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”雲八ねえさん”の歴史スポットめぐり

京都東福寺、猫のいる涅槃図

京都、東福寺の涅槃会の涅槃図特別公開に

行ってきました。東福寺はひさしぶりです。

 

東福寺ではお釈迦様の亡くなった3月15日、

法堂に涅槃図を掲げて、法要が行われます。

 

 

また3月14日~16日の3日間だけ、この

涅槃図が一般公開されます。普段は立ち入る

ことのできない豪壮な造りの法堂の中に入り

涅槃図や天井画を拝観することができました。

 

随分大きな涅槃図でした。この絵は巨大な

法堂のサイズに合わせて描かれています。

 

 

以前は自由に写真の撮影ができましたが、

今は涅槃図も法堂内も全部撮影禁止です。

 

涅槃図を描いたのは東福寺の画僧であった

明兆(1352年~1431年)でした。

明兆さん、中国からおいでになった方かと

思ったら日本人。淡路島出身だそうです。

 

 

涅槃図は、お釈迦様が亡くなった時の

様子を描いたものです。沙羅双樹の木の

間に、お釈迦様が横たわっていました。

 

それを囲むようにして、お弟子さん達や

多くの人々が描かれています。たくさんの

動物達まで、一緒に嘆き悲しんでいます。

 

涅槃図には多くの動物の姿が描かれますが、

普通、猫は描かれないことが多いです。

 

 

この東福寺の涅槃図には、珍しく猫の姿が

描かれています。涅槃図の下の方、まるく

なって座っている猫らしき動物の姿が…!

 

では、なぜ…?

涅槃図に猫が描かれないのでしょうか…?

 

 

これにはいろいろな説があるようです。

昔からよく聞くお話はこんな話でした。

 

お釈迦様が病気になった時、天から薬の袋が

投げられました。ところが薬の袋は木の枝に

ひっかかって、お釈迦様の元に届かない…。

 

 

そこで、ネズミが木によじのぼって薬を

取りに行こうとしました。ところが…!

猫がやってきて、ネズミを襲ったのです。

結局、薬の袋はお釈迦様に届くことなく、

お釈迦様は、ついに臨終を迎えました。

 

確かに涅槃図の中に、木に引っかかった

のようなもの(?)が描かれています。

 

 

お釈迦様が亡くなったのは、”猫のせいで

薬の袋がお釈迦様に届かなかったため”…。

だから涅槃図には猫が描かれないのだ…!

という説が一般に知られているようです。

 

最近では、この説を否定する話も聞きます。

「木にひっかかった袋、あれは薬ではない。

あれはお釈迦様の托鉢用品を入れた袋だ。」

「そもそも、お釈迦様のいたインドに猫は

いなかった…。いない動物は描かれない。」

 

 

東福寺、拝観する人達は大きな涅槃図を

前にみんな”猫捜し”(?)をしています。

お坊さんが、説明していました。

「猫は象さんの下に丸くなっています。」

猫、左下の方にちょこんと描かれている…。

 

では、猫が描かれない涅槃図に、どうして

明兆さんは猫を描き入れたのだろうか…?

 

 

これに関しても、諸説あるようですね。

小学生の時、昔話の本で読んだのは…、

 

昔々、東福寺には明兆という絵の上手な

お坊さんがいました。明兆さんは、お寺の

お堂に掲げる絵を一生懸命描いていました。

 

 

あとわずかで完成という、その時です。

「あれ、朱色の絵具、切らしちゃった…。」

明兆さんは困り果ててしまいました。

当時、絵具はとても高価な品でした。

 

そこへ、一匹の猫がやってきました。

猫は朱色の絵具をくわえてきたのです。

猫の持ってきた絵具のお陰で、明兆さんは

一気に絵を完成することができました。

 

 

「猫さん、ありがとう。」

明兆さんは絵具のお礼に、猫を描かない

はずの涅槃図に猫を書き入れたそうです。

 

この昔話、とても印象に残っていました。

今でも覚えています。これをオトナが

合理的な解釈をすると、こんな感じです。

 

実は東福寺の近くには、”絵具谷”という

地名があります。この地から顔料として

使える粘土のようなものが採れたそうです。

それを猫が運んできたのではないか…?

 

 

”猫は絵具をくわえてきた”、というより、

”朱色の粘土を体に付けてきた”のかも…?

 

ではこのお話の最後を町田こーすけさんの

ラジオ番組、スーパーキャストの”Brand

new Legend”風にまとめてみましょう。

 

タイミングよく猫が絵具を運んで来たのは

なぜかな~?

実は、「明兆さんのお手伝いをして…。」

と、仏さまが猫さんに頼んだのだよ。

信じるか、信じないかは、あなた次第…。

 

 

涅槃会の3日間、東福寺では甘酒接待が

ありました。3月中旬といっても寒い日、

暖かい甘酒がいただけるのは嬉しいです。

 

「おねはん 甘酒接待」と書いた幕のある

建物を覗いてみました。

「甘酒、いかがですか~。」

ではさっそく甘酒、いただきま~す。

 

 

あまざけと一緒に、あられとお漬物も

用意されていました。このあられは、

涅槃会のお供えのおさがりだそうです。

 

お漬物とあられ、甘酒のお供に

ちょっとだけいただきました。

 

 

このあられは”花供御”といいます。

”はなくそ”とフリガナがありました。

涅槃会のお供えもので、法堂の中で

500円で分けていただけました。

 

この”花供御”をいただくと、無病息災で

長患いしないと伝えられているそうです。

では、一つお土産にいただきましょう。

 

 

”花供御”の袋の中に、東福寺涅槃図の写真や

説明、涅槃図修理の写真の載った案内書が

入っていました。いいお土産になりました。

コメント一覧(10/1 コメント投稿終了予定)

hatamotoooshimake52
>koboami さんへ
>こんばんは。コメントありがとうございます。
あのあたりにお住まいだったとは羨ましいです。
東福寺、泉涌寺の涅槃図を見るのはこれで3回目です。
巨大な涅槃図の中で、ネコは本当に小さくて、
みんな真剣に探していましたね。
koboami
雲八ねえさんさま
こんにちは♪

昔の住居は徒歩圏内に三十三間堂や博物館、東福寺があり三十三間堂は毎日の遊び場でした
昔は本堂以外は自由に出入りできたように思います

東福寺の涅槃図の猫は見てみたいです
じっくり読みたくて後でと思っていたら今日になってしまいました
とても興味深く楽しく拝読しました
(実は歴史が苦手) ami

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