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母だって・・・

母はこの街で生きている、
小さな出来事に一喜一憂しながら

母、詩を読む  その十二

2008-08-26 16:44:24 | 文学
海が、呼ぶ。





海が呼ぶ



ぼくの名を

呼ぶ



なつかしい

響きで



海が呼ぶ



時に

波は

亡き恋人の

ひとがたをして






清崎進一著  ”眠れない時代” より









夏の終りの海はどうしていつも

あんなに淋しいんだろう

ひとりでじっと見ていると

良かったことなんて

思い出したりしない

この胸が切なくなるような

そんな出来事だけが

私を支配する



でも私は淋しさだけに囚われたくない

緩やかな波の優しさに

ため息を一つつき

空になった私の肺に

優しさだけを吸い込んで

私はまた

明日を生きるのだ


        






















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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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言葉に言い表せません・・ (You)
2008-08-27 12:20:10
いい詩です。

そして、hahaさんの思いを綴られたのですよね?
すぅーっと、心に入ってきました。
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Unknown (パティ)
2008-08-27 13:28:56
呼んでいるっていう海は、
きっと、穏やかな海なのでしょうね。
hahaさんのこころのような海。

高校から20分ほど自転車で走ると、太平洋の表浜で、
高校時代はひとりとか友達と一緒にとか、
たびたび行きました。
サーファーに人気の荒い海で、
暗い深淵から叫びが立ち上ってくるようで、
不安や悲しみや空虚な気持ちを
波がもみくちゃにして引きずり込み、
持ち去ってくれるようで、
いつも力を与えられて帰ってきました。

今もそうかな?
海へ行ってみたくなりました。
今度は呼んでいるように聞こえるのかしら。
想い出をいっぱい持っている年齢になったから。

すてきな詩をありがとう!
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Youさんへ (haha2378)
2008-08-30 14:28:39
>そして、hahaさんの思いを綴られたのですよね?
そうなんです。
お恥ずかしい・・・(照)

清崎さんの一冊目の詩集は
温かくて、チョッピリ切なくて。
でもこの二冊目の詩集は
少し、重く暗い感じがします。
二冊目の詩集から選んだこの詩を
一冊目の感じで読むならこうかな?とか思いました。



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パティさんへ (haha2378)
2008-08-30 14:43:19
>きっと、穏やかな海なのでしょうね。
この詩を読んだ時
穏やかなのに、
なぜか淋しさだけが伝わってきました。
恋人のひとがたをした波は
淋しさに支配された人を
暗い海の底に呼ぶ気がしました。

負けまいと、そう自分に言い聞かせ
海の泡の一つだけにでも
優しさを見出したかったのかもしれません。

海の近くで育たれたのですね。
私は海の無いところでしたから
小さい頃から海に憧れと
畏怖の念を持っていました。
それがそう思わせたのかもしれません。


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いい詩です。 (misaki)
2008-09-01 19:25:38
hahaさま、今回は「海が、呼ぶ。」ですね。短いけれど、とても、好きな詩です。タイトルの句読点が効果的だと思います。内容は、暗く悲しい詩ですが。
この詩の海って、きっと、日本海だろうなあって、勝手に想像しています。太平洋だったら、房総半島あたりかな。
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misakiさんへ (haha2378)
2008-09-01 21:55:41
お久しぶりです。
秋らしい詩を・・と思って探していたら
この詩に目が留まりました。

>太平洋だったら、房総半島あたりかな。
房総半島・・そんな感じがしますね。
行ったことはないけれど
うん、そんな感じがします。
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