こんな時間ですが・・今日は特別な日ですから。
今日はウリビョンホンのお誕生日。
彼は今日どんな一日を過ごすのでしょうか・・。
『夏物語』の撮影中でしょうか。
たくさんの仲間とファンからのたくさんのプレゼントそして大切な家族にに囲まれて素敵なお誕生日を過ごしてくれたら嬉しいなぁ~
・・・というわけで
そんな今日の彼を想像してみました。
もちろんこのお題ですから・・揺ちゃん「生」ではありませんが登場いたします。
あら。彼へのプレゼント
というよりはまたプレゼントしてもらってる感じ
でも、ココの彼と同じように是非彼にもこんなお誕生日を過ごしてもらいたいと願ってやまないのでした。
・・・あ・・・でも最後ちょっとね。
だってあそこに繋がってるから。
お許しを・・・
セリフ少ないですけど笑顔の彼ご堪能くださいませ。
さて、今日は・・。
「ちょいワル親父」二人にビョンホンの遊び相手になってもらいました。
ビョンホンには年代や職業を超えた友人からいっぱいいろいろ吸収してほしいから。こんな設定です。
きっとね。いい刺激いっぱい受けられると思います。
では早速始めましょうか。
どうぞお付き合いくださいませ。
『ブルキナファソより愛を込めて』
ビョンホンがその日の撮影を終えて自宅に帰ったのはもう深夜の12時近く。
撮影現場では皆が誕生日を祝ってくれた。特にスエはケーキを焼いて持ってくるという周囲がビックリするほどの気合の入れようだった。
「俺も36か・・・」彼は窓の外を見てため息をついた。
「着きました。」
「遅くに無理言ってすまなかったね。」
「いいえ。誕生日はお母さんのわかめスープ食べたかったんでしょ。ほら、まだ間に合いますよ。」
マネージャーはそういって時計を見ると気を使うビョンホンをせかした。
「ありがとう。じゃ、」
ビョンホンは車から降りて門を入ると見慣れないブラックのアストンマーチンのオープンカーが来客用の車寄せに停めてあることに気がついた。
(こんな時間に・・・誰かな。・・・ナンバーは・・日本車?)
車のナンバーは湘南ナンバーだった。
ビョンホンは慌ててインターホンを押した。
「どうしたんですか?久遠寺さんもお義父さんも・・」
「センイルチュッカヘヨ~」
驚く彼を久遠寺と幸太郎はクラッカーと笑顔で迎えた。
「あなたの誕生日だからってお二人で来てくださったのよ」
オモニが笑いながら二人の後ろで言った。
「ほら、早く手を洗っていらっしゃい。わかめスープ作ってあるから」
「本当にありがとうございます。お忙しいのにわざわざ来てくださって」
ビョンホンはわかめスープを口に運びながらそう礼を言った。
久遠寺と幸太郎は美味しそうに食事するビョンホンを見て笑いながらソラクサンを酌み交わしていた。
「いやいや。それは口実でね。たまには仕事ほっぽって車に乗りたくてさ。あれ、カッコイイだろ。」
久遠寺は自慢げに言った。
「アストンマーチンのDB9のヴォランテですよね。ええ。最高にカッコいいです。」
キムパプをほおばりながらちょっと興奮気味にビョンホンは答えた。
「そうなんだよ。去年のモーターショーでいいなと思って買ったんだけどなかなか忙しくって遠出できなくてさ。幸太郎が休みとって韓国行くっていうから一緒に来ちゃったってわけ。下関まで高速でぶっ飛ばしてそこからフェリーだろ。で、釜山からここまで。もうしばらく乗らなくてもいいって言うくらい運転しちゃったよ。面白かったけど。ちょっと疲れたね。さすがに歳かな。」久遠寺はそう言って笑った。
「オープンで走るにはいい季節だし。なかなか乗り心地もいいから快適だったけどな。俺だって運転してやったじゃん。まあ、お前の方が歳ってことだな。ビョンホン君も明日乗ってみない?最高だよ。」幸太郎が言った。
「ええ、明日仕事夜の撮影なので午前中は時間取れますから是非。」
「相変わらず忙しいね。撮影は順調なの?」と久遠寺。
「ええ。何とか頑張ってます。」
「楽しい?」幸太郎は尋ねた。
「楽しい・・ですけど辛いこともありますかね。」
「楽しいだけじゃ人間成長しないからね。それぐらいがいいや。」久遠寺はそういうとニヤッと笑った。
「仕事もいいけどたまにはパァ~と遊ばないと。あ、そうだ・・・肝心なこと忘れてた。あ、もう誕生日過ぎちゃったな・・ごめん。今日は君に大切な届け物があって来たんだった。」
そういうと幸太郎は大きな包みを彼に差し出した。
「?」
「この間・・って言っても半月くらい前か。揺から荷物が送られてきてね。あいつに雑貨の仕入れのバイト頼んであったから。それと一緒にこれが送られてきてさ。直接送って着かないと困るからうちに早めに送るからって。
君の誕生日が近づいたら必ず手に渡るように手配してくれって頼まれてね。全く人使いが荒くてな。・・で届けに来たわけだ。」
ビョンホンはそれを聞くと幸太郎の手から荷物を慌てて奪い取り
「カムサハムニダ」と最敬礼するとご飯もそこそこに包みを抱いて階段を駆け上がった。
「・・・・」残された三人は顔を見合わせて笑った。
部屋に入ったビョンホンは慌てて包みの紐をほどいた。
包みからは今までにかいだことの無い遠い異国のにおいがする。
彼は思い切り深呼吸をした。その匂いが揺を運んできたような気がしていた。
包みの中には30センチほどの木彫りの人形とそれから一枚の絵が入っていた。絵にはいかにもアフリカ的な明るい色調の絵で温かい感じのする人と風景が描かれていた。
「全くあいつらしいな・・」ビョンホンはそれらを手にとって笑った。
それからデジタルビデオテープが一本。
ビョンホンは慌ててAVルームに行き再生できるように機材をセットすると焦りながらその中にテープを入れた。
じっと画面を見つめる・・・・。
画面はブルキナファソの街中を映し出していた。
砂埃の舞う道端で露天を背にビデオカメラを自分に向けた揺が話し出した。
「コホコホ。ええ・・映ってるかな。あ~あ~。入ってるかな。聞こえる?ビョンホンssi
ケンチャナ?」ひとしきりテストが終わると画面の中の揺はかしこまって話し出した。
