太宰治の短編集「きりぎりす」の中の『畜犬談』を読んでいて、この語り手はそういう返事をしそう、いやにこにこしながら適当な返事をしつつ、心の中で思いそう。と思ってしまいました。
とにかく気が弱くって、犬が嫌いというよりは、噛みつかれるのが怖いんですね。ものいわぬ獣に対する脅えと哀切の妙もあり。文章が、町田康にそっくり(というか町田康が似てるんか)の、うねるような自意識過剰節です。
この短編集、私にはもう、この自意識過剰がうっとおしくて全部読めませんでしたが、この犬の話は面白かったですね。わざと面白く書こうとしている感じが読みやすかったです。
※蛇足ですが。
うっとおしかったのはもちろん、私の神経が疲れたおばさんだからで、若い感受性と文学的嗜好をお持ちの方ならば、面白く味わえるものであろうと思います。
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