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村上春樹を英語で読む

なぜ、こう訳されているのかを考える。

「襦袢」と「ズボン」

2015-09-14 13:46:30 | ことばの意味を実感する
振り袖を着たことがある人でも和服用の下着の「襦袢(じゅばん)」という言葉を知らない人が多いようですが、その同系の言葉である「ジャンパー」は知っているでしょう。英語ではjumperですが、私たちが「ジャンパー」というカタカナ語から思い出すものを指す語ではありません。Jumperは日本で言う「ジャンパースカート」を指すのですが、「跳ぶ」のjumpとは無関係です。フランス語で「スカート」はjupeで、この語とjumperが同系であると思われています。そして、表題の「襦袢」はこのjupeと同系のポルトガル語gibaoから日本語に入りました。
 「パジャマ」といえばふつうは上下セットのものを思い出すでしょうが、英語のpyjamas(イギリス綴り), pajamas(アメリカ綴り)のもととなるペルシャ語での意味は「脚の服」です。つまり、英語のpedestrian(歩行者)の頭のped(足)です。そして、ズボンと同じようなものですから、trousers, pantsと同様に、必ず複数形で用いられるのです。
 日本語の「ズボン」はフランス語のjuponから来ています。現代フランス語のjuponは「ペチコート」ですが、古くは「男子用の裾長の胴着」を指していました。「襦袢」と「ズボン」は発音が似ていますが、フランス語の「スカート」を指すjupeとjuponもよく似ています。もちろん、同系です。つまり、「襦袢」と「ズボン」はもともと同じ語と言っていいのです。
 ちなみに、現代フランス語で「ズボン」はpantalonです。これはこれで「パンタロン」というズボンの一種として日本語に入りました。ちなみに、この語はイタリアのベニスの守護神San Pantaleoneに由来し、Pantの部分が複数形pantsになりました。アメリカ英語ではpantsが「ズボン」を表します。