「ビョンホンssi~センイルチュッカハムニダ。36回目のお誕生日おめでとう。きっとお母様のわかめスープを飲んでお母様に産んでくれてありがとうって言ってあげたわね。本当にあなたは優しい最高の息子だもの。お母様もウニちゃんもきっとお元気ね。本当は私も一緒にお祝いをしてあげたかったけどごめんねいけなくて。だから今年はブルキナファソでの私の元気な姿を撮影して送ることにしました。韓国を出るときに急に思いついてビデオカメラ買ったの。気が利いてるでしょ。でもバッテリー一本しか充電しなかったからこれ撮ったらもうおしまい。ははは。今日は5月の28日こちらに来てから20日くらい経ちました。
だいぶこちらの生活にも慣れました。友達も出来ました。同僚のエイミーちゃんです。今カメラ持っててくれてます。ほら、彼女です。はい、手を振って~」
揺はそういうとカメラを受け取って向かいにいる友人を映した。
優しそうなエイミーは恥ずかしそうにカメラに向かって手を振った。そして揺からカメラを奪い取るとまた揺の姿を映し始めた。
「ああ、ありがとうね。そういうわけで今日はブルキナファソの街を一緒に散歩しようね。ほら、こうやってるとみんな珍しがって集まってくるのよ。エイミーちょっと映して」
揺がフランス語でそういうとエイミーの持ったカメラは二人の周囲をぐるっと映し出した。
そこはビックリするほどの人だかりだった。集まっている人々に向かって揺が一言声をかけると皆カメラに向かって一斉に何かを叫んで手を振った。
「皆がお誕生日おめでとうって。有名な映画俳優の誕生日のプレゼントだって言っておきました。」揺はそういうとペロッと舌をだした。
ビョンホンは映し出される彼女の姿を見ながらずっとニヤニヤしていた。元気そうないつもの揺がそこには映っていた。そしてすっかり自分も彼女と一緒に旅をしている気分になっていた。いつか一緒に行ってみたい・・。
そんなことを考えているうちに揺は街のロバ肉屋やカフェを案内している。彼女は相変わらずそこでも美味しそうにほおばっていた。
「ククク・・・・」ビョンホンは街中を紹介する彼女を眺めずっと笑っていた。
画面は変わり、いつの間にか建物の中を映し出している。
「ここは私が働いている学校で~す。ほら、クーラーとか無いの。今日の気温は・・
えっ!50度。うそじゃなくて。すっごい暑いです。・・でこちらが子供たち。」
カメラを振った途端元気な叫び声がビデオの中でこだました。
「今日は学校休みなんだけど撮影するって言ったらみんな集まってくれました。」
子供たちは簡単なフランス語でカメラに向かって挨拶をした。
揺は子供たちに囲まれてもみくちゃにされながらゲラゲラ笑っている。
「えっとね。切りがないのでここはこれでおしまいです。彼女もこれからご主人とデートなのでここでサヨナラです。」
エイミーは画面に向かって手を振った。
また画面が変わる。
「はい、着きました。ここが我が家で~す。結構可愛いでしょ。」
揺はそういうと一軒の平屋の家に入った。緑色の扉が印象的だった。
「えっとね。ここがキッチン。でここがリビングダイニング。ここでご飯食べてます。
でここがベッドルームね。ここでこうやって寝ます。」
そういうと揺はカメラを持ったままベッドに横になった。
「そうするとね・・・天井にカマキリがいたりします。ほら、いた。」
揺は寝転がったまま天井に止まっているカマキリにズームした。
「どう。ビョンホンssiここで暮らせそう?」彼女はそういうとゲラゲラと笑った。
「じゃ、シャワー浴びてくるね。ここ電気ないから明るいうちにすませないといけなくて
水も井戸だしね。ちょっと待っててね。それとも・・・一緒に来る?」
揺はそういうと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
コンクリートの塀が映っている。揺の鼻歌と水の音。
ビョンホンが不思議に思ってみていると次の瞬間塀から揺が顔を出した。
「ジャーン。ここがシャワールーム。凄いでしょ。覗き放題よ。あ、待っててね。もう出るから。」
そういって塀から出てきた揺はブルキナファソ風のブルーのドレスを身にまとっていた。
「お待たせ。どう?一緒にお風呂入った気になった?」そういってニヤッと笑う。
「もう、大変だったのよ。来てすぐ体中あざだらけなのがばれちゃって。悪い病気なんじゃないかって心配されちゃって。でも、もうだいぶ消えちゃったな・・・・。」
揺はちょっと寂しそうにそうつぶやいて自分の膝を抱えて庭のベンチに座った。
「はい、ビョンホンssi ここに座って」
そういって彼女は自分の隣をトントンと叩いた。
「もう、バッテリー切れのサインが点いちゃってるからあとちょっとしか撮れないわ。あ、お土産どう?なかなか面白いでしょ。人形ははあなたに似ている気がして買ってみたの。どう?似てない?絵はね。ブルキナファソのじゃなくて隣のコートジボアールのなんだけどお土産屋さんで売ってて気に入ったので送りました。何だかその色使いを見てるとあなたを思い出すの。太陽を感じられるし、いろいろな色なのに調和が取れているのがとっても不思議で居心地がよくて・・見ているだけで元気になるから。良かったら飾ってね。あ~夜空も送りたかったなぁ。そりゃ星が綺麗なのよ。見せてあげたいけど・・きっと撮れないな・・それに感動はやっぱり生で見ないとね。ここにあなたがいたら楽しいだろうなぁ・・。ビョンホンssi来年の誕生日はどこにいても絶対一緒にお祝いしたい・・私、今決めたわ。約束する。だから今年はこれで我慢してね。映画順調かしら。身体に気をつけて頑張ってね。えっと・・浮気はダメよ。それからえっと・・・最後ね。えっと・・すっごい愛してる。お誕生日・・おめでとう。」揺はそういうとカメラに向かってキスをした。そして恥ずかしそうに頭をかいた。
「あとで・・・す・」
そこでちょうどバッテリーが切れたようだった。
ブルーになった画面を見つめながらビョンホンは彼女のことを考えていた。
