京都、東福寺では3月14日~16日の間、
涅槃会に合わせて方丈で寺宝の特別公開が
ありました。法堂で明兆作の”涅槃図”を
拝観、甘酒をいただいた後、こちらへ…!
”方丈”って”方丈記”と同じ字なのですが、
禅宗寺院の住職さんの住まいのことです。
住職さんの居室の他、お勤めをする部屋
仏像や位牌のある部屋、檀家さんと会う
応接室など、6室ほどに分かれています。
東福寺の方丈は、明治時代の再建です。
建物を取り囲むように枯山水の庭園が
あり、昭和の名庭として知られています。
東福寺方丈は建物よりお庭の印象が強く、
建物自体は印象に残っていませんでした。
つまり以前はお庭しか見ていなかった…。
この写真は方丈の北庭です。この敷石は
もと恩賜門に使われていた石だそうです。
上手にリサイクルして、市松模様に…。
では今回は建物の中、お部屋や寺宝も
じっくり見ることにしましょうか…。
今回の特別公開では方丈の中央のお部屋で
明兆さんの仏画など寺宝が公開されました。
明兆さんは法堂の大きな涅槃図を描いた
東福寺の画僧です。
禅の修行より絵の方に熱心だったとか…。
そのためお寺を追い出されそうになった
ことも…。まぁ、これは伝説ですが…。
明兆さんの仏画が公開されていました。
岩の上に座る、迫力満点の白衣観音像…。
とってもリアルな東福寺の高僧の像…。
”五百羅漢図”の一部、模写もありました。
1枚(1幅?)に10人の羅漢さんを描き、
それを50枚(50幅?)も描いたそうです。
明兆さんはこれを3年がかりで完成したと
伝えられています。
この仕事のため、明兆さんはなかなか故郷
淡路島に帰れませんでした。ふるさとには
病身の母がいました。そこで明兆さんは、
母のために自画像を描いて送ったそうです。
この原本は焼失しましたが、模写した絵が
残されています。今回、公開されました。
32歳の明兆さんです。”水鏡”と呼ばれて、
水面に映る自分の姿を描いたと言われます。
よく見ると明兆さんの衣が破れている…!
当時の禅寺の生活は質素だったようですね。
いや、なりふり構わず絵に没頭したのかな。
両脇のお部屋では、生け花展がありました。
奥のお部屋では、お抹茶席もありました。
この部屋、普段は非公開となっています。
1年に3日間だけの”非公開ゾーンに入る
絶好のチャンス”です。ではお抹茶席へ…。
地味で質素な感じの禅寺、東福寺方丈に、
こんな華やかなお部屋があったとは…!
東福寺方丈の”隠し部屋”…?迎賓館…?
床の間があって、書が掲げられています。
天井が高く、違い棚もあります。金色に
輝く障壁画もあって、雅やかな感じです。
この部屋は、身分の高い方のための控室
として作られた…、と説明がありました。
ここは別世界…。まさにそんな感じでした。
床の間に掲げてある書は、江戸時代の
禅僧、白隠の書です。白隠83歳の時に
描いたもので、”寿”と書かれていました。
書いたというより描いたといった感じ…。
白隠は”寿”の文字が好きだったそうです。
お菓子とお抹茶が運ばれてきました。
こんなおいしいお抹茶は久しぶり…!
どこのお店のお抹茶でしょうか…?
いや、この雰囲気だからでしょうか…?
お抹茶、ちょっと感動的でした。
身分の高い方のための特別なお部屋で、
白隠の書を眺めながらお抹茶ブレイク。
とても贅沢なひとときを過ごしました。
東福寺は”紅葉の名所”のイメージですが
”涅槃会の特別公開”も超おススメです…!
追記:方丈のお抹茶席の書は撮影禁止でした。
そのため、室内の様子も撮影を控えました。
でもネットで検索すると、方丈内部の様子を
見ることができます。
興味のある方は検索してみてください。