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へいわが好きでせんそうに反対する市民団体「浜松市平和委員会」は核兵器も戦争も暴力もない地球をめざします。

ゼレンスキー・ウクライナ大統領による国会演説(オンライン)

2022-03-27 11:59:06 | 資料 戦争と平和

ゼレンスキー・ウクライナ大統領による国会演説(オンライン)

               2022年3月25日

(ウクライナ大統領府ホームぺージ掲載の英訳から、衆議院事務局において和文仮
訳を作成したもの)


細田衆議院議長閣下、
山東参議院議長閣下、
岸田内閣総理大臣閣下、
日本国会議員の皆様、
日本国民の皆様、

ウクライナ大統領である私にとって、日本国会において史上初めて皆様に対して演説
を行うことを大変光栄に存じます。

両国の首都は8193キロメートルを隔てております。経路にもよりますが、平均すると、
航空機で15時間を要します。しかしながら、自由に対する我々の感情、生存への希
求、平和への希望に、いかほどの距離がありましょうか。

2月24日、私は両国の間に何らの距離もないことを理解しました。我々の首都の間に
は1ミリの距離もなく、我々の心に瞬時の差もないことを。なぜなら、貴国は即座に支
援のために駆けつけてくれたからです。そして私は、そのことを心から感謝しておりま
す。

ロシアがウクライナ全体の平和を破壊したとき、我々は、世界が本当に戦争に反対し、
自由を求め、世界の安全を求め、全ての社会の調和のとれた発展を求めていること
を即時に理解しました。日本はアジアにおいてこの立場のリーダーとなりました。

貴国は即座に、ロシア連邦により開始されたこの残酷な戦争を終結させるため、ウクライ
ナ、すなわち欧州における平和のために活動し始めました。そしてこのことは大変重
要なことです。地球上の全ての人々にとって重要なのです。なぜなら、ウクライナの平
和なくしては、世界のいかなる人も自信をもって将来を見据えることができないからで
す。

皆様はチェルノブイリ原発のことを御存じかと思います。ウクライナにある原子力発電
所で、1986年に大きな爆発事故が発生した所です。放射性物質が放出されました。
世界の様々な場所にその影響が出ました。チェルノブイリ原発の30キロメートル圏内
は未だに危険なため閉鎖されております。爆発により生じた影響を除去する過程にお
いて、閉鎖された区域の中の森林に何千トンもの汚染物質、がれきや車両などが廃
棄されました。地中にあるのです。

2月24日には、この土地をロシア軍の装甲車が通りました。そして、大気中に放射性
物質の塵を巻き上げました。力によって、また武器によってチェルノブイリ原発は制圧
されてしまったのです。過去に大惨事が発生した原発を想像してみてください。破壊さ
れた原子炉は覆われ、核廃棄物の貯蔵施設があります。ロシアはこの施設をも戦場
へと変えました。そして、ロシアは閉鎖された30キロメートル圏内の区域を、我々の
防衛軍に対する新たな攻撃を仕掛けるために使用しているのです。

ロシア軍がウクライナを離れた後に、チェルノブイリ原発に与えた損傷を調査するに
は数年を要するでしょう。放射性廃棄物の貯蔵施設のどの場所が損傷を受けたか、
放射性物質の塵がどれだけ地球に拡散されたかということです。

皆様、ウクライナには稼働中の原子力発電所が4つあり、15の原子炉があります。全てロシ
アの脅威にさらされています。ロシア軍は既にヨーロッパ最大のザポリージャ原発を
攻撃しました。戦闘により何百もの発電所が被害を受け、多くが危険な状態にありま
す。爆撃によってガスや石油のパイプライン、炭鉱が脅威に直面しています。

先日、ロシア軍はウクライナのスムイ州にある化学工場を攻撃し、アンモニアが流出
しました。我々は、特にサリンといった化学兵器を使用した攻撃が起きる可能性があ
ると警告を受けています。それは、シリアで起きたのと同様のことです。

そして、世界中の政治家が議論すべき大きな課題が、ロシアが核兵器を使用した場
合、どう対応すべきかです。核兵器が使用されれば、世界のいかなる人の信頼も、い
かなる国も、完全に破壊されてしまいます。

ウクライナ軍は既に28日間にわたり堂々と祖国を防衛しています。世界最大規模の
国が28日間にわたり全面的な侵攻を仕掛けています。しかし、ロシアの潜在力は最
大規模でもなく、大きな影響力もありません。モラルに至っては最低です。

ロシアはウクライナの平和な町に1000発以上もミサイルを打ち込み、数え切れない
ほど多くの爆弾を使用しました。ロシア軍は何十もの町を破壊し、完全に焼け落ちた
場所もあります。ロシア軍に占領された多くの町や村では、人々は、殺された親戚、
友人、隣人を尊厳をもって埋葬することもできません。壊れた家の庭や近くの道端な
ど、どこでも可能な場所に埋葬するしかないのです。

