陽性強化とは…？

たまに陽性強化をオヤツで「つって」言う事をきかせる方法と思っている方がいるようですが、これは全くの誤解です。ものすごくかいつまんで簡単に言うと、犬が（人間社会にとって）よい行動をとった時にご褒美をあげる事で、その行動を強化していくのが陽性強化です。



　　　　　　　　
ですから、ご褒美はなにもオヤツでなくていいのです。ボール投げが大好きな子はボール投げがご褒美になりますし、走るの大好き！　な子は「走る事」がご褒美になります。ものすごく喉が渇いている時はお水がご褒美になるでしょう。家族に触ってもらう、なでてもらう事がご褒美になる子もいるかもしれませんね。ただ、ご褒美として食べ物を使うのが一番わかり易く簡単手軽、場所を取らないという事で食べ物を使う事が多いのではないでしょうか？



　　　　　　　　　　　　　　　　
要はその子にとって「何がご褒美になるか」が大切なのです。もちろん、食が細かったりあまり食べる事に対して執着の無い子もいます。そういう子にとって食べるものはご褒美になりません。その子が何が好きか、何をすると喜ぶかという事を観察して、ご褒美を探します。



　　　　　　　　
最終的にご褒美を少なくしていく事も大切です。人間の方がご褒美に頼りすぎて、いつまでもそれを抜く事ができない状況が（その人がご褒美として食べ物を使っている場合）「オヤツでつって」と誤解される理由かもしれません。



　　　　　　　　
ですが、ご褒美（食べ物、オモチャ、ボール遊び、走るなど）を０（ゼロ）にしてしまうのはどうでしょう？
例えばボーナス。ボーナスの時期になるとウキウキしませんか？　ちょっと位の残業は仕方ないな、と思った事もありました（←個人的な告白）。
例えばとても頑張って勉強して、よい成績を取ったお子さんにご褒美としてお小遣いをあげる事はないでしょうか？　何か欲しかったものをプレゼントした事はないでしょうか？　大好物で夕食の食卓が飾られた事もあるかもしれません。
犬も同じで、既に色々な事ができてよい子でも、ごくたまぁにでよいから継続的に評価してもらったら嬉しくないでしょうか？　もっと頑張っちゃおう！　と思うのではないでしょうか？



　　　　　　　　
例えばオスワリ。初めて「オスワリ」と言って犬が座った時（それは一緒に暮らし始めて最初に教える事かもしれませんね）とても嬉しくありませんでしたか？　そしてその喜びはきっと犬に伝わったはず。犬は自分の家族が「お尻を地面につけた」だけで喜んでいる姿を見て、オスワリブーム到来。何度も何度もオスワリをしたかもしれません。でも今は他にも色々な事ができて、オスワリなんてできて当たり前。飼主も喜んでくれない、何の評価もしてもらえなかったら、いざ本当に座って欲しくて「オスワリ」と言った時に、「できない」のではなくて「やっても喜んでくれない」と思って「しない」子になってしまうかもしれません。



　　　　　　　　
総ての犬にこの方法が適しているわけではない事は明白です。でも特殊な事情がない限り、家庭で飼われている犬が家庭犬として平和に生活していく上で、褒めてしつけるこの方法が犬にとっても人にとっても、とても HAPPY な方法だと、私は思っています。






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