期末考査の第9問の解答と解説をここに掲載しておきます。
(設問1)日本の社会で格差が拡大しているというのは、具体的にどういう現象に現れているのか。
<解答例>
意識調査で自分を中流とする割合が減り、上流と下流の割合が増えている。最近ではデパートの売り上げが回復し、高額品の売り上げが伸びた。その一方で、ユニクロや100円ショップの売り上げも堅調である。30代で都心の高級マンションに住む者もいれば、ホームレスは依然として減少しない。生活保護世帯が増加し、健康保険料が払えない者、年金保険料が未納の者も増大している。
<解説>
ニートやフリーターの増加をあげている者が多いが、これらは格差拡大の現象かどうか。ニートはたしかに(収入がないという意味では)生活的には下流層を形成するかもしれないが、ニートそれ自体が格差の拡大を表しているわけではない。具体的に所得格差が現れている現象を答えることがポイント。
(設問2)日本で格差の拡大がなぜ起こっているのか。また、格差拡大はどうして問題なのか。
<解答例>
長期の不況や規制緩和による競争激化で企業がリストラしたり、雇用削減をした結果、失業者が増加した。また、雇用調整によりパート・バイトや派遣社員といった非正規雇用を拡大した。その結果、正社員と非正規雇用との間の所得格差が拡大し、二極分化が進んだためと考えられる。所得格差が拡大し、生活に困窮する下流層が増大すると、生活保護などの社会保障支出が増大し、財政を圧迫する。「小さな政府」をめざしたはずが、政府の社会保障支出が増大するという皮肉な結果になってしまう。
<解説>
格差拡大の原因に「成果主義賃金」をあげる者もいた。成果主義を導入すると、たしかに同じ企業の従業員の中でも所得格差は起こるが、それ以上に正社員と非正規雇用者との間の所得格差の方が大きい。社会全体でみれば非正規雇用の拡大の方が格差拡大に影響していると考える。
(設問3)「ニート」とフリーターはどうちがうのか。また、ニートの増大はなぜ問題なのか。
<解答例>
「ニート」は、学校に行かず、働いていないし、職業訓練を受けているわけでない者を意味する。34歳までの若年層がその対象になっている。フリーターは、定職につかずアルバイトなどの短期雇用で職を転々している者のことである。どちらも意識的にそのスタイルを貫いている者もいるが、その多くは正規採用されないために一時的に失業状態である場合が含まれている。ニートは就職せず年金未納者も多いから、将来無年金者の増大につながりかねない。ニートの増大は将来の社会保障支出の増大要因である。
<解説>
「ニート」は働く意欲がない者とかひきこもりとかばかりではない。本来は働ける状態にあるのに希望にあう職業が見つからないといった理由で就職しない人たちである。背景には企業側の新規採用の抑制といったことがある。若年層の失業率の高さは日本だけでなくヨーロッパでも深刻である。
(設問4)日本の医療保険制度の問題点を二つあげなさい。
<解答例>
高齢化の進行と医療の高度化の影響で医療保険支出が増大し、健保財政は赤字が拡大している。そのために患者の自己負担割合を拡大してきたがこれ以上の負担増は困難である。また、国保の保険料未納者が増加し、保険資格を失ったために適切な治療が受けられないという事態も起きている。
<解説>
年金とちがい医療保険の未加入者は少ないが、非正規雇用の場合、自分で保険料を支払う国民健康保険加入者が多く、未納者が増加する要因となっている。患者の自己負担割合が拡大しているから、公的医療保険だけでは安心できないという層も増えている。
(設問5)日本の年金制度の問題点を二つあげなさい。
<解答例>
国民年金と厚生年金・共済年金では年金の給付額に格差がある。そのために年金制度を一元化することが求められているが、現在まで実現していない。また、日本の年金制度は修正積立方式であるが、実際的には賦課方式のように現役世代の保険料に依存している。保険料未納者が増大したり、少子高齢化が進めば現行の年金制度を将来も維持していけるかどうか不明確である。
<解説>
年金未納者の問題をあげる者が多かったが、説明不足なものも多い。年金未納が増えると老人の年金が減るというようなことはないし、年金制度がすぐに成り立たなくなるというものではない。しかし、将来もいまの制度が継続できるかという保証はない。いちばん大きな問題は全員加入が義務付けられている国民年金(基礎年金)の給付だけでは老後の保障が十分ではないという点である。だから未納者が増加し、無年金者が増えるという悪循環になっている。