数千人が殺され、うち121人は子どもです。

およそ900万人のウクライナ人がロシア軍から逃れ、自宅や住み慣れた場所を去る
ことを余儀なくされました。ウクライナの北部、東部、南部では、恐ろしい脅威から逃
れるため人々が退避し、いなくなりつつあります。

ロシアは我々の通常の交易路である海さえも封鎖しました。世界のほかの潜在的な
侵略者に、海路を封鎖すれば自由主義国を脅すことができると示しているのです。

皆様、今日、ウクライナとその友好国、そして我々の反戦の連帯こそが、世界の安全を完全
に崩壊させないことを保障します。国家の自由、人々、社会における多様性、また国
境の安全の確保のための土台を保障するのです。我々、我々の子供、孫たちの平和
を守るためにです。

国際機関が機能しなかったことを目の当たりにしました。国連や安全保障理事会でさ
えもです・・・。彼らに何ができるのでしょうか。改革が必要です。誠実さの注射が必要
なのです。機能するため、すなわち、ただ議論をするだけでなく、真に決断し本当の影
響力を及ぼすためにです。

ロシアによるウクライナに対する戦争により世界は不安定になりました。世界は多くの
新たな危機にさらされています。誰も明日どうなるか分からないのです。

全ての資源輸入国にとって、世界市場の混乱は問題です。かつてないほどの環境問
題、食糧危機はかつてないほどの状況です。しかし、何よりも重要なことは、今、地球
上の全ての侵略者、また侵略する可能性のある者に対し、戦争を始めれば大きな罰
を受けることを知らしめ、抑止することです。世界を破壊するべきではないことを知ら
しめることです。責任ある国家がまとまり、平和を維持することは全くもって論理的で
正しいことなのです。

日本が、この歴史的な瞬間に、ウクライナを真に支援するため、信念に基づいた立場
をとられていることに感謝します。日本は、アジアで最初に、平和を取り戻すためにロ
シアに圧力をかけ、制裁を課すことに踏み切ってくれました。どうかこの取組を継続し
てください。

ロシアが平和への道を追求し、我々の国ウクライナに対するこの残酷な侵略の津波
を止めるよう、アジアの友好国と一丸となって情勢の安定化に取り組んでいただくこと
を求めます。資金がロシア軍に流れないよう、ロシアとの貿易を禁止し、ロシア市場か
ら企業を引き上げる必要があります。また、我が国、またロシア軍に対抗している我
が国の防衛軍、兵士を助ける必要があります。ロシアにより破壊された都市や、荒廃
した領土に再び人々が戻れるよう、今から、ウクライナの復興について考え始める必
要があるのです。

人々は、住んでいた故郷、子ども時代を過ごした故郷、住み慣れた故郷に戻る必要
があります。皆さんにもきっとこの気持ちが分かると思います。故郷に帰る必要があ
るというこの気持ちを。

平和が脅威にさらされるたびに、予防的かつ強力に行動できるよう、我々は新しい安
全保障体制を構築しなければなりません。

既存の安全保障体制を基盤にして、それは可能なのでしょうか。この戦争を見ればわ
かるとおり、絶対にできません。我々には新しいツールが必要なのです。それはいか
なる侵略に対しても予防的かつ強力に対抗する、新たな安全保障の体制です。その
発展のためには日本のリーダーシップが不可欠なのです。ウクライナのためにも、世
界のためも、私の心からのお願いです。

世界が再び自信を取り戻し、明日の姿に自信を持てるように。安定した平和な明日が
訪れると、我々、そして次世代が確信できるように。

皆様、
日本の皆様、
私たちが力を合わせれば、私たちが想像する以上に多くのことを行うことが可能です。
私は、日本の皆さんの輝かしい発展の歴史を知っています。いかに調和を築き、守っ
ているのか。規範に従い、命の価値に重きを置いているのか。環境を保護しているの
か。その根底にあるのは、ウクライナ人も大好きな、日本の文化です。これは本当の
ことです。

②019年、私が大統領に就任して半年経過した頃のことですが、私の妻オレーナが視
覚障害を持つ子どものためのプロジェクトに参加しました。このプロジェクトはオーディ
オブックを作るものであり、妻がウクライナ語で音声を吹き込んだのは日本のおとぎ
話でした。我々ウクライナ人にとって、そして子どもたちにとって共感できる内容だった
からです。そして、これは我々ウクライナ人が日本の文化に対して持っている多大な
関心のほんの一部です。

両国間の距離は遠く離れていますが、ウクライナ人と日本人は似通った価値観を有し
ています。同じように温かい心を持っているため、実際には距離が存在しないのです。
両国の協力及びロシアへの更なる圧力によって、我々は平和を達成するでしょう。そ
して、我々は国土を復興し、国際機関を改革できるでしょう。

私は、その時も、共に反戦連合に加わる現在と同様に、日本が我々と共にあるだろう
と確信しています。今は、我々全員にとって極めて重要な時期なのです。

ありがとうございます(ウクライナ語)。
ありがとうございます(日本語)。
ウクライナに栄光あれ!
日本に栄光あれ 


 



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