぐ為替制度を変えることは難しい。国有銀行の不良債権処理など、国内の金融改革で手いっぱいだからだ。ただ実は、人民元改革にもタイムリミットがある。

 中国は、世界貿易機関(WTO)加盟に向けた99年の米国との交渉で、07年初めに国内の銀行業務を市場開放することを約束している。銀行業務を外資に開放して国際的な資金の出入りが増えれば、事実上の固定相場制を維持するのは難しい。このため、市場開放時点では人民元は変動相場制に移行している可能性が高い。そうなれば、対ドルレートは自然と上昇する。

 日本にとって人民元のレート上昇は、米国とは少し違った意味の利益がある。一般的に通貨の価値が上がると、輸入物価の低下を通じて国民の購買力が増す。日本で生産している価格の高い高付加価値商品の対中輸出拡大が見込めるわけだ。また、すでに中国に進出している製造業が、中国国内向け出荷を増やすチャンスも広がる。隣国の経済力アップが日本の得にならないはずはないのだ。

 人民元改革が予想される07年まであと1年半余。そろそろ割安な人民元、つまり安い労働力だけに着目した中国への工場進出は慎重な検討が必要な時期にきている。人民元切り上げ後の競争力を視野に置いた中国戦略が必要だ。


**用語解説

①ドル・ペッグ制…外国通貨取引の基準レートを対ドル・レートに連動させ、固定する制度。
実際的には1ドル=8.27元台に固定し、上下0.3%の変動幅に管理して国際収支などの状況を見ながら基準レートを変更する。
中国当局は「管理変動相場制」とよんでいる。
②為替介入…政府当局(日本の場合は財務省)が外為市場に資金を投入して通貨の需給をコントロールし、為替相場の変動を抑えたり、一定の方向に導くように操作したりすること。
③FRB(Federal Reserve Bank:アメリカ連邦準備制度銀行)…アメリカの中央銀行、連邦準備券の発行や公定歩合の変更などを行う機関。連邦準備銀行を統括するのが連邦準備制度理事会(FRB)で、現在のFRB議長はグリーンスパン。


(設問1)なぜ、中国の人民元切り上げ圧力が高まっているのか。

(設問2)中国当局はなぜ「人民元切り上げ」を回避したいのか。

(設問3)「人民元切り上げ」によって、日本経済にどのような影響があるか。