この人の何か、が読んでみたくて電子で買ってみました。ノンフィクションとか小説とか色々あるけど、雑誌で連載していた映画評をまとめたこの本が私には読みやすそうだったので。
エッセイのなかに巧みに映画評を滑り込ませているような文章で、語り口が滑らかでとても分かりやすく魅力的でした。
映画のあらすじと見所を適度に教えてくれて的確に分析・解説しているんですけど、自身の郷愁やものの見方を折り込みつつで、それがより映画に対する興味を掻き立てます。
紹介されている映画は『バグダッド・カフェ』『青いパパイヤの香り』、キアヌ・リーブスの『スピード』とか、私も大好きなイラン映画『運動靴と赤い金魚』など90年代くらいの古い作品だけど、それだけに私には馴染み深い感じもしました。
先日観た「友だちのうちはどこ?」もこの本で知ったものです。
ちなみに「使われなかった人生」とは、「もしかしてあり得たかもしれない人生」のことだそう。
あのとき、別の道を選んでいたら…とか、あの人と出会わなければ…などなど。
映画は、そういう思いで作られたものが多い、むしろそれがほとんどだと仰せでした。たしかにそうかもしれませんね〜と妙に納得させられてしまうのは、やはり文章の巧みさでありましょうか。
お風呂あがりにちょっとずつ、気楽に読んだ本でした。