しかし、ナフサ免税の課税化や研究開発減税の縮小は、民主党内の反発も強く見送りになった。法人に対する課税強化ばかりだと、法人税率の引き下げと合わせてみて実質減税にならず、成長戦略にならなくなるという批判もでた。
次に、企業について実質減税になるように、減価償却、貸倒引当金損金控除、欠損期繰越控除、配当益金不参入のほか、相続税増税分や証券優遇税制の廃止なども俎上にのぼった。
今のところ、企業関連の税制優遇措置の見直しなどで6500億円程度の増税と個人向け所得税で3500億円増税となっている。残りの5000億円も増税まはた歳出カットということであれば、マクロ的にはほぼ増減税なしとなる。ということは、マクロ的な効果はほぼないことになる。
成長か、所得再配分か税制改革の目的すら不明確
さらに、菅総理は経済界に対し、減税分で浮いた資金を投資と雇用に回せ、特に雇用と要請しているが、それは統制経済的な考え方で、資本主義の考えではない。
資金を人に投資するか設備投資に回すか、または内部留保にして後で使うかは経営者が決めることで、たとえば減税と引き換えに雇用を要求するのは、経営判断の否定になってしまう。雇用というのは、経済の派生としてでてくるものだ。経済のパイを大きくして景気が良くなったら人を雇う、というのが正しい順番で、企業に人を雇わせて景気を良くするというのは本末転倒である。 【ダイアモンド】