『あゝ、荒野』がすさんだ内容だったので、少女漫画原作の青春ラブストーリーである本作は非常にキラキラして画面も風景も出てくる若者も皆きれい!ときめく!という潤いが一層強く感じられるものでした。
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高校1年生の木下仁菜子(有村架純)は、学校一の人気男子・一ノ瀬蓮(福士蒼汰)に、彼女がいること知りながら告白してフラれる。蓮は仁菜子に惹かれ始めるものの、恋人が家庭の事情で苦しんでいたため支えになりたいと自分の気持ちを封印していた。一方、中学時代に蓮と親友だった安堂拓海(山田裕貴)が仁菜子に急接近。安堂と蓮には、中学時代に恋愛関係でわだかまりがあった。
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非常に繊細で丁寧な心模様を描きつつ、お約束の壁ドン、頭ポンポン、なぜかよくこける主人公、それを助ける男子などのお約束シチュエーションが織り込まれていて、色々とむずがゆくはなるのだけれど、逆にちゃんと取り揃えてます感が楽しかったりもしました。
しかしそういうことよりも、私としては男子たちが直後に真剣に話したり謝ったりするところが良かったです。女子の人権を尊重している感じがして。好かれる男子とはこういうものだぞと。
1年生の春、2年生の春から夏、秋にかけてのお話で、初恋のキラキラ感を表しているというタイトルにたがわず、美しい風景、画面づくりに対するこだわりを感じました。
校舎内に差し込む午後の日差しは人物たちを金色に縁取り、夜の電車の明かりや花火、夕日のタイミングまでぴったり合わせた演出が素晴らしいなあと。
私が一番刺さったのは、安堂(山田)くんの雨のシーンです。傘がなくて濡れて帰りかけた仁菜子を安堂くんが追いかけてきて傘をさしかけ、「俺はどうすれば漣を越えられるの?」等と問いかける。戸惑い、何も言わず立ち去ろうとする仁菜子を無言で引き止め傘を握らせ、自分は土砂降りのなか走り去っていく。くう…せつない…男前…。
終盤で仁菜子と話すシーンも、山田くんの瞳の動き、ため息とか声のトーン、間などに切なさが表れていて、このお話の中には「安堂くんの叶わなかった恋」という物語があることが強く感じられました。
あと有村架純ちゃん、素朴な女子高生役がはまっていて可愛くて良かったです。前より好きになってしまった。
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