来年はきっとふたりでお祝いしよう。約束する。彼女はそういった。揺は約束は守る奴だった。来年は楽しい誕生日になるだろう・・・ビョンホンは微笑んだ。
「あとで・・・って今日は出てくるってことか。」
ビョンホンはそうつぶやくと慌ててシャワーを浴びベッドにもぐりこんだ。
「どうだった?夕べは。すっごいの入ってた?AVルームで何か見てただろ。アダルトだった?」
朝ビョンホンが起きてリビングに降りていくと開口一番幸太郎がニヤニヤ笑いながらそう尋ねた。
「お義父さん、あなたの娘さんなんですからそんなこと言っていいんですか?」
「良いも、悪いも健全な成人男女なんだから。なあ、久ちゃん」
「そうだよ。何だにやけてないところ見ると大したの撮ってなかったな。揺ちゃん意外に恥ずかしがりやだからな。俺が撮影したらもう生唾もんの映像撮ってやったのに」
久遠寺はカメラを担いだポーズをし、しゃがむと舐めるように撮るマネをした。
「おいおい。うちの娘だから」と幸太郎。
「堅いこと言うなよ。うちの娘みたいなもんだから。でも彰介も結婚決まったから本当の娘になる線は消えたけどな。そうそう。ビョンホン君が紹介してくれたウナちゃん。あの子はいいねぇ~。綺麗だし、賢いし。優しいし。この間あちらのご両親ともお会いしたよ。結婚の日取りももう決まりそうだ。」
「ほ~ら、恋愛ごっこしている間に先越されちゃった。」幸太郎が笑いながら言った。
「恋愛ごっこ?」ビョンホンは意味がわからず聞き返した。
「そう。」幸太郎がそういったときオモニの声がした。
「ほら、朝ごはん召し上がってくださいな~」
「続きはまた後でな」幸太郎はそういうと久遠寺と共にダイニングに向かった。
アストンマーチンの黒く光り輝くボディーが初夏の日差しを浴びてまばゆく光る。
「おお・・・やっぱり綺麗ですね。」ビョンホンはそういうと優しくボディーを撫でた。
「だろ~。そんじょそこらの女とは比べ物にならない。実にグラマラスだ・・」
久遠寺はそういって「彼女」に頬ずりした。
ビョンホンは何故か揺の身体を想像していた。車はグラマラスなのもいいが女は貧相なのも時に可愛い。・・・要は乗り心地とハンドルに響いてくる感度と相性が最高ならそれで充分だ。・・・まあ、でも・・グラマラスならそれに越したことはないか・・・。
「ビョンホン君、何ニヤニヤして考えてるの?」からかうように幸太郎が話しかけた。
「いっいや別に・・」少し慌てて答える彼の耳元で
「貧相な娘で申し訳ないね・・でも乗り心地は最高だろ?」と幸太郎がニヤッと笑ってささやいた。
「お義父さん・・・。」ビョンホンは呆れて笑いながらそう答えた。
「さて、じゃ、愛人に乗ってドライブに行くか。ビョンホン君運転して」久遠寺が言った。
「えっ、いいんですか?」
「運転・・・巧いだろ?・・たぶん。」久遠寺がニヤッと笑った。
「一応ライセンスB級ですけど持ってます。」
「おお・・・やっぱりね。扱いが巧そうだもん。いいねいいね。じゃ、行こうか」
ビョンホンの運転するアストンマーチンは景色の良い高速道を走っていた。
郊外のせいか行きかう車もまばらで三人は周りの緑に包まれた景色と風を満喫していた。
「さっきの話だけど」幸太郎が運転しているビョンホンに話しかけた。
「えっ?」風の音で幸太郎の声がよく聞き取れなかったビョンホンは聞き返した。
「ちょっと停まって景色でも見ようか」幸太郎は大声でそう答えた。
「おお・・いい景色じゃないか」久遠寺はサービスエリアの展望台から望む景色に感動していた。「ちょっと適当に飲み物でも買ってくるよ。」
「じゃ、僕が・・」
「いいから。君には先を越されたお義父さんから話があるみたいだから」
そういい残すと久遠寺は建物の方に歩いていった。
「気持ちがいい景色だね・・」幸太郎は深呼吸をしながらつぶやいた。
「お義父さん・・。すいません」
「何が?」謝るビョンホンに幸太郎は不思議そうに問いかけた。
「え・・・揺との結婚先延ばしにしてしまって。申し訳ないと思ってます。」
「ははは。そんなこと全然気にしてないよ。むしろ先延ばしにしてるのはうちのおバカな娘だってこともわかってるしね。君が謝ることじゃないさ。こっちこそあんな頑固娘に育てちゃって謝らないといけないかもしれないな・・」
「お義父さん・・・」
「でも、正直言うとね・・君ら二人を見てるとバカなんじゃないかって思うんだ。なんて不器用なんだろうって。バカ正直で・・なあ、もっと適当にすればいいじゃん。」
「えっ・・・」
「さっき、久ちゃんがアストンマーチンのこと「愛人」って言ったろ?じゃ恋人は誰だかわかる?」
「響子さん・・ですか。」
「ブッブー。残念でした。恋人は・・・仕事かな。響子さんは・・もう自分の一部ってとこじゃないか?そういう我が家も綾は自分の身体の一部って感じなんだけど。本妻ってそういうもんじゃない。」
「いいかい?ビョンホン君。まあ、揺からも君からも何か聞いたわけじゃないしあくまで僕の推理に基づいた見解だけど。俺たちだって、彼女たちを女として見てないって訳じゃない。自分でいうのも何だがいい女だなぁ~って思うさ。いないと絶対に困るけどいることが気にならない。いて当然の存在って言おうかな。言ってる意味・・・わかる?」
「ええ。わかります。」
「オモニやウニちゃんのせいで仕事に集中できないってことそうないだろ?揺とも・・・そんな感じでさぁ。結婚ってカタチをとらなくてもそういう関係であることは可能だと思うよ。君たちは不器用で生真面目だから相手に必要以上に気を使っているようだけど。そろそろもっといい加減で我がままになってもいいと思うけどな。一緒にいるときにいつも相手のこと考えてないといけないなんて決まりがあったらほとんどの夫婦が離婚だね。」幸太郎はそういうとゲラゲラと笑った。
「おっ、お姑さんにいびられたか?」笑いながら久遠寺が飲み物を持って戻ってきた。
「久遠寺さん、愛人が彼女なら恋人は・・」
「う~ん。仕事かな。とりあえずいつでも気を使ってるからね。彼女には。あっ、響子さんは本妻兼同志ってとこかな」
