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花日和 Hana-biyori

『飛ぶ教室』読書会【後編】

引き続き日常無視でケストナー『飛ぶ教室』読書会の記録です。あほほど長いけどこれでもだいぶ端折ってます。

でも、みなさんそれぞれの感想が確かに確かに~と楽しくて、絶賛ばかりじゃないのも面白く、書いておきたかったのです。毎度勝手にどうもすいません。

■八方美人男さん

ケストナーは大人になってから、『点子ちゃんとアントン』ぐらいしか多分読んだことがない。作者まえがきがある作家だよねという印象で、これもそう。何が始まるんだろうという感じ。

(本編は)いかにも少年らしい学生生活、理想の少年学園もの。「古き良き」という感じがしていいなと

ただマルティンとマティアスって名前がよく似てて、どっちだっけということはありつつ。ただ読み進めていくとだんだん個性が出てきてわかるようになってるし、読みやすかった。

けど実業学校と闘争の話は、もともと自分たちが旗を盗んできたからでしょとか、ツッコミどころも色々ある。でもギムナジウムって小学校高学年から高校生くらいで、その年令の思考って多分、こんな感じかもとも思う。

ただ私は大人になってから読んでいるので、やっぱり今この歳で読むとヨハン・ベック先生がすごいいい人だなと。子供にすごく寄り添う人で。こういう先生に教えを受けた生徒たちは、すごい羨ましい。それにちゃんと子供たちも応えてくれるという信頼関係が羨ましいです。

あとギムナジウムというのも独特で。寮生がいて通学生もいるけど、「みんな実家に帰る」というイベントが起こるところとか。あるいはヨーロッパの寄宿学校に共通のことかもしれないけれど。

あとがきによれば元々本書は子ども向けに翻訳されてきたけど、この光文社のは一般の大人を意識して訳してあるということで、私は逆に他の訳を全然読んだことがないので、逆にどんな感じなのかちょっと興味がでてきたところです。

■くらさん

これ子供の時に読んでいるんですが、まったく面白くなかったんですよね。

翻訳のことで言えば、高橋訳は視点がかなり子供のほうを向いているので「エーミールと探偵たち」や「ふたりのロッテ」ならベストだけど、「飛ぶ教室」はもう少し年上の子たちの話なので、高橋訳だと子供に寄り過ぎる。「飛ぶ教室」は、子供むけというより、かつて子供だった大人に向けて書かれている話で、大人向けに翻訳していいのではと思う。

ただ、今回新訳で読んでみて面白いかというとそうでもない。ケストナーはちょいちょい説教臭いので。それと基本的に自分は学校が嫌いだったので学校の話というだけで気分が落ちる。この中に入りたいかといえば全然入りたくない。寄宿舎とか地獄か!と思ってしまう。

まあ面白いことは面白いけど、やはりどっぷりはまれるほどは好きではない。

ケストナー作品で言えばちょっと世の中の枠からはみ出ていくエーミールやロッテなど大人をかき乱していく子供たちの話が好きだなと。本書はみんないい子で規範に則っているので、それが私はちょっと物足りないというか、どこか自分の物語ではないという感じがします。

***


■その他、がやがや

ゼバスチアンが「親友がいない」と言うところが気になる、「あの美少年テオドールのちょろさも嫌いじゃない」、「マティアスがいつも腹減ってて何か食べてるのはすごく分かりやすい」とか、

「クロイツカム先生が好き。息子が生徒っていうのがツボ。『お父さんによろしく伝えてくれ』ってたぶんユーモアで言ってるけど、生徒がみんな笑っていいんだかわからないのが面白い」

などなど。色々と飽きずに聞いて話してあっという間でした。改めて、翻訳に左右される意味深さを感じた回でした。すごく好きでも、それほどじゃなくても、それなりに良いなと思う場面やキャラクターは共通するところもあり、楽しかったです。ありがとうございました。

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