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花日和 Hana-biyori

マクベス

『マクベス』シェークスピア/安西徹雄訳(光文社古典新訳文庫)

スコットランド王に仕えるマクベスは、魔女の予言を信じて国王を殺害し王座につく。

罪の意識に苛まれながら権力を守ろうと朋友にまで手を掛け罪を重ねるマクベス。やがて王子らの反撃にあうことに…。

ことに及ぶ前のマクベス夫人に迷いがなく、毒気の迫力が凄まじい。なにしろ夫にひとごろしをしろって迫っているんだから恐ろしい。例えばこれらのセリフ、どうでしょう。

「さらにはやがて、約束された位にのぼるべきお方。だが気にかかるのは、あなたの気性。人間らしい情愛という、甘い乳がありすぎる。」

「偉くなりたいという気はある。その野心もなくはない。けれど、それには欠かせぬ毒気というものが、あなたにはない。大きなことをやりたがっても、清らかな手でやりたがる。」

「罪のない花を装いながら、花の陰に隠れているヘビでいなくてはなりません。」


他にももっとギトギト醜悪なことも言っていたけれど、これを舞台で見たならさぞかしすごかろう。

マクベス夫人の活躍?も、マクベスの葛藤も、国王殺害までが一番盛り上がっていたように思えた。とくに、まだ人情が残っていてそれを無理やり自分から引き剥がそうとするマクベスのこのセリフ。

「天の星々よ、光を消せ。おれのこの胸の奥底にわだかまる黒い野望に、光を当てるな。手のやることを目には見せるな。やらねばならぬ。やってしまって、たとえ目が見るのを怖れるようなことであっても、やるしかない。」

人間が葛藤する普遍的なありさまが描かれており、私ごときがおこがましいというかありきたりな感想だけど、さすが現代まで残る古典だと感じた。
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