プーチン直属の国家親衛隊で
ウクライナ参戦拒否が続出
<ずさんな侵攻命令に反発した大統領直属の親衛隊の兵士が集団でウクライナ侵攻への参加を拒み、法廷闘争も辞さない覚悟を示している>
2020年4月、戦勝記念日向けの飾りの間を歩く国家親衛隊兵士(カリーニングラード) Vitaly Nevar-REUTERS
ロシア領内のハカシア共和国でロシア連邦国家親衛隊に所属する兵士少なくとも11人が、ウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ侵攻への参加を拒否したと報じられた。
【拷問】プーチンが牛耳るウクライナ東部で捕虜の身に起こったこと
国家親衛隊はロシア国内で主に警察的役割を担う大統領直属の軍組織で、ロシア連邦軍とは別の指揮系統に属している。
シベリア南部に位置するハカシア共和国の地元メディア、ニューフォーカスによれば、11人は国家親衛隊の特殊部隊に属する兵士たちで、侵攻作戦に参加する意思がないことを上官に告げたという。
その後、兵士たちは国境付近の野営地から連れ出され、ハカシアに送り返された。軍幹部は「任務に不適任」と、この兵士たちを解雇しようとした。 11人の兵士は、この決定に異議を唱える用意があるとしている。
本誌は現在、情報確認を行っている。 ニューフォーカスによると、特殊部隊の隊員たちは、軍司令部がウクライナにおけるロシア軍の実際の損失をモスクワの中央政府から隠していると考えている。プーチンのいわゆる「特別軍事作戦」では、多くのシベリアの兵士が犠牲になっている。
特殊部隊は指揮官から、負傷者やウクライナでの日々の作戦について沈黙を守るよう命じられたという。隊員は家族にも詳細を話さないように指示された。
不満を訴える兵士 ロシア南部の都市クラスノダールでも国家親衛隊12人がウクライナの戦争への出動命令を拒否して解雇され、不当解雇訴訟を起こした。
軍幹部らは今後、直面するかもしれない事態を「警戒し、怯えている」とニューフォーカスは指摘している。 国家親衛隊員12人を弁護するロシア人弁護士ミハイル・ベニヤシは、これまで弁護チームには約1000人から連絡があったと語った。
「戦いに行きたくない兵士は多い」というベニヤシのコメントは、4月1日付のフィナンシャル・タイムズに掲載された。 人権派弁護士パベル・チホフは、国家親衛隊のファリド・チタフ大尉と部下11人が2月25日にウクライナ侵攻への参加を拒否し、出動命令は 「違法」と主張したことを、テレグラムへの投稿で明らかにした。
「特別軍事作戦に参加するためにウクライナに入ることも、作戦の任務と条件についても、誰一人として知らされておらず、その結果、彼らは同意しなかった」とチホフは書いている。
ラトビアに拠点を置く独立系ロシア語ニュースメディア、メデューサによると、プーチンが2月24日に隣国ウクライナへの侵攻を開始して以来、ロシア国家親衛隊では少なくとも7人が戦闘で死亡しているという。
つい先日も、装備も整っていないのに、中央政府から明確な計画を知らされることなく、ウクライナのある地域に行くよう命じられた、とロシア兵が不満を訴える動画が公開されたばかりだ。
これまでのところ、ロシア軍の損失については様々な説があるが、ウクライナ政府は1万6000人にのぼると主張している。ロシア軍は指揮官も失っており、ウクライナ側の主張では、将官6人以上が死亡している。
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