福島県沖で発生した地震で、最大震度6強の揺れを観測した宮城、福島両県を含む東北、関東の9県で計120人が負傷したことが14日、各県への取材で分かった。同日行われた関係閣僚会議で菅義偉首相は「福島県、宮城県などでけが人が多数いるが、亡くなった方はいないと報告を受けている」と述べた。

 福島県では、郡山市の女性(67)が自宅で階段から転落し重傷となるなど、計65人が負傷。県内約70カ所に避難所を開設し、約200人が一時身を寄せた。新地町では、町内全域に当たる約2800世帯が断水。県は自衛隊に災害派遣要請を行い、自衛隊が同町で支援活動をしている。

 宮城県でもけが人が42人に上り、東松島市で女性(84)がベッドから転落して太ももの骨を折る重傷を負った。

 山形、茨城、群馬、栃木、埼玉、千葉、神奈川各県でも負傷者が計13人確認された。埼玉県東松山市で80代女性が転倒し、右太ももを骨折したほか、千葉県君津市でも80代女性が転倒して足の骨を折る重傷を負った。

 東京電力によると、福島第1原発5、6号機と福島第2原発1号機の使用済み燃料プールから水があふれたが、建屋内にとどまっており、安全上の影響はない。東北電力女川原発(宮城県)、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)は停止中で、大きなトラブルの報告もないという。

 国土交通省によると、常磐自動車道の相馬インターチェンジ(IC、福島県相馬市)―新地IC(同県新地町)間で約70メートルにわたり土砂崩れが起きた。同県二本松市のサーキット場でも土砂崩れが確認されたが、いずれも人的被害はない。

 地震の影響で発生した停電は一時80万戸を超えたが14日朝までに復旧。東北電管内の停電もほぼ解消した。