「ほらね。」幸太郎がニヤッと笑った。
「そろそろ揺を人間に昇格させてやってよ。」
「お義父さん・・・・」
「さっ、そろそろ戻ろうか。君は恋人が待ってるんだろ?俺らはチェジュドで本妻さんたちとゴルフコンペの予定があるから」
そう言って幸太郎はビョンホンの肩をポンと叩くと初夏の日差しにキラキラと輝く愛人にさっさと乗り込んだ。
徹夜での撮影を終えビョンホンが家にたどり着いたのは翌日の朝の10時頃だった。
幸太郎たちは昨日の昼頃、妻たちの待つチェジュドに発った。時間的にはハードだったが彼らと過ごした半日はビョンホンに多くのいい刺激を与えてくれていた。
「さ、少し休むか・・さすがに眠いや」
彼はベッドにもぐりこみながら揺が送ってきた絵を手にしていた。
鮮やかな色がたくさん使われているPOPで明るい絵だった。見ているだけで楽しい気分になってくる。
「揺のやつ・・・電話の一本でもしてくればいいのに・・一昨日の晩も夢に出てこなかったし。」そんなことを考えながらビョンホンは思い出した。
(彼女がパリにいたとき時差で夜夢で会えない話をしたんだった。ブルキナファソとはたしか9時間くらいの時差だったか・・じゃあ・・もしかしたら出てくるかもしれないか。出てきたら電話かけてよこさないからおしおきだな。)
そんなことを考えながらいつの間にか彼は深い眠りについていた。
抱きしめた揺の身体は熱かった。確かに揺なのに何かがいつもと違う。俺は彼女を抱きながら何度も揺の名前を呼んだ。あいつも俺を呼んでいる・・でもいつもと何かが違う気がする。とてもお仕置きが出来る雰囲気じゃない。あいつは必死で俺にしがみついている。そしてあいつの手は自分の胸を掴んでいた俺の手を捕まえると指を絡ませしっかりと握って離さなかった。いつものあいつと違うことに戸惑いながら深いキスをした。あいつの熱が身体を伝わって俺の中に入ってくる。「揺、大丈夫?具合が悪いの?」俺が訊ねると揺は何も答えずにつないだ手をぎゅっと握った。俺は彼女の熱を全身に感じながら愛し続けた。そして彼女の身体も俺の愛に繊細に応えていた。
愛しながらふと目を開けると揺は幸せそうに微笑んでいるように見えた。
彼女の微笑む顔を見て俺も幸せだった。彼女はここにいる。彼女の俺を呼ぶ声が聞こえた。
「ビョンホンssi、私を離さないで。愛している・・・」
夢の中の彼女は間違いなくそう言った。
「ああ。離すわけがない。もう絶対離さないと決めたんだ。」俺はそう答え繋いだ手をぎゅっと握り締めた。彼女の手はもっと強く彼の手を握り返した。
いつもと違うと思っていた感覚はいつの間にか消えていた。
俺は彼女を強く抱きしめ彼女の髪にキスをした。
間違いなく彼女は俺の腕の中にいる・・・・間違いなく彼女はここにいる。
俺は幸せに包まれていた。
目を瞑ったまま彼女の髪をなでていると不意に強い風が吹いた。
風はある一定の間隔で俺に吹き付ける。聞きなれない音と共に・・・。
俺はふと目を開けた・・・そこにいたのは巨大な象・・・・。
呆然とする俺を尻目に象は鼻で俺の隣に眠る揺を軽々と持ち上げた。
揺は何故気がつかないのだろう。
俺は慌てた。象の足にしがみついてみる。象の奴はとても身軽で俺がしがみついた足を大きく振って俺を振り落としやがった。空に放り出されながら俺は叫んだ
「揺!・・・・」
目を覚ましたビョンホンは枕を抱えベッドの下にいた。
「悪夢だ・・・・・途中までは最高の夢だったのに・・なんで象が出てくるわけ?」
ようやく夢の中で揺に会えたのはよかったが・・・夢の中の彼女は何だか不安げだった。
その上象にさらわれてしまった。ただ、彼女が握り締めた手の感触は何故かはっきりと彼に残っていた。
「揺・・・あんまり心配させるなよ・・・まさか象と浮気してるのか・・」ビョンホンは彼女のぬくもりの残る自分の手にキスをした。そして自分のあらぬ妄想に笑った。
「来年は・・・きっと一緒だ。約束守れよな・・・」
彼がこんな夢を見ていることなど露知らず・・・その頃揺は高熱にうなされながら夢の中で必死に彼を探していた。そして傍らには・・・・象。・・・ではなく晋作。
7/14の彼はそんなことを知る由もなかった。

今日はウリビョンホンのお誕生日。

彼は今日どんな一日を過ごすのでしょうか・・。

『夏物語』の撮影中でしょうか。
たくさんの仲間とファンからのたくさんのプレゼントそして大切な家族にに囲まれて素敵なお誕生日を過ごしてくれたら嬉しいなぁ~

・・・というわけで
そんな今日の彼を想像してみました。
もちろんこのお題ですから・・揺ちゃん「生」ではありませんが登場いたします。
あら。彼へのプレゼント


でも、ココの彼と同じように是非彼にもこんなお誕生日を過ごしてもらいたいと願ってやまないのでした。

・・・あ・・・でも最後ちょっとね。



セリフ少ないですけど笑顔の彼ご堪能くださいませ。

さて、今日は・・。
「ちょいワル親父」二人にビョンホンの遊び相手になってもらいました。
ビョンホンには年代や職業を超えた友人からいっぱいいろいろ吸収してほしいから。こんな設定です。

きっとね。いい刺激いっぱい受けられると思います。

では早速始めましょうか。
どうぞお付き合いくださいませ。



ビョンホンがその日の撮影を終えて自宅に帰ったのはもう深夜の12時近く。
撮影現場では皆が誕生日を祝ってくれた。特にスエはケーキを焼いて持ってくるという周囲がビックリするほどの気合の入れようだった。
「俺も36か・・・」彼は窓の外を見てため息をついた。
「着きました。」
「遅くに無理言ってすまなかったね。」
「いいえ。誕生日はお母さんのわかめスープ食べたかったんでしょ。ほら、まだ間に合いますよ。」
マネージャーはそういって時計を見ると気を使うビョンホンをせかした。
「ありがとう。じゃ、」
ビョンホンは車から降りて門を入ると見慣れないブラックのアストンマーチンのオープンカーが来客用の車寄せに停めてあることに気がついた。
(こんな時間に・・・誰かな。・・・ナンバーは・・日本車?)
