所得税法56条に関する質問が3月24日あった。前向きの答弁のようだが、運動を強めながら、見守りたい。
全商連のこれまでの運動とあわせてまとめてみた。
家族従業員給与認めよ 参院財政金融委で大門議員要求
財務相 所得税法56条「研究する」
日本共産党の大門実紀史議員は3月24日、参院財政金融委員会で、「所得税法第56条について、見直しを求める」と要求しました。
与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は、「研究してみる」と答弁しました。
第56条問題
「配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」(条文要旨)。家族が従業した場合は、その給料は税法上では必要経費に認められず、すべて事業主の所得に合算されるということです。
■財務省の加藤治彦主税局長
『青色申告』で税制優遇を認めている
自家労賃を税法で認めない理由は、白色申告制度は営業経費か生活費なのか判別が難しいから
ここが問題だ!
●『配偶者とその家族が事業に従事した時、対価の支払いは必要経費に算入しない』(条文要旨)ため、タダ働きになっています。
●中小企業の家族従業員(事業主と生計を一にして事業に従事する配偶者・親族)の給与を必要経費と認めない。
●青色申告制度で差別し、世帯課税するなど、営業に対する個人の労働の対価を一貫して認めようとしていません。
●白色で経費を認めない一方、青色申告では必要経費を認める(57条)のは制度上の差別
●税法上で同じ労働を青色申告と白色申告で差をつける制度自体が矛盾している。
●「経済的不公正・不利益があり、働く人間の給与を認めないのは税法上の人権にかかわる。
●明治時代の家父長制度を引き継ぐ人権を認めない時代遅れの悪法。
●業者婦人の人格や労働を認めない人権問題です。
●実際に働いている人を『働いている』と税法上で認めることが大前提だ。
●米国やドイツや韓国などでは家族従業員の給与を必要経費と認めている
●「給与は経費」は世界の流れ
●個人単位での課税という所得税法の原則から逸脱する
●大企業による利益収奪の仕組みを温存させるなど、経済的にも大きなマイナスの役割を果たしています
●事業主の所得から控除される働き分は、配偶者は86万円、家族は50万円で、家族従業者はこのわずかな控除が所得とみなされるため、社会的にも経済的にもまったく自立できない状況となっている。
所得税法第56条廃止の運動を
自営業・農業・漁業者だけの要求ではなく国民全体の問題です。各地の地方議会や税理士会が廃止を求めている。
■■さまざまな不当性
●交通事故に遭った際、86万円の専従者控除を適用せざるを得ないため、日額補償が専業主婦の約半額に抑えられている。
●家族従業員は、子どもを保育園に入れるときも所得証明書が取れず、民生委員の証明が必要
●人の保証人になれない
●同じ仕事をしても税金が高くなる
●事業主一人の働き分として申告するため重税になり、下請け単価に労働(自家労賃)が反映されないため低単価・低工賃の原因となる。
●年金など社会保障にも大きな影響が出る。
●家族従業者の娘や息子は、独立するための住宅ローンも組めない。
●不利益が後継者不足に拍車をかけている。
●確定申告時に時給を計算してみたら280円しかなかった。
●国民健康保険に傷病手当や出産手当が支給されない根拠の一つともなっている。
所得税法56条廃止の世論大きく
所得税法第56条の廃止を求める運動が大きな広がりを見せています。
昨年10月、高知県議会での「家族従業者の人権保障のため所得税法56条の廃止を求める意見書」採択が大きな確信となりました。今年6月議会では広島県尾道市、高知県高知市・四万十市・土佐清水市が意見書を採択しました。これで8市12町1村が「所得税法56条廃止」の決議・意見書を国へ提出したことになります。
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