八幡平の自然 ~アスピーテ日誌~

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「オンドル小屋まで歩こう」下見に行ってきました。

2017-10-10 12:08:48 | ガイドウォーク

10月6日、先人たちに想いを馳せる旧道トレッキング&湯治体験

「オンドル小屋まで歩こう」下見に出かけました。

トロコの駐車場から歩き出しましたが、当時はこんな道じゃないので当然車が通ることもなかったわけなのですが、あっ車!・・・

記念碑前のバス停に到着です。

バス停の名前は知っていても、何の記念碑?ですよね。

これは、ジャーナリストの杉村楚人冠という人がここで落馬したことがニュースとなり、期せずして八幡平の名が全国に知れ渡る事になったという逸話の場所で、通称「落馬記念碑」と呼ばれています。

村人たちが記念碑を建てるからと、落馬した本人が揮毫を依頼され、『我は行く荒草履、汝は又森深林に入る』と刻まれています。

この句碑の周りに幔幕を引きまわし、杉村楚人冠を招待して盛大な除幕式が行われたそうです。

今から80年ほどの昔、八幡平が国立公園編入されるずいぶん前、昭和10年の事です。

ちなみに、記念碑の除幕式に出席した杉村楚人冠は、馬で蒸ノ湯温泉へ、そして八幡平山頂、秋田焼山を通って玉川温泉に出かけました。

当時の写真誌に「落馬記」、「報謝行」、「八幡平再挙」などの記事と共に一年にわたり八幡平が紹介されました。

さて、ここは八幡平一合目の八幡平神社の近くです。

蒸の湯に行くために、ここから登山道に入ります。

かつて湯治に向かう人たちは、馬の背に揺られたり、又は歩いてここから上りはじめました。

アスピーテラインの開通前までですが、4輪駆動車も荷物を満載してここを登ったそうで、「ジープ道」という名前が古い地図に記載されています。

当然、その頃はアスファルト舗装である訳はないのですが。

八幡平神社の直前を旧道に入ります。

現在は別荘の管理車両が通る程度で、さすがに道は荒れています。

ブナも二次林ですが、適度に日も入って、新緑の中を歩いているみたいです。

大沼から少し下っただけなのに、この辺りの紅葉はまだまだのようです。

 誰かさんの目は忙しく動いていて・・・

発見!アケビやら山葡萄が沢山見えています。

湯治客で賑わったのは秋ではないかもしれませんが、この道を通った人たちは休憩がてら秋の味覚を楽しんだに違いありません。

こんなのも。きっと自炊の食材になったのでしょうね。

そしてクマも。冬ごもり前の彼等は餌探しで忙しいと思います。

私たちのイベントで、名前の無いこの沼に「四合五勺」と命名したことがありました。

トロコの登り口から2時間ほど、「四合五勺」到着です。

こちらは、少し下ったところの「よんご沼」八幡平登山の4合目に位置するのでこの名前がついたとか。

風がないので鏡のような水面に逆さの紅葉が映し出されていました。

色付き7割程度と見ますが、息をのむような景色です。

ふたたび・・・でも、このコースはかつての車道(ジープ道)だったので急坂はありません。

現在の地図にはこの場所の地名はないのですが、古い地図には「風見峠」とあります。確かに地形的には峠状の地形です。

湯治客もこの峠で一息入れたのだろうなと手に取るようにわかります。

昭和26年取り付けの冬の指導標72番。蒸ノ湯温泉は120番なのでもう少し。

標識のサビとブナに食い込んだ針金が時代を感じさせます。

再び紅葉の中へ、標高が上がるにつれ、周りの景色も華やかになっていきます。

そして大谷地。今日は下見なので私たちは紅葉の盛りを望んではいません。

見頃は本番まで取っておいて、と願っています。

と、ここで寄り道。大谷地湿原の向こうで「バッキン・バッキン」と音がするので望遠レンズで覗いています。

ブナの実をむさぼるように食べているクマの姿が映し出されました。

ついつい下見を忘れて夢中になってしまいましたが、当然これも昔からあった景色ですよね。

朽ちた指導標114番。

 蒸ノ湯温泉まであと少し。

蒸ノ湯温泉が見えてきました。湯治客で賑わったかつての湯治場は昭和40年代の土砂崩れで流されてしまいましたが、この正面はかつての浴舎が立ち並んでいたところです。

さて、本日のゴールは大深温泉なので、蒸ノ湯温泉からもう少し。

疲れた体で黙々と車道を登っていますが、こんな景色も見せてくれました。

色付きは何割?

 そしてゴールの大深温泉、紅葉の中の一軒宿に到着。

ふ~、あとは汗を流すだけ。

全行程歩きなだけにこの後のオンドルもお風呂も格別!に違いありません。

「旧蒸ノ湯街道」は当時の人達の息遣いや喜び、表情さえも想像できる道だと思いました。

残すべき道とも考えます。

   あべ

 


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