「おだんごぱん」(早めに読んで7分)
おだんごぱん 作:(ロシア民話) / 絵:脇田 和 / 訳:瀬田 貞二出版社:福音館書店 |
↑この瀬田貞二さんの本と、下のマーシャ・ブラウンの本はお話が同じロシアの昔話です。
童話屋の社長の講演にいったときに瀬田さんのこの本を絶賛してらして、最後におだんごぱんがきつねに食べられちゃうというくだりも、あーあ食べられちゃった、ではなく「ほめてたべてもらえてとってもうれしい」という解釈をしてくださいとおっしゃっていたのが印象的でした。
しかし残念ながら、息子にはまだ読んでいません。「おんなじ話だよ、どっちの絵がすき?」と聞いたらマーシャ・ブラウンのほうを選びました。
「パンはころころ」(早めに読んで7分)
パンはころころ ロシアのものがたり 作・絵:マーシャ・ブラウン / 訳:八木田 宜子出版社:冨山房 |
<あらすじ・比較した感想>
おじいさんがおばあさんにパンを焼いてくれるように頼みました。
なんとかかき集めた小麦粉にクリームをまぜてバターで焼いて窓のところでさましておいたら、パンがころころ転がっていってしまいました。ころがった先で、うさぎに会い、オオカミに、クマに会いましたが、パンは歌いつつ逃げていきます。最後にキツネに会うと、キツネは今までの動物のように「たべちゃうぞ」とは言わず、「なんてかわいい」などと言ってほめます。うれしくなったパンは、キツネにどんどんほめられて、用心を忘れてキツネの鼻の先で歌を歌ってあげるのです…。
「おだんごぱん」は、ふんわりした絵柄で動きもゆったりした優しいイメージ、文章も、おだんごぱんのほうが優しく丁寧で、キツネがほめるセリフも「なんてあなたはきれいで、なんてほかほかやけてるんでしょう」などときれいな日本語での語りが楽しめます。”おだんごぱん”という造語も瀬田さんならでは。
しかし私は「パンはころころ」のほうが色数は少ないものの鮮明で、絵柄にも躍動感があるように思います。特に導入は、おじいさんとおばあさんが仲が良いことが一目でわかる、いい絵だと思うのです。それに、パンに逃げられてしまう場面でも、おじいさんがあわてて追いかける愉快さを感じるのに対し、おだんごぱんは二人で悲しそうに見送るだけです。
文章も読みやすく、リズムに乗るようにして読めました。(おだんごぱんにも一定のリズム感は感じますが)
とくに4回繰り返しになるパンの歌「―おばあさんから ひらりと にげて、おじいさんから するりと にげて、あんたからだって にげだすよ、にげだしちゃうよ、のうさぎさん!」
は、繰り返しが楽しくなり、簡潔でいながら表現の豊かさも感じます。
いろんなレビューを見ると、パキパキした語り口調が味気ないと思う人もいるようですが、逆に感じる方もいるようで、好みが分かれるんだなと思います。
「へびのクリクター」
へびのクリクター 作・絵:トミー・ウンゲラー / 訳:中野 完二出版社:文化出版局 |
「おれはねこだぜ」
おれはねこだぜ 作・絵:佐野 洋子出版社:講談社 |
「おぼえていろよおおきな木」
おぼえていろよおおきな木 作・絵:佐野 洋子出版社:講談社 |
「シロナガスクジラより大きいものっているの?」
シロナガスクジラより 大きいものって いるの? 作・絵:ロバート・E・ウェルズ / 訳:せな あいこ出版社:評論社 |