車のナンバーは湘南ナンバーだった。
ビョンホンは慌ててインターホンを押した。
「どうしたんですか?久遠寺さんもお義父さんも・・」
「センイルチュッカヘヨ~」
驚く彼を久遠寺と幸太郎はクラッカーと笑顔で迎えた。
「あなたの誕生日だからってお二人で来てくださったのよ」
オモニが笑いながら二人の後ろで言った。
「ほら、早く手を洗っていらっしゃい。わかめスープ作ってあるから」
「本当にありがとうございます。お忙しいのにわざわざ来てくださって」
ビョンホンはわかめスープを口に運びながらそう礼を言った。
久遠寺と幸太郎は美味しそうに食事するビョンホンを見て笑いながらソラクサンを酌み交わしていた。
「いやいや。それは口実でね。たまには仕事ほっぽって車に乗りたくてさ。あれ、カッコイイだろ。」
久遠寺は自慢げに言った。
「アストンマーチンのDB9のヴォランテですよね。ええ。最高にカッコいいです。」
キムパプをほおばりながらちょっと興奮気味にビョンホンは答えた。
「そうなんだよ。去年のモーターショーでいいなと思って買ったんだけどなかなか忙しくって遠出できなくてさ。幸太郎が休みとって韓国行くっていうから一緒に来ちゃったってわけ。下関まで高速でぶっ飛ばしてそこからフェリーだろ。で、釜山からここまで。もうしばらく乗らなくてもいいって言うくらい運転しちゃったよ。面白かったけど。ちょっと疲れたね。さすがに歳かな。」久遠寺はそう言って笑った。
「オープンで走るにはいい季節だし。なかなか乗り心地もいいから快適だったけどな。俺だって運転してやったじゃん。まあ、お前の方が歳ってことだな。ビョンホン君も明日乗ってみない?最高だよ。」幸太郎が言った。
「ええ、明日仕事夜の撮影なので午前中は時間取れますから是非。」
「相変わらず忙しいね。撮影は順調なの?」と久遠寺。
「ええ。何とか頑張ってます。」
「楽しい?」幸太郎は尋ねた。
「楽しい・・ですけど辛いこともありますかね。」
「楽しいだけじゃ人間成長しないからね。それぐらいがいいや。」久遠寺はそういうとニヤッと笑った。
「仕事もいいけどたまにはパァ~と遊ばないと。あ、そうだ・・・肝心なこと忘れてた。あ、もう誕生日過ぎちゃったな・・ごめん。今日は君に大切な届け物があって来たんだった。」
そういうと幸太郎は大きな包みを彼に差し出した。
「?」
「この間・・って言っても半月くらい前か。揺から荷物が送られてきてね。あいつに雑貨の仕入れのバイト頼んであったから。それと一緒にこれが送られてきてさ。直接送って着かないと困るからうちに早めに送るからって。
君の誕生日が近づいたら必ず手に渡るように手配してくれって頼まれてね。全く人使いが荒くてな。・・で届けに来たわけだ。」
ビョンホンはそれを聞くと幸太郎の手から荷物を慌てて奪い取り
「カムサハムニダ」と最敬礼するとご飯もそこそこに包みを抱いて階段を駆け上がった。
「・・・・」残された三人は顔を見合わせて笑った。
部屋に入ったビョンホンは慌てて包みの紐をほどいた。
包みからは今までにかいだことの無い遠い異国のにおいがする。
彼は思い切り深呼吸をした。その匂いが揺を運んできたような気がしていた。
包みの中には30センチほどの木彫りの人形とそれから一枚の絵が入っていた。絵にはいかにもアフリカ的な明るい色調の絵で温かい感じのする人と風景が描かれていた。
「全くあいつらしいな・・」ビョンホンはそれらを手にとって笑った。
それからデジタルビデオテープが一本。
ビョンホンは慌ててAVルームに行き再生できるように機材をセットすると焦りながらその中にテープを入れた。
じっと画面を見つめる・・・・。
画面はブルキナファソの街中を映し出していた。
砂埃の舞う道端で露天を背にビデオカメラを自分に向けた揺が話し出した。
「コホコホ。ええ・・映ってるかな。あ~あ~。入ってるかな。聞こえる?ビョンホンssi
ケンチャナ?」ひとしきりテストが終わると画面の中の揺はかしこまって話し出した。
「ビョンホンssi~センイルチュッカハムニダ。36回目のお誕生日おめでとう。きっとお母様のわかめスープを飲んでお母様に産んでくれてありがとうって言ってあげたわね。本当にあなたは優しい最高の息子だもの。お母様もウニちゃんもきっとお元気ね。本当は私も一緒にお祝いをしてあげたかったけどごめんねいけなくて。だから今年はブルキナファソでの私の元気な姿を撮影して送ることにしました。韓国を出るときに急に思いついてビデオカメラ買ったの。気が利いてるでしょ。でもバッテリー一本しか充電しなかったからこれ撮ったらもうおしまい。ははは。今日は5月の28日こちらに来てから20日くらい経ちました。
だいぶこちらの生活にも慣れました。友達も出来ました。同僚のエイミーちゃんです。今カメラ持っててくれてます。ほら、彼女です。はい、手を振って~」
揺はそういうとカメラを受け取って向かいにいる友人を映した。
優しそうなエイミーは恥ずかしそうにカメラに向かって手を振った。そして揺からカメラを奪い取るとまた揺の姿を映し始めた。
「ああ、ありがとうね。そういうわけで今日はブルキナファソの街を一緒に散歩しようね。ほら、こうやってるとみんな珍しがって集まってくるのよ。エイミーちょっと映して」
揺がフランス語でそういうとエイミーの持ったカメラは二人の周囲をぐるっと映し出した。
そこはビックリするほどの人だかりだった。集まっている人々に向かって揺が一言声をかけると皆カメラに向かって一斉に何かを叫んで手を振った。
「皆がお誕生日おめでとうって。有名な映画俳優の誕生日のプレゼントだって言っておきました。」揺はそういうとペロッと舌をだした。
ビョンホンは映し出される彼女の姿を見ながらずっとニヤニヤしていた。元気そうないつもの揺がそこには映っていた。そしてすっかり自分も彼女と一緒に旅をしている気分になっていた。いつか一緒に行ってみたい・・。
そんなことを考えているうちに揺は街のロバ肉屋やカフェを案内している。彼女は相変わらずそこでも美味しそうにほおばっていた。
「ククク・・・・」ビョンホンは街中を紹介する彼女を眺めずっと笑っていた。
画面は変わり、いつの間にか建物の中を映し出している。
「ここは私が働いている学校で~す。ほら、クーラーとか無いの。今日の気温は・・
えっ!50度。うそじゃなくて。すっごい暑いです。・・でこちらが子供たち。」