(設問1)日本の社会で格差が拡大しているというのは、具体的にどういう現象に現れているのか。
<解答例>
意識調査で自分を中流とする割合が減り、上流と下流の割合が増えている。最近ではデパートの売り上げが回復し、高額品の売り上げが伸びた。その一方で、ユニクロや100円ショップの売り上げも堅調である。30代で都心の高級マンションに住む者もいれば、ホームレスは依然として減少しない。生活保護世帯が増加し、健康保険料が払えない者、年金保険料が未納の者も増大している。
<解説>
ニートやフリーターの増加をあげている者が多いが、これらは格差拡大の現象かどうか。ニートはたしかに(収入がないという意味では)生活的には下流層を形成するかもしれないが、ニートそれ自体が格差の拡大を表しているわけではない。具体的に所得格差が現れている現象を答えることがポイント。
(設問2)日本で格差の拡大がなぜ起こっているのか。また、格差拡大はどうして問題なのか。
<解答例>
長期の不況や規制緩和による競争激化で企業がリストラしたり、雇用削減をした結果、失業者が増加した。また、雇用調整によりパート・バイトや派遣社員といった非正規雇用を拡大した。その結果、正社員と非正規雇用との間の所得格差が拡大し、二極分化が進んだためと考えられる。所得格差が拡大し、生活に困窮する下流層が増大すると、生活保護などの社会保障支出が増大し、財政を圧迫する。「小さな政府」をめざしたはずが、政府の社会保障支出が増大するという皮肉な結果になってしまう。
<解説>
格差拡大の原因に「成果主義賃金」をあげる者もいた。成果主義を導入すると、たしかに同じ企業の従業員の中でも所得格差は起こるが、それ以上に正社員と非正規雇用者との間の所得格差の方が大きい。社会全体でみれば非正規雇用の拡大の方が格差拡大に影響していると考える。
(設問3)「ニート」とフリーターはどうちがうのか。また、ニートの増大はなぜ問題なのか。
<解答例>
「ニート」は、学校に行かず、働いていないし、職業訓練を受けているわけでない者を意味する。34歳までの若年層がその対象になっている。フリーターは、定職につかずアルバイトなどの短期雇用で職を転々している者のことである。どちらも意識的にそのスタイルを貫いている者もいるが、その多くは正規採用されないために一時的に失業状態である場合が含まれている。ニートは就職せず年金未納者も多いから、将来無年金者の増大につながりかねない。ニートの増大は将来の社会保障支出の増大要因である。
<解説>
「ニート」は働く意欲がない者とかひきこもりとかばかりではない。本来は働ける状態にあるのに希望にあう職業が見つからないといった理由で就職しない人たちである。背景には企業側の新規採用の抑制といったことがある。若年層の失業率の高さは日本だけでなくヨーロッパでも深刻である。
(設問4)日本の医療保険制度の問題点を二つあげなさい。
<解答例>
高齢化の進行と医療の高度化の影響で医療保険支出が増大し、健保財政は赤字が拡大している。そのために患者の自己負担割合を拡大してきたがこれ以上の負担増は困難である。また、国保の保険料未納者が増加し、保険資格を失ったために適切な治療が受けられないという事態も起きている。
<解説>
年金とちがい医療保険の未加入者は少ないが、非正規雇用の場合、自分で保険料を支払う国民健康保険加入者が多く、未納者が増加する要因となっている。患者の自己負担割合が拡大しているから、公的医療保険だけでは安心できないという層も増えている。
(設問5)日本の年金制度の問題点を二つあげなさい。
<解答例>
国民年金と厚生年金・共済年金では年金の給付額に格差がある。そのために年金制度を一元化することが求められているが、現在まで実現していない。また、日本の年金制度は修正積立方式であるが、実際的には賦課方式のように現役世代の保険料に依存している。保険料未納者が増大したり、少子高齢化が進めば現行の年金制度を将来も維持していけるかどうか不明確である。
<解説>
年金未納者の問題をあげる者が多かったが、説明不足なものも多い。年金未納が増えると老人の年金が減るというようなことはないし、年金制度がすぐに成り立たなくなるというものではない。しかし、将来もいまの制度が継続できるかという保証はない。いちばん大きな問題は全員加入が義務付けられている国民年金(基礎年金)の給付だけでは老後の保障が十分ではないという点である。だから未納者が増加し、無年金者が増えるという悪循環になっている。