はんたろうのがらくた工房

メーターの脇にある赤ランプのひとつが点きっぱなしになった。エアバッグまわりの異常らしい。
ディーラーに持ち込んで診てもらったところ、さいわい大した故障ではないらしく、明日の午後には直るという。
しかも、保障がついていて無料で直してもらえるらしい。
代車に乗って帰る。

夜になって、玄関のチャイムが鳴った。

「はい」
「すみません、ホンダプリモ○○の△△です」

知らない名前だ。いつものセールス氏ではないし、いつものメカニック氏でもない。
一瞬何かの詐欺かとも思ったが、名乗っているのは今日クルマを預けてきた店の名だ。

次に、不安がむくむくと膨らんだ。
じつはものすごい故障が見つかって、当分直らないとか。
無料だと言ったが、じつはむちゃくちゃ修理費がかかることになった、とか。
作業中に何かとりかえしのつかない事故があったとか。


ドアを開けると、スーツの青年が立っていた。


「今日お渡しした代車のキーに、うちの鍵がついたままでして、家に入れないんです」


翌日の午後、私のクルマはちゃんと直っていた。