カメラを振った途端元気な叫び声がビデオの中でこだました。
「今日は学校休みなんだけど撮影するって言ったらみんな集まってくれました。」
子供たちは簡単なフランス語でカメラに向かって挨拶をした。
揺は子供たちに囲まれてもみくちゃにされながらゲラゲラ笑っている。
「えっとね。切りがないのでここはこれでおしまいです。彼女もこれからご主人とデートなのでここでサヨナラです。」
エイミーは画面に向かって手を振った。
また画面が変わる。
「はい、着きました。ここが我が家で~す。結構可愛いでしょ。」
揺はそういうと一軒の平屋の家に入った。緑色の扉が印象的だった。
「えっとね。ここがキッチン。でここがリビングダイニング。ここでご飯食べてます。
でここがベッドルームね。ここでこうやって寝ます。」
そういうと揺はカメラを持ったままベッドに横になった。
「そうするとね・・・天井にカマキリがいたりします。ほら、いた。」
揺は寝転がったまま天井に止まっているカマキリにズームした。
「どう。ビョンホンssiここで暮らせそう?」彼女はそういうとゲラゲラと笑った。
「じゃ、シャワー浴びてくるね。ここ電気ないから明るいうちにすませないといけなくて
水も井戸だしね。ちょっと待っててね。それとも・・・一緒に来る?」
揺はそういうと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
コンクリートの塀が映っている。揺の鼻歌と水の音。
ビョンホンが不思議に思ってみていると次の瞬間塀から揺が顔を出した。
「ジャーン。ここがシャワールーム。凄いでしょ。覗き放題よ。あ、待っててね。もう出るから。」
そういって塀から出てきた揺はブルキナファソ風のブルーのドレスを身にまとっていた。
「お待たせ。どう?一緒にお風呂入った気になった?」そういってニヤッと笑う。
「もう、大変だったのよ。来てすぐ体中あざだらけなのがばれちゃって。悪い病気なんじゃないかって心配されちゃって。でも、もうだいぶ消えちゃったな・・・・。」
揺はちょっと寂しそうにそうつぶやいて自分の膝を抱えて庭のベンチに座った。
「はい、ビョンホンssi ここに座って」
そういって彼女は自分の隣をトントンと叩いた。
「もう、バッテリー切れのサインが点いちゃってるからあとちょっとしか撮れないわ。あ、お土産どう?なかなか面白いでしょ。人形ははあなたに似ている気がして買ってみたの。どう?似てない?絵はね。ブルキナファソのじゃなくて隣のコートジボアールのなんだけどお土産屋さんで売ってて気に入ったので送りました。何だかその色使いを見てるとあなたを思い出すの。太陽を感じられるし、いろいろな色なのに調和が取れているのがとっても不思議で居心地がよくて・・見ているだけで元気になるから。良かったら飾ってね。あ~夜空も送りたかったなぁ。そりゃ星が綺麗なのよ。見せてあげたいけど・・きっと撮れないな・・それに感動はやっぱり生で見ないとね。ここにあなたがいたら楽しいだろうなぁ・・。ビョンホンssi来年の誕生日はどこにいても絶対一緒にお祝いしたい・・私、今決めたわ。約束する。だから今年はこれで我慢してね。映画順調かしら。身体に気をつけて頑張ってね。えっと・・浮気はダメよ。それからえっと・・・最後ね。えっと・・すっごい愛してる。お誕生日・・おめでとう。」揺はそういうとカメラに向かってキスをした。そして恥ずかしそうに頭をかいた。
「あとで・・・す・」
そこでちょうどバッテリーが切れたようだった。
ブルーになった画面を見つめながらビョンホンは彼女のことを考えていた。
来年はきっとふたりでお祝いしよう。約束する。彼女はそういった。揺は約束は守る奴だった。来年は楽しい誕生日になるだろう・・・ビョンホンは微笑んだ。
「あとで・・・って今日は出てくるってことか。」
ビョンホンはそうつぶやくと慌ててシャワーを浴びベッドにもぐりこんだ。
「どうだった?夕べは。すっごいの入ってた?AVルームで何か見てただろ。アダルトだった?」
朝ビョンホンが起きてリビングに降りていくと開口一番幸太郎がニヤニヤ笑いながらそう尋ねた。
「お義父さん、あなたの娘さんなんですからそんなこと言っていいんですか?」
「良いも、悪いも健全な成人男女なんだから。なあ、久ちゃん」
「そうだよ。何だにやけてないところ見ると大したの撮ってなかったな。揺ちゃん意外に恥ずかしがりやだからな。俺が撮影したらもう生唾もんの映像撮ってやったのに」
久遠寺はカメラを担いだポーズをし、しゃがむと舐めるように撮るマネをした。
「おいおい。うちの娘だから」と幸太郎。
「堅いこと言うなよ。うちの娘みたいなもんだから。でも彰介も結婚決まったから本当の娘になる線は消えたけどな。そうそう。ビョンホン君が紹介してくれたウナちゃん。あの子はいいねぇ~。綺麗だし、賢いし。優しいし。この間あちらのご両親ともお会いしたよ。結婚の日取りももう決まりそうだ。」
「ほ~ら、恋愛ごっこしている間に先越されちゃった。」幸太郎が笑いながら言った。
「恋愛ごっこ?」ビョンホンは意味がわからず聞き返した。
「そう。」幸太郎がそういったときオモニの声がした。
「ほら、朝ごはん召し上がってくださいな~」
「続きはまた後でな」幸太郎はそういうと久遠寺と共にダイニングに向かった。
アストンマーチンの黒く光り輝くボディーが初夏の日差しを浴びてまばゆく光る。
「おお・・・やっぱり綺麗ですね。」ビョンホンはそういうと優しくボディーを撫でた。
「だろ~。そんじょそこらの女とは比べ物にならない。実にグラマラスだ・・」
久遠寺はそういって「彼女」に頬ずりした。
ビョンホンは何故か揺の身体を想像していた。車はグラマラスなのもいいが女は貧相なのも時に可愛い。・・・要は乗り心地とハンドルに響いてくる感度と相性が最高ならそれで充分だ。・・・まあ、でも・・グラマラスならそれに越したことはないか・・・。
「ビョンホン君、何ニヤニヤして考えてるの?」からかうように幸太郎が話しかけた。
「いっいや別に・・」少し慌てて答える彼の耳元で
「貧相な娘で申し訳ないね・・でも乗り心地は最高だろ?」と幸太郎がニヤッと笑ってささやいた。
「お義父さん・・・。」ビョンホンは呆れて笑いながらそう答えた。
「さて、じゃ、愛人に乗ってドライブに行くか。ビョンホン君運転して」久遠寺が言った。
