オーディオブックで聴きました。朗読は田辺誠一。
1958年、英国貴族の館に長年仕えてきた執事スティーブンスは、現在の館の主人に勧められドライブ旅行に出かける。その途上、かつてともに働いた女中頭のミス・ケントンを訪ねる予定にしていた。すでに結婚し遠方で暮らす彼女からの手紙には、あまり幸せでない様子が感じられたが。
***
最初は結構長い間「執事たるもの…品格とは…」とこだわったひとり語りが続くため、語りじゃなかったら途中でまた挫折していたかもしれない。でも途中からぐんぐん面白くなっていった。
スティーブンスは決して本音を見せないというか、高すぎる職業意識から自分を押し殺すことしか出来ない、ある意味不器用なひとだと思う。その回想から、第一次世界大戦後のヨーロッパ情勢や女性に対する思慕などが徐々に浮き彫りになる。
回りくどかったり自分の視点だけでしか伝えてこない主人公の語りから汲み取らなければならないことがことが多く、小説ならではの醍醐味が感じられてとてもよかった。
過去の振り返りばかりだがラストは爽やかでユーモアがあり、読後感(読んでないけど)がとてもいい。
アメリカ経済が絶好調だった1958年に、英国人執事がアメリカ人の主人のフォード(アメ車)を借りて旅行することの意味も深いなと。
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