花日和 Hana-biyori

〆切本

まだ読み終わっていませんが。どうも最近、いろいろと読み終わらないまま別の本をつまみ食いしつつ過ごしてしまいます。

夏目漱石から西加奈子まで、古今の著名作家たちの随筆・日記・書簡によって、作家が〆切と向き合ったり逃げたり言い訳したりくるしんだりしている様を、幅広く取り扱っております。中には、なんでこれが〆切にまつわる話なのかわからん…というのもありましたが。理解力…。

作家の生活と芸術に対する葛藤がケンケンガクガクしていておもしろいです。

作家は芸術家であるとともに、生活者でもあり、創作意欲が沸いたら書けばいいわけじゃない。年末の支払いや奥さんからプレッシャーもある。何のしがらみもなく情熱で書き散らしていた若き日を懐かしんだりもして。

やっぱり、内田百けんがクズすぎてさいこうです。
年末乗りきるのに何か書いて凌ごうと編集者と約束するも、一向に書く集中力が続かない。瓦斯ストーブじゃなくて電気ストーブがいいかなって買いに行ったり、そもそも売文なんかより借金するほうが性にあってるとか自分に言い訳して結局書かず、奥さんに一枚しかないコートを質入れしろと命じて自分は〆切を伸ばしてもらって安心して熟睡。

ここまで自分の恥部をさらしても決して自虐ではなく完全なる開き直り、を通り越してドヤ顔の勢い。

こういうことがはたから見て如何に滑稽か、分かっていて面白く書いてるんだろうから上手いもんですね。自分はこの人よりましだわなんて思っちゃうからね。

なにより、テキパキと無駄のない、それでいて味がある文章が好きです。

コメント一覧

スウ
くらさんこんにちは!
「ヒャッケンマワリ」、嬉しいことに、今日借りれたのですよ。読むの楽しみです。以前随筆を読んだときは、ちょっと毒にアテられて沈んだのですが、これは本人の書いたものじゃないし、楽しめそう!

新聞小説って、考えてみると地獄ですよね。全部書いてからできたらそりゃ理想的でしょうけど、ほんとにできる人がいるとは!
くら
こんにちは、〆切って、圧倒的に破る人が多いものなんだなと震撼しましたね・・・(と思っていたら作家の道夫秀介は、新聞連載小説の際に全編書き終えた後に1日分ずつ調整配分しているらしいと聞いて更に震撼しました)。

内田百けんのクズぶりはもう芸の域ですね。先般、竹田昼『ヒャッケンマワリ』という百けんとその周囲の人たちにまつわるエッセイ漫画を読みました。周囲の人に恵まれていたし、意外と弟子に対する人情等厚いんですよね。でもお金と〆切に関しては・・・(笑)。ほんとによく生活できていたなと驚きます。
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