最近まで、仕事が忙しい日が続いてました
そんなに規模が大きくない部署なので、何か新規のプロジェクト等あればメンバー全員で取りかからないといけないという台所事情。
百億円単位のプロジェクト投資に初めて携わり、その中で色々なものが見え、記憶と記録の為に書くと同時に経験したことを分かりやすく書いてみます。
暇つぶし程度に、一読してみてください。
1. 会社内部というものについて
2. 交渉相手&競合相手について
《1. 会社の内部》
・会社は経営計画に基づき経営をしていく。その中で具体的な数値・目標を掲げ、それらを達成するのが市場から評価される上で必須である。
と言われてますが、そんなことに関して。
例えば、
・3年後に10億円の純利益を出す(投資計画:100億円)
そうすると、以下の2つのプロジェクトが出てきたらどうするか?
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A 2009年度に100億円投資したら、2010年度より20年間に渡って10億円の純利益を出すプロジェクト
B 2009年度に100億円投資したら、2015年度より15年間に渡って20億円の純利益を出すプロジェクト
(※Discount RateとかNPVとかは面倒なので、ここでは無視
)
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長期的な観点で見ればプロジェクトBの方が良いが、利益計画が上記のようであれば会社の判断でプロジェクトAをすべきということになる。
今回のケースは、プロジェクトBのタイプの案件が出てきたのだが、会社の方針としてはタイプAの利益計画なために社内で少々面倒なことにもなりました。
“優良プロジェクト”というものはどれだけ儲かる儲からないという尺度とは別に、会社の計画や都合という尺度によっても大きく左右されるものだということ。
会社の計画に沿わない“優良プロジェクト”は、社内では優良プロジェクトではなくなり認証が下りないという結果に。
従って社内の承認を円滑に取る為には、世間的にも優良なプロジェクトを見つけてくるのはもちろん、会社の計画や都合というものを十分に考慮して、“社内にて承認を得られ、更に儲かる案件”=優良案件を探していく能力が必要であると実感しました。
乱暴に言うと、
『チョコレートケーキが食べたい人に、最高級チーズケーキを持って行ってもダメ』
ってことです。
《2. 交渉相手&競合相手》
ABC電器に勤めるマネージャーだと思って考えてください。(暇なら)
商品ラインナップの関係で、市場価格20万円の薄型TV2つを早急に販売する必要があり、お得意様3人(X、Y、Z)に以下のレターを出した。
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○様
薄型TVを2名様限定で通常20万円のところを10万円にてご用意いたします。
ABC電器
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後日、以下の回答を入手。
X様 “素晴らしい商品なので、是非購入したい。薄型TV1つ当たり10万円のところを15万円ほど用意するつもりなので、2つと購入させてほしい。”
Y様 “それでは10万円で1つ購入したい。”
Z様 “是非購入したい。しかし10万円からもう少し割引してもらえないのか?”
Zは論外として、Y、Zの双方には上手に理由をつけて(先客アリとか)断って、利益を最大化できるXに2つ用意すればいい
簡単ですな。
以下、【Xサイドからの視点】
法的拘束力がない限りルールなんて参考程度であり、“本当に良い買い物”であれば誠意(態度・提示金額)を見せて買い占めてしまえば良い。
自分で薄型TVを使用するのもアリだが、市場価格に近い価格で(特別に18万円!とか言って)転売しまえばいい。
転売を前提にするなら、ABC電器にYとZを断らせて独占的に交渉できる立場を作ってから、価格を15万以下の価格にて(例えば12万)買えばOK。
それでは“18万なら確実に転売できる”という前提の下、薄型TVを購入するなら。
下記の条件Aは、先述した高価格を提示し、TVを2つとも買い占めて転売しようというパターン。
条件BはYやZと同じように、レターの文面通り1つのTVを10万で購入して、それを転売して儲けようというパターンです。
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A ABC電器からのTV1つ当たりの購入価格は、15万(当初提示通り)~11万(独占交渉で値切ったという仮定)で、
支払い総額=22~30万
転売価格=36万(18万×2)
利益=6万~14万
B レター通りに購入しようとすると、購入価格は10万で転売価格はそのままなので、
支払い総額=10万
転売価格=18万
利益=8万(競争倍率1.5倍)
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ポイントなのは、
・Aの方法の方が結局ABC電器にも利益が増加するという点(Bだと20万だが、Aだと22~30万に上がる)
・仮に全ての競合がBを選らんでも、倍率の関係上8万の利益を上げられる可能性は低くなる。もしこれが10人を対象にしていたら、稼げる可能性はぐっと低くなる
・他の競合がAの方法を選んだ時点で、Bを選択していたらチャンスがゼロになる
ま、競合が多ければこちらも多めの価格を提示してたかもしれませんが、結果として今回のX役は他社でした。
こちらは一番最初のレターを丸々信じ込み、おそらく3分の2には入ることができるという考えのもと(もしXが素直に10万で購入なら多分入れた)、結果はダサいんですが“出し抜かれた”形です。
・競合に勝ち、取引先にもメリットを与え、更に利益の最大化を図る。
・さらに(1)の会社内部承認も円滑に取る。
大企業の商売人とはどうあるべきかということを今回学ぶ絶好の機会になりました。
勉強することは無限にありますが、今回の新規案件に携わったことは非常に良い経験で、10年後には優良案件を“獲得”できる人材にならんと。
この悔しい経験を糧に、世界相手にできる商売人を目指して邁進していきます。
という、最近の日々&久しぶりな日記でした。
PS
前回書いたオーストラリアですが、延びに延びて12月中旬を計画してます。
成田→ブリスベン→シドニー→NSW州の田舎と3都市を回る予定ですが、滞在予定日数3日。。。
幸いにも時差がほとんどないのが救いっす。