花日和 Hana-biyori

『失われたものたちの本』

ぼちぼち、と言いながらまた数日経ってしまいました。先月の読書会のことを少しでも書いておきたいところです。(メモをみれずうろ覚えですが)

オンライン読書会は8回目になり、『失われたものたちの本』が課題本でした。

大まかなあらすじは以前書きましたが。大枠は少年が異世界に行って冒険し、成長して帰ってくる物語。ファンタジーの王道ですね。

ただ、作者自身は王道が嫌いというか、王道を引っくり返すことに腐心しているお話のような感じがしました(と後から思った)。

読書会では、

「悪者や敵はほとんと女性で、味方や正しい人は男性」

という指摘あり。

作者の女性に対する嫌悪感が表れていると。これをもっと深く読み説くと、「キリスト教的な父なるものを追い求める」話だったのでは。

とのことで、言われてみればなるほどでした。何かの講義を受けているみたいで面白かったです。

それと、こういう話も。

展開の上手さがあるのでどんどん読ませる(ごめん私はどんどん読めんかった)が、児童向けファンタジーというにはあまりファンタジーとしてこなれていない(作者の意図は違ってもそういう扱いにされそうな本なので)。翻訳者の文章のせいもあるかもしれないが。

白雪姫やシンデレラを怠け者の醜いキャラにしたり、赤ずきんがオオカミを誘ったという設定にしたりと、お姫様や女の子キャラを徹底的にひどく描いているが、それが面白さも新鮮味もなく巧みな感じはしない。

主人公の少年が特別だったり成長していったりしたのはなぜ?納得できるエピソードが足りない。

「トリックスター」の解釈が違うような。「トリックスター」って自ら言っちゃってるのはどうなの?

本が有効に物語に活かされているとは言い切れず、本好きにはちょっと物足りない。

などなど。

まあ、つまり大好評とはいかなかったわけですが、お話の巧さはあるし「ツッコミどころの多い作品は読書会で盛り上がる」という例にもれず、大変楽しい会になりました。


話は逸れて「一番好きなファンタジーは?」という話題も。

「最後のユニコーン」
「果てしない物語」
「霧のむこうのふしぎな町」
「モモ」
「グリーン・ノウのこどもたち」
「精霊の守人」
「りんご畑のマーティン・ピピン」

などが挙がり、「はてしない物語」では優しく愛情深い存在として出てくる女性キャラが好きだとか、「グリーンノウのこどもたち」のように異世界に行かないファンタジーが好きだとか、それぞれのファンタジー観も垣間見えました。ファンタジーって、ひとくくりにするにはあまりにも多様で奥が深いものだなと。
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