ナレーションは声優の井上悟
読書会でめちゃめちゃ面白いと聞いて一回は図書館で借りてきたものの読みきれなかった本です。
絶望的な状況でもユーモアと健全さを忘れない、“基本いいヤツ”な主人公が好ましい話でした。
ネタバレになっちゃいますがどういう話か簡単に言うと、太陽で異常事態が起こり地球がピンチに。人類存亡をかけた宇宙ミッションに挑む一人の男の物語。
***(以下も軽くネタバレあり)
綿密な科学知識のもとに丁寧に展開していて、そこが目から鱗の面白味です。
例えば地球外生命体がいるとして、微生物のような形態である場合や、物の認識が目視とは限らないし、生存できる重力や温度、時間軸や食物も同じじゃないぞ、もちろん文化だって違うぜ〜といったあまり考えてもみなかったようなことに気付かせてくれました。
読書会で「SFは目線を高いところまで連れて行ってくれる」と聞きましたが、まさにそんな感じ。
太陽の温度によってどれだけ人類の生存が左右されるかも改めて認識しました。
ストーリーの進行も凝っていて先が気になるつくりです。初めは「ぼく」の記憶がなく医療機器に繋がれ意識不明だったものが、徐々に記憶を取り戻していきます。
現在と過去が交互に展開して、場面ごとの理解を深める形で効果的に謎が解けていくのです。
ただ、細かすぎて私にはついて行けない感じもあり。
この著者の『火星の人』(映画「オデッセイ」の原作)も最初の方だけ読んで挫折していましたので…。
内容的に淡々と読むより芝居っぽいのが合っている話で、オーディオブックでは声優さんのおかげで聞きやすくなんとか楽しく完走できました。