冬になると気分が落ち込む…
「季節性感情障害」のサインと対処法
寒い季節の到来はカレンダーを見なくても分かるもの。
紅葉が始まったと思えばすぐ終わり、あっという間に気温は一桁台に。
家の中で過ごす時間が多くなり、孤独感が増していく。
【写真】冬は気分が落ち込みがち…「季節性情動障害」を緩和する5つの方法
日照時間も短くなって、夕方5時には暗くなる。
早いところパジャマに着替えて、ネットフリックスでブルーな気分を吹き飛ばそう。
それで済めばいいけれど、そのブルーな気分が季節性感情障害(SAD)に発展することもある。
いつも以上に無気力で、友達と会う気になれない。頭が働かず、1日中ボーッとしている。
このような症状が現れているときは、季節性うつ病の一種である季節性感情障害が疑われる。
季節性感情障害は、ただ暖かくなる日を待ち望むというシンプルなものじゃない。
米プロビデンス・セントジョンズ・チャイルド&ファミリー・デベロップメントセンターの
臨床心理士メイラ・メンデス博士も、季節性感情障害の患者は
「うつ病の患者に似た気分やムードの低下を見せます」と説明する。
ここからは、冬の気分の落ち込みが実は季節性感情障害になっている
サインと対処法を見ていこう。
※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。
季節性感情障害とは?
季節性感情障害は晩秋から初冬にかけて始まり、
春から夏にかけて治まるのが一般的(米国立精神保健研究所によれば、
夏に季節性感情障害を発症する人もいるけれど、冬に比べればはるかに少ない)。
「これまでの研究結果は、日照時間の短縮に体が反応して、
気分が落ち込む可能性を示しています」とメンデス博士。
季節性感情障害の正確な原因は明らかになっていない。
でも、いくつかの生物学的な可能性は考えられる。
まず、国立精神保健研究所によると、冬の間は、私たちの気分に大きな影響を与える
神経細胞内のセロトニンが減少しがち。また、米ミシガン州立大学助教授の
ハンネ・ホフマン博士いわく、明るい光は脳を刺激するけれど、
日照時間が短くなれば当然、その刺激が十分に受けられなくなってしまう。
冬になると、眠気と気だるさをもたらすホルモンのメラトニンが過剰に産生されることもある。
最後はビタミンD不足。このビタミンが不足すると、
うつ症状が現れることは科学的にも証明されている。
メンデス博士によると、若い成人は季節性感情障害を発症しやすく、
女性が季節性感情障害と診断される確率は男性のなんと4倍。
この障害の家族歴がある人や、双極性障害などのメンタルヘルス疾患の既往歴がある人も
リスクが高い。 他のメンタルヘルス疾患と同様、季節性感情障害の症状も人それぞれ。
米マサチューセッツ大学アマースト校の心理・脳科学名誉教授スーザン・ウィットボーン博士は
「季節性感情障害はうつ病として見られることが多いですが、
季節性の躁病エピソード(気分の異様な高揚など)が現れることもあります」と説明する。
季節性感情障害の症状は?
季節性感情障害は、季節性という点を除いて大うつ病性障害(いわゆるうつ病)と変わらない。
国立精神保健研究所によると、季節性感情障害と診断されるためには、
季節性の大うつ病性障害の要件を最低2年は満たす必要があるので、
1~2日どんよりしているだけでは不適格。 「
うつ病になると、少なくとも2週間にわたり、うつ症状が1日中、あるいは1日のほとんど続く
重度の抑うつエピソード(躁病エピソードの逆)が現れます」とウィットボーン博士。
この障害と診断されるためには、症状が定量化できなければならない。
アメリカの国立精神保健研究所によると、大うつ病性障害の主な症状は:
・ほぼ毎日、ほぼ1日中落ち込んでいる
・絶望感、無価値感、罪悪感がある
・元気が出ない
・以前は好きだったアクティビティに興味がなくなる
・眠れない
・食欲や体重に変化が見られる
・気だるい、または動揺したりイライラしたりして精神的に安定しない
・集中できない
・頻繁に死や自殺を考える
同研究所によると、冬の間は以下の症状が現れやすい。
いつも疲れている
メンデス博士いわく季節性感情障害の人は、
ひと晩ぐっすり眠ったあとでも「ほぼ1日中」疲れている。
糖質を食べすぎる/糖質が無性に食べたい
メンデス博士によると、季節性感情障害の人は食べることで
自分を癒やそうとする傾向がある。それに合わせて食の好みも変化する。
これまでの研究により、うつ病と精製糖質(パスタ、ピザ、チップス)は
紐づいていることが分かっている。その理由は明らかになっていない。
でも、糖質を摂取すると体内のセロトニンの量が増え、
一時的に気分がよくなるという説がある。
引きこもりたくなる
メンデス博士によると、季節性感情障害の人は「孤立して社会的接触を避ける傾向がある」。
もちろん冬は、寒い外より暖かい室内を好む人が多いけれど、
季節性感情障害の人は何が何でも人付き合いを避けようとする。
体重が増える
極度の疲労で健康的な習慣が崩れたり、コンフォートフードを食べすぎたり、
外に出なくなったりすれば、体重が増えてもおかしくない。
季節性感情障害が疑われるときは、どうするべき?
冬になると気分が急激に落ち込むいう人は、
季節性感情障害に効果的なアクションで気分を高め、健康的な習慣を築いていこう。
セラピストやメンタルヘルスの専門家に相談する
メンデス博士によると、先述の症状が2週間以上続いているなら、
メンタルヘルスの専門家に相談するべき。自分の感情を言葉にして、
健康的な対処メカニズムを身につける心理療法や、セロトニンの量を増やす
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)の服用が勧められるかもしれない。
まずは、医療機関で正確な診断を受け、あなたに合った治療プランを見つけよう。
光療法を試してみる
国立精神保健研究所によると、光療法は人工の明るい光を浴びて日光の不足を補う療法。
季節性感情障害の人は、初秋から春にかけて毎日、朝一番で光療法用のライトの前に
20~60分座ることが勧められる(光療法用のライトは紫外線を出さず、
一般的な外の光の約20倍の光を放つ)。
ホフマン博士によれば、光療法用のライトを朝ではなく夜に使うと、
睡眠が阻害されるので要注意。光療法には辛抱も必要。
「季節性感情障害の症状がすでに現れている場合、
ライトの効果が出るまでに最低でも5~7日かかります。
気分が良くなってきても、使うのをやめないでくださいね」
でも、自然光には自然光の良さがある。
ランチタイムが20分余ったら、20分散歩してからオフィスに戻ろう。
ビタミンDの量を調べる
病院の血液検査でビタミンDの量を調べてもらおう。
食事だけで体内のビタミンDを増やすのは難しいので、
医師はサプリメントの服用を勧めてくるかも。
国立精神保健研究所によると、ビタミンDのサプリメントは
季節性感情障害の“補完療法”とされているので、他の治療と並行して使うべき。
運動を続ける
天候が好ましくないときに運動するのは大変かもしれないけれど、
定期的に汗を流せば気分が安定しやすくなる。メンデス博士が言うように、
これだけで季節性感情障害が治るとは限らない。
でも、それで症状が軽くなることはある。
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