行乞の俳人種田山頭火(9)
( 行乞のシーンその二)
〈ある裕福そうな家の玄関先で托鉢(たくはつ)のお経(きょう)を読み始める。玄関の戸が開き、五、六歳位の女の子が顔を出す〉
女の子:御免ね、お坊さん。今お母さん留守なの。御免ね、お母さん、中にいるけど留守なの。
山頭火:お母さん、中に居るけど留守なんだね。
女の子:だって、お母さんが、そう言えって、言ったんだもん。
山頭火:ではお母さんが帰って来たら、お坊さんが、こう言ったと言ってくれる。
「正直な子供の心を頂いて帰ります」って。
女の子:うん、御免ね。
山頭火:君はとってもいい子だから、このお菓子をあげるね。(托鉢で貰ったお菓子をあげる)
女の子:有難う。今度お坊さんが来る時は、お母さんに家の中に居る時は「中に居ない」って、言わないように、言っておくね。
山頭火:いい子だね。〈その場を去るとすぐ、一人の老婆が、山頭火に手を合わせて拝み、鉢(はち)の子に一枚の黒ずんだ硬貨を入れる〉
山頭火:財法二施(ざいほうにせ) 功徳無量(くどくむりょう) 檀波羅蜜 (だんはらみつ)具足円満(ぐそくえんまん) 乃至法界(ないしほうかい) 平等利益(びょうどうりやく)・・・・・
(老婆のくれた硬貨を手にし、それが一銭銅貨ではなく黒びた五銭の旧白銅貨である事に気がつき、老婆を呼び止める)
山頭火:お婆さん、こんなに沢山頂いては申し訳ない。一銭で、いいんですよ。これは五銭の白銅貨ですよ。
老婆:あら、まあ、そうでしたか。では、こちらの一銭を二枚入れさせて頂きます。
山頭火:ありがとう
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0809健太郎日記・翁のつぶやき(51)
不気味な国民共通番号法案
「国民全員に番号をふり、住所や生年月日、顔写真、給料、医療費などの情報を、政府や自治体がまとめて把握できるようにする仕組み」。
これが2013・1・29日の朝日新聞朝刊の記事である。その仕組みが完成した時から即座にあなたは全てを、監視されることになる。今では街中や交差点の監視カメラからも人物を特定できる。原子力発電も環境を護るクリーンエネルギーとして国民は洗脳された。
そしてまた、国民番号制度は、生活保護の不正受給、脱税の防止に役立つと宣伝する。勿論それに異論はないが、民主主義はもともと手間ひまのかかるものである。それを惜しめば、民主主義は吹き飛んでしまう。
役人は横の連絡で生活保護の不正受給、脱税の摘発は出来るはずである。国民全員に番号をふって、国民を番号で呼ぶ(勿論表立ってではなく、裏で)ことだけは是非とも避けたい。
まさに国民に番号を振る事は、将来に「不気味」な国家を招来することになる。
言論界が真っ先にこれに対して反発すべきなのに、何の反応もない。これが今の日本の言論界の体質なのかもしれない。
とにかく我々は、「誰が国民の尊厳を奪う、総背番号制度に賛成しているのか」を次の選挙までに見極めていく必要がある。安倍首相には、これよりも最優先の拉致問題の解決に全力を注いでもらいたい。