村上春樹の短編「女のいない男たち」(文春文庫)は、語り部本人よりも関わった誰かの人生を切り取って濃い部分を絶妙に描き出すみたいな形で、その一歩引いてる距離感が読みやすいし面白いですね。
といってもどんどん読み進めている訳でなく、何かの合間に一篇ずつ読んでいるような形です。
先日読んだのは『シェエラザード』で、「千夜一夜物語」の王妃のように不思議な話を、性交のたびに教えてくれる主婦の話。を、何かの組織に匿われている男性の視点で語っています。あーややこし。組織のことは謎。
男性はその主婦をシェエラザードと心中で呼んでいて、名前も知らないわけですが、彼女の話にどうにも引き込まれてしまいます。わたしも。
彼女が17歳の時、好きだった男の子の家に不法侵入した話でした。現実ばなれした、でも平凡な主婦の話です。なかなかに緊張感のある大人の小説でしたねえ。
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