「えっ、いいんですか?」
「運転・・・巧いだろ?・・たぶん。」久遠寺がニヤッと笑った。
「一応ライセンスB級ですけど持ってます。」
「おお・・・やっぱりね。扱いが巧そうだもん。いいねいいね。じゃ、行こうか」
ビョンホンの運転するアストンマーチンは景色の良い高速道を走っていた。
郊外のせいか行きかう車もまばらで三人は周りの緑に包まれた景色と風を満喫していた。
「さっきの話だけど」幸太郎が運転しているビョンホンに話しかけた。
「えっ?」風の音で幸太郎の声がよく聞き取れなかったビョンホンは聞き返した。
「ちょっと停まって景色でも見ようか」幸太郎は大声でそう答えた。
「おお・・いい景色じゃないか」久遠寺はサービスエリアの展望台から望む景色に感動していた。「ちょっと適当に飲み物でも買ってくるよ。」
「じゃ、僕が・・」
「いいから。君には先を越されたお義父さんから話があるみたいだから」
そういい残すと久遠寺は建物の方に歩いていった。
「気持ちがいい景色だね・・」幸太郎は深呼吸をしながらつぶやいた。
「お義父さん・・。すいません」
「何が?」謝るビョンホンに幸太郎は不思議そうに問いかけた。
「え・・・揺との結婚先延ばしにしてしまって。申し訳ないと思ってます。」
「ははは。そんなこと全然気にしてないよ。むしろ先延ばしにしてるのはうちのおバカな娘だってこともわかってるしね。君が謝ることじゃないさ。こっちこそあんな頑固娘に育てちゃって謝らないといけないかもしれないな・・」
「お義父さん・・・」
「でも、正直言うとね・・君ら二人を見てるとバカなんじゃないかって思うんだ。なんて不器用なんだろうって。バカ正直で・・なあ、もっと適当にすればいいじゃん。」
「えっ・・・」
「さっき、久ちゃんがアストンマーチンのこと「愛人」って言ったろ?じゃ恋人は誰だかわかる?」
「響子さん・・ですか。」
「ブッブー。残念でした。恋人は・・・仕事かな。響子さんは・・もう自分の一部ってとこじゃないか?そういう我が家も綾は自分の身体の一部って感じなんだけど。本妻ってそういうもんじゃない。」
「いいかい?ビョンホン君。まあ、揺からも君からも何か聞いたわけじゃないしあくまで僕の推理に基づいた見解だけど。俺たちだって、彼女たちを女として見てないって訳じゃない。自分でいうのも何だがいい女だなぁ~って思うさ。いないと絶対に困るけどいることが気にならない。いて当然の存在って言おうかな。言ってる意味・・・わかる?」
「ええ。わかります。」
「オモニやウニちゃんのせいで仕事に集中できないってことそうないだろ?揺とも・・・そんな感じでさぁ。結婚ってカタチをとらなくてもそういう関係であることは可能だと思うよ。君たちは不器用で生真面目だから相手に必要以上に気を使っているようだけど。そろそろもっといい加減で我がままになってもいいと思うけどな。一緒にいるときにいつも相手のこと考えてないといけないなんて決まりがあったらほとんどの夫婦が離婚だね。」幸太郎はそういうとゲラゲラと笑った。
「おっ、お姑さんにいびられたか?」笑いながら久遠寺が飲み物を持って戻ってきた。
「久遠寺さん、愛人が彼女なら恋人は・・」
「う~ん。仕事かな。とりあえずいつでも気を使ってるからね。彼女には。あっ、響子さんは本妻兼同志ってとこかな」
「ほらね。」幸太郎がニヤッと笑った。
「そろそろ揺を人間に昇格させてやってよ。」
「お義父さん・・・・」
「さっ、そろそろ戻ろうか。君は恋人が待ってるんだろ?俺らはチェジュドで本妻さんたちとゴルフコンペの予定があるから」
そう言って幸太郎はビョンホンの肩をポンと叩くと初夏の日差しにキラキラと輝く愛人にさっさと乗り込んだ。
徹夜での撮影を終えビョンホンが家にたどり着いたのは翌日の朝の10時頃だった。
幸太郎たちは昨日の昼頃、妻たちの待つチェジュドに発った。時間的にはハードだったが彼らと過ごした半日はビョンホンに多くのいい刺激を与えてくれていた。
「さ、少し休むか・・さすがに眠いや」
彼はベッドにもぐりこみながら揺が送ってきた絵を手にしていた。
鮮やかな色がたくさん使われているPOPで明るい絵だった。見ているだけで楽しい気分になってくる。
「揺のやつ・・・電話の一本でもしてくればいいのに・・一昨日の晩も夢に出てこなかったし。」そんなことを考えながらビョンホンは思い出した。
(彼女がパリにいたとき時差で夜夢で会えない話をしたんだった。ブルキナファソとはたしか9時間くらいの時差だったか・・じゃあ・・もしかしたら出てくるかもしれないか。出てきたら電話かけてよこさないからおしおきだな。)
そんなことを考えながらいつの間にか彼は深い眠りについていた。
抱きしめた揺の身体は熱かった。確かに揺なのに何かがいつもと違う。俺は彼女を抱きながら何度も揺の名前を呼んだ。あいつも俺を呼んでいる・・でもいつもと何かが違う気がする。とてもお仕置きが出来る雰囲気じゃない。あいつは必死で俺にしがみついている。そしてあいつの手は自分の胸を掴んでいた俺の手を捕まえると指を絡ませしっかりと握って離さなかった。いつものあいつと違うことに戸惑いながら深いキスをした。あいつの熱が身体を伝わって俺の中に入ってくる。「揺、大丈夫?具合が悪いの?」俺が訊ねると揺は何も答えずにつないだ手をぎゅっと握った。俺は彼女の熱を全身に感じながら愛し続けた。そして彼女の身体も俺の愛に繊細に応えていた。
愛しながらふと目を開けると揺は幸せそうに微笑んでいるように見えた。
彼女の微笑む顔を見て俺も幸せだった。彼女はここにいる。彼女の俺を呼ぶ声が聞こえた。
「ビョンホンssi、私を離さないで。愛している・・・」
夢の中の彼女は間違いなくそう言った。
「ああ。離すわけがない。もう絶対離さないと決めたんだ。」俺はそう答え繋いだ手をぎゅっと握り締めた。彼女の手はもっと強く彼の手を握り返した。
いつもと違うと思っていた感覚はいつの間にか消えていた。
俺は彼女を強く抱きしめ彼女の髪にキスをした。
間違いなく彼女は俺の腕の中にいる・・・・間違いなく彼女はここにいる。
俺は幸せに包まれていた。
目を瞑ったまま彼女の髪をなでていると不意に強い風が吹いた。
風はある一定の間隔で俺に吹き付ける。聞きなれない音と共に・・・。
俺はふと目を開けた・・・そこにいたのは巨大な象・・・・。
呆然とする俺を尻目に象は鼻で俺の隣に眠る揺を軽々と持ち上げた。
揺は何故気がつかないのだろう。
俺は慌てた。象の足にしがみついてみる。象の奴はとても身軽で俺がしがみついた足を大きく振って俺を振り落としやがった。空に放り出されながら俺は叫んだ
「揺!・・・・」
目を覚ましたビョンホンは枕を抱えベッドの下にいた。
「悪夢だ・・・・・途中までは最高の夢だったのに・・なんで象が出てくるわけ?」
ようやく夢の中で揺に会えたのはよかったが・・・夢の中の彼女は何だか不安げだった。
その上象にさらわれてしまった。ただ、彼女が握り締めた手の感触は何故かはっきりと彼に残っていた。
「揺・・・あんまり心配させるなよ・・・まさか象と浮気してるのか・・」ビョンホンは彼女のぬくもりの残る自分の手にキスをした。そして自分のあらぬ妄想に笑った。
「来年は・・・きっと一緒だ。約束守れよな・・・」
彼がこんな夢を見ていることなど露知らず・・・その頃揺は高熱にうなされながら夢の中で必死に彼を探していた。そして傍らには・・・・象。・・・ではなく晋作。
7/14の彼はそんなことを知る由もなかった。
そしてharuさん久しぶりに揺ちゃん書いてくれて
ありがとう。
読み応えのある創作で嬉しかったよ。
あいかわらずの2人がなんか・・・・こっちまで
いらいらするくらいお互いを思いやっているのが
もどかしくなっちゃいました。
でもこれが前のに繋がるんだから。。。
このまま、また続きをよんで来ますね・・。
いってきまーーす
今日は一日いい日でありますように
書いてはみたもののすっごく自信がなくて・・もう今でも下げてしまいたい気持ちが沸々と。
だって7/12にリアル揺ちゃんは彼の傍にいないのだもの。
どうやってお祝いしたら喜んでくれるか・・必死で考えてこの程度です。
でも、温かいコメいただけて・・少し楽になりました。
自分の好きで書いているのにおバカな私です。
さて、明日はテジンとデートですからそろそろ
おかげ様でいい夢見られそうです。
思いがけない揺ちゃんの登場。ビョンホンssiの誕生日とはいえ、こんなチャンスを与えてくださって、ありがとう。
恋のとまどい・・・そう真面目で不器用な二人だから・・・もうちょっと簡単に考えてもよさそうなものを、いつもちょっと苦しい状況に自分たちをおいてしまう・・・だからこそ、気持ちもさらに寄り添っていくのだろうけれど、何だか切ないなあ・・・でも、すてきなプレゼントでした。カムサハムニダ
今、インスタントだけど、わかめスープ飲みながら
読ませていただきました
haruさんしかできないお祝いがあるって本当に
ステキですね。
「傍には決していられないけど、
とっても彼の心を愛してる
揺ちゃんは私たちの分身です。
今日の六本木、私たち地方組の分まで、
楽しんで来てくださいね
ところで、私も以前遠距離恋愛中の彼へ、自分を撮影して編集したCDを贈ったことがあります。ビデオカメラを持ってなかったので、デジカメのムービーで撮影した動画(最大1分)をせっせと繋いで。でも、その作業は楽しかったし、彼にもとても喜んでもらえました。友達曰く、手作り物をプレゼントする人は、自分も手作り物をもらうのに弱いとのこと。そう言われたらそうかも。。。haruさんもそうですか?
それから、今回の創作を読んで思った素朴な疑問を質問しますね。ビョンホンさんの熱烈なファンの中にも既婚者と未婚者がいますよね。愛する旦那様がいる人にとって、ビョンホンさんって、恋人なんですか?愛人?
というか、ビョンホンさんのことを考えてる間、旦那様ってどういう位置にあるんですか? 結婚がまだなので未知の世界です。差支えがなければ皆さんの意見を教えてください。
長くなってすいませんでした。体に気をつけて、また面白い作品を作ってください。楽しみにしています
久々の揺ちゃん登場ですね
ちょいワル親父の二人組み、うんうん、あなた達の言うとおりです
ビョンホンシちゃんと聞いとき
ビョンホンシの誕生日に、haruさんから素敵な
出てきちゃいました。
ドームでも、仲良くご夫婦でいらしてる方も
おられましたよね。
(私の隣の方は、「主人はホテルにおいて来た。」でしたが。)
やきもち焼く旦那さまも、一緒に応援して下さる
旦那さまも、かわいいな~と思います。
家は母と2人なので思いっきり飾ったりしてますけど。
私はもし結婚したら応援できるのかな???
今は私の場合は恋人というより、
尊敬する心の支えなんですけどね~
ミセス・テヒより。
ビョンホンさんのお誕生日に素敵な
今回はお父様2人組とっても素敵です
揺ちゃんのブルキナファソでの生活も感じる事ができました。でもお話はあそこに繋がるのですよね…
でもでも、私の大好きな揺ちゃんに逢えてとっても嬉しいです
改めまして、haruさんこんばんは。
まずは、ビョンホンssi、おめでとう
そしてharuさん、この素晴らしき日に
私も大好きな『Fly me to the moon』をありがとうございます
久々に元気な揺に会えて感激至極でございます。
私、揺が元気だと嬉しくってたまりません。
だって、だって、・・・だって、だって、なんだもん・・・
ビデオレターなんて、さすがっ揺。ってかさすがharuさん
それにしてもアストンマーチンに乗る久遠寺叔父様、素敵すぎます
ちょい悪叔父様達、本当にいい年の取り方してますよね~。ホントホント、不器用な二人にもっと言ってやって
はじめまして
きっとharuさんって、懐の深い優しい女性なんだろうなぁって、ずっと思ってました。
お話の内容も、私のような凡人には想像もつかないような展開を繰り広げて、さらに奥行きがあって、それでいて重すぎず、さらりと脳内映像化が簡単に出来てしまう。
そして私は滝の涙を流してしまう・・・。
本当にharuさんの文章大好きです。
本当にいつもありがとうございます♪
ビョンホンssi、haruさんと出会わせてくれて本当にありがとうね
そして今日の良き日に、ビョンホンssiあなたに会えてよかった
お誕生日の日に 揺を復活させて頂きありがとうございます。
揺の周囲の方々って本当に理想的な人物像ですね。
揺のプレゼントの画像を嬉しそうにきっと見ていたんだろうなって画像が浮かびます。
あ~でもでも 二人でのお祝いシーンが見れないが寂しい
また PCに戻ってこられるまで ずっと